2021年12月18日

◆ ビル火災からの退避方法

 大阪で、放火によるビル火災で 24名が死亡した、という事件があった。どうすれば退避できるか? 

 ――

 記事はこちら。
 大阪市北区の繁華街・北新地にある雑居ビル4階のクリニックから出火し、24人が死亡した。
 現場は「西梅田こころとからだのクリニック」。捜査関係者らによると、男が出入り口近くの暖房器具近くに紙袋を置いて蹴り倒した際、漏れ出た液体に引火した。
 府警によると、死亡したのは男性14人、女性10人で20~60代とみられる。
 火災は17日午前10時20分ごろ、大阪市北区曽根崎新地の堂島北ビルで発生。
( → 通院患者の61歳男が放火か 大阪・北新地ビル火災 - 産経ニュース

 画像
  → 救助中の画像:朝日新聞





 ――

 痛ましい事件だ。そこで読者は注文を付けそうだ。
 「困ったときの Openブログと言っているんだから、うまい案を出せ」
 と。

 はい。出します。というか、とっくに出していた。京アニの事件のときに、火災のときの退避の方法を示していた。「縄ばしごを設置して、それを使え」と。
 「縄ばしごを用意しておいて、金属ケースにでも入れておく。いざというときには、それを取り出して、下にぶら下げればいい」
 これで助かるだろう。できれば、縄ばしごを何本も用意しておくといい。置く場所も、数カ所に分散することが望ましい。


https://amzn.to/3E2ineB

( → 火事では誰が助かったか?(京アニ): Open ブログ

 詳しい話は、上記項目を参照。


 ※ 前回の火事のときに、「縄ばしごの設置義務」をすべてのビルに適用しておけば、今回のような大惨事にはならなかったはずだ。 Openブログの言うことを聞いておけば良かったのに。
 


 [ 付記 ]
 「縄ばしごがないときには、どうすればいいんだ。困ったときの Openブログで、うまい案を出せ」
 という注文もありそうだ。

 では、示そう。こうだ。
 「窓から飛び降りる。ただし、そのままでは大怪我をするか死んでしまう。そこで、通行人がみんなで、コートや上着を脱いで、衣服の山を作る」

 さらに、屈強の男性が衣服の山のまわりを囲んで、転がり落ちてきた人を受け止める。

 ちなみに、3メートルぐらいの距離ならば、屈強の男性6人がスクラムを組んで円陣をつくることで、人間マットをつくれる。この方法で助かった……という方法が、先日、テレビで放送されていた。
  → THE突破ファイル 2021年12月2日
 
 ――

 別案もある。
 「ボルダリング(クライミング)の能力のある人が、ビルの右側の壁にあるパイプを伝って、縄や縄ばしごを高階にまで届ける」(出発点は、地上よりも、隣のビルの屋上が好ましい。安全確保のロープを使える。)
 または、
 「隣のビルの屋上から、ロープと振り子を使って、火災のビルまでロープでつなぐ。次に、ロープ伝いに、縄ばしごを渡す」
 
 ちょっとトリッキーですね。普通の人には無理でも、消防署員ならばできるかも。消防署員は、ボルダリング(クライミング)の訓練をしておこう。
 






 [ 補足 ]
 逃げるときに、一番大切なことがある。
 「立っていると、煙を吸い込んで、一酸化炭素中毒で意識を失う。それを避けるには、頭の位置を足元まで避けて、煙のないきれいな空気を吸い込むことだ」

 これがたぶん、生死を分ける、最大の注意点だ。
  Openブログを読んで、記憶しておけば、あなたは命を救われるかもしれない。生きるも死ぬも、 Openブログしだい。 
 


 【 追記 】
 「逃げるならば屋上に逃げればいいはずだが、そうできなかったのか?」 と思って調べたら、どうも、逃げている人の数が少ないようだ。
 救出の様子を見ていた人に話を聞きました。

 (目撃した人)
 「見ている限りは20人くらいは“くの字”状態で運び出された。ほとんどの人が亡くなっているんじゃないかと思った。4階から上に煙が上がっていましたから。屋上まで煙が上がり続けている状態で、屋上にも2人くらい人が見えました。
 (Q6階から顔を出していた女性がいたということですがその時の様子は?)私は助かるのかということで、かなり不安がっている印象でしたね。煙の量が、中からもくもくと本人に向かっても出ていましたから、呼吸はしづらいだろうなと。なんとか彼女も6階まではしごが届いた状況で、しばらくは本人もそこから乗り出して隊員のところまで近づけなかったんですが、隊員がなんとか近づいて体を抱きかかえてなんとか安定できたところで助かった。」
 「(6階から)ひとりだけ『早く助けてください』と言うためか息を吸うためか分からないですけど顔を出していました。(Qそれは女性?)女性です。はしご車で救助されて救急車に乗ったと思います。」

( → 目撃者『次々と運び出された人の姿は…』普段を知る人に聞くクリニック 大阪ビル火災 | MBS

 以上をまとめると、こんな感じかな。
  ・ 逃げられる人は、階段を下って、うまく逃げた。
  ・ 逃げられなかった人の多くは、焼け死んだ。
  ・ 屋上と6階に取り残された人もいたが、助かった。
   (その数はとても少なかった。6階は1人のみ。)


 ざっと見た感じの想像だが、死者は4階と5階の人が多かったようだ。6階の人は、1名が取り残されたほかは、何人かが屋上に逃げて助かったと思える。6階でも逃げ遅れた人も少しいそうだ。4階と5階は惨状となる。……そんな感じかな。

 ※ とりあえずは事実の状況を探るのが大事。
 ※ やはり電光石火で行動するのが、身を守るすべだ。
 
posted by 管理人 at 19:00 | Comment(12) | 安全・事故 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 私のおすすめは、(たぶん)業界大手のオリロー株式会社の製品、「オリロージョミー」です。

 https://www.oriro.co.jp/products/kotei/jomy.html

 ワンタッチで展開する様子はこちらです。これなら誰にでも(火災で気が動転していても)、迅速かつ確実に使えそうです。かなりしっかりしていて、5〜6階程度なら最適なような気がします。

 https://twitter.com/cat_redriver/status/1430746751447691271?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1430746751447691271%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fsyoubou123.com%2F2018%2F02%2Fhinannkigu-toha%2F
Posted by かわっこだっこ at 2021年12月18日 21:08
 上の補足です。「オリロージョミー」は、オリロー社によると「避難はしご(固定式)」に分類されるようです。これに対して「避難はしご(つり下げ式)」は、同社の内規なのか、原則として3階まで(最大10mまで)しか設置できないとの注意書きがありますね(下の同社のサイト)。やっぱり、固定式に比べると不安定なので、4階以上は危険、もしくはうまく降りられる人が少なくなるのでしょう。

 http://www.oriro.co.jp/products/hashigotsuri/
Posted by かわっこだっこ at 2021年12月18日 21:18
> オリロージョミー

 ビルのサイド側にはいいのですが、ビルの正面側だと、美観上の問題があるので、好まれないと思えます。
Posted by 管理人 at 2021年12月18日 22:50
↑ 確かに。例えばこのビルだと、[ 付記 ]で書かれた右側の壁(パイプのあるところ)に設置できれば良いのですが。しかし、各階前面の窓からその固定ハシゴのところまで水平方向に移動できる、キャットウォークのような設備もあわせて設置しなくてはなりません。そうしてあっても、今回のようにクリニックの入り口付近から出火したら、その避難口(窓)までたどり着けません。
 本来は、画像では確認できないビル背面側に非常階段が最初からあるべきで、それがなかったのなら、オリロージョミーのような固定式の避難ハシゴを設置するべきでした。どちらもない場合は、今回のように各階の入り口付近から出火して、内部階段があるそちら方向に逃げられない事態ではお手上げでしょう(つまり、仮に法令の基準は満たしていたとしても、防災上の欠陥ビル)。
Posted by かわっこだっこ at 2021年12月19日 10:15
>「立っていると、煙を吸い込んで、一酸化炭素中毒で意識を失う。それを避けるには、頭の位置を足元まで避けて、煙のないきれいな空気を吸い込むことだ」
>Openブログを読んで、記憶しておけば、あなたは命を救われるかもしれない。生きるも死ぬも、 Openブログしだい。 

一酸化炭素は空気とほぼ同じ比重だそうです。
身をかがめても一酸化炭素からは逃れられないかと。

厚生労働省:職場のあんぜんサイト
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo08_1.html
Posted by そもそも at 2021年12月19日 20:16
> 一酸化炭素は空気とほぼ同じ比重だそうです

 そういう声が出ると思ったので、あらかじめ考えておきました。

 一酸化炭素のガスを単独で注入した場合には、比重が重要となります。
 だが、火災の場合には、不完全燃焼した熱気に一酸化炭素が含まれるので、熱気である分、比重が軽くなって、上昇します。もともとの空気は、冷たいので、下方に停留します。
 火災のときには、足元だけが透明な空気で、膝から上は黒煙になるのが普通です。黒煙を吸うと、ゴホゴホと噎せて、そのまま一酸化炭素で気を失います。


Posted by 管理人 at 2021年12月19日 20:44
 透明なビニール袋(ゴミ出し用の45リットルくらい)を1つカバンの中に忍ばせておくと、役に立つことがあります(下の警視庁のサイトに使用例)。

 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/saigai/yakudachi/others/933822683338366976.html

 有毒ガスを嫌ってずっと腰をかがめて移動していたら、逃げ遅れる可能性が高いです(※)。場所が5〜6階程度で階段が火にまかれていなければ、空気を入れた袋をかぶって一気に下まで駆け降りるのが一番よいと思います。それこそ、【 追記 】の最後にあるように、「やはり電光石火で行動するのが、身を守るすべだ」なのです。

 ※ このような袋が無いときは、本稿で書かれているとおり、煙にまかれかけた時に新鮮な空気を吸う目的でしゃがむのはありです。そして、その吸い込んだ空気(息)が続いている間に、的確な方向(経路)に逃げることが重要でしょう。でも、そのチャンスは一度か二度だけかも。その最初の一度で長く行動できるようにするのが、袋の役割です。
Posted by かわっこだっこ at 2021年12月19日 21:36
 ↑空気を入れた袋をかぶる効能は、もうひとつあります。煙の中でも目を開けて逃げられることです。そのためにも、使用例にあるように、かぶった袋は手前に引いて首回りでしっかり絞りましょう。
Posted by かわっこだっこ at 2021年12月19日 21:42
> 透明なビニール袋

 そううまい具合には行かないので、煙が薄いときには、上着を頭から(半分)かぶることで、ビニール袋のかわりになります。
Posted by 管理人 at 2021年12月19日 23:52
↑ では、例えば夏はどうしますか(とくに女性は)? 煙が濃かったら? 色が薄くても一酸化炭素がたくさん混じっていたら?
 「そううまい具合には行かないので〜」のところはどういう意味でしょう? 感染予防にはマスクが一番だが、そううまい具合には行かないので、蔓延していないときには、ハンカチを口に当てることで、マスクのかわりになります、というのとどこが違うのでしょうか? 臨機応変に行動しろ、という話とも少しポイントがずれている気がします。
Posted by かわっこだっこ at 2021年12月20日 00:28
 「そううまい具合には行かないので〜」=「常にビニール袋を携えている人はほとんどいないので」

 夏や女性ならば、シャツみたいな上着を、持ち上げて、口を覆えばいい。上着の内側に、ある程度の空間ができるので、その空気を吸うことで、いくらかは煙を減じることができる。

 ※ ビニール袋を否定しているわけではなく、その補完です。ちょっと舌足らずでしたね。
Posted by 管理人 at 2021年12月20日 00:46
↑臨機応変に行動しよう、くふうが大事ということであれば、もちろん大賛成です。
Posted by かわっこだっこ at 2021年12月20日 01:10
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