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はっきりと決まったわけではなく、今のところは案であるが、警察庁が方針を示した。
警察庁は16日、来年5月から導入する安全運転サポートカー(サポカー)限定免許で運転できる車の条件を盛り込んだ改正道路交通法施行規則案を発表した。対象となる車は、昨年度以降に国の認定を受けた衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)といった装置を備えたもの。
警察庁によると、限定免許に切り替えるかどうかは任意で、免許センターなどでの申請が必要。
限定免許でサポカー以外を運転した場合は免許条件違反となり、違反点数は2点となる。
( → 高齢ドライバー対策のサポカー限定免許、運転できる車は?:朝日新聞 )
運転できるのは自動ブレーキ車だけ、という「サポカー限定免許」が導入されるべきだ……という主張は、私も何度か述べたことがある。だから上記の案は、私の主張と同じだ、というふうに見える。
→ 高齢者には限定免許を: Open ブログ
→ 高齢者には自動ブレーキ車を 2: Open ブログ
だが、根本的に異なっている点がある。限定免許に切り替えるかどうかが「任意」だ、という点だ。ここが任意であっては、何の意味もない。75歳以上については、全員一律に、「強制」するべきだ。(別に自動車を運転できなくなるわけではない。自動ブレーキ車に乗り換えれば済むだけだ。)
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さて。冒頭では「意味がない。馬鹿げている」と述べた。それは、どういうことか? こうだ。
任意の場合には、この限定免許に切り替えるかどうかは、どちらでもいいことになる。ならば、この限定免許に切り替える人など、いるはずがない。なぜなら、メリットがなく、デメリットだけがあるからだ。
この限定免許に切り替えると、どうなるか? 違いはただ一つ。「違反したときに違反点数2点をもらう」ということだけだ。しかし、「違反点数をもらう」というのは、ただのデメリットであって、何のメリットもない。
たとえば、次のような措置を、歓迎する人がいるか?
・ 罰金2万円を課してあげます
・ 懲役1年を課してあげます
・ 免許取消処分を課してあげます
こういうのを歓迎して、「わーい、嬉しい」と思う人がいるか? こういう処分をもらい受けたいから、サポカー限定免許を取ります、という人がいるか? 頭のおかしいマゾヒスト以外は、そんなことは思わないだろう。
とすれば、サポカー限定免許を取りたがる人など、いるわけがない。
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警察庁の狙いは、こうだ。
「サポカー限定免許ならば、免許返上よりも簡単だから、免許返上の代わりにサポカー限定免許を取るようになるだろう」
と。しかしこれは、次の発想と同様だ。
・ 罰金 100万円よりは、罰金2万円を歓迎するだろう。
・ 懲役 10年よりは、懲役1年を歓迎するだろう。
・ 石抱きの拷問よりは、免許取消処分を歓迎するだろう。
こういう馬鹿げた発想で、罰金・懲役・免許取消を歓迎する人が多いはずだ、と思い込むわけだ。

石抱きの拷問:Wikipedia
だったら、いい方法がある。警察庁の全員を、罰金2万円・懲役1年・免許取消処分にしてしまえばいいのだ。彼らはきっと、喜んで、それを歓迎するだろう。(彼らの理屈によれば。)
【 追記 】
政府のサポカーは、2020年度以後に製造した車に限られる。( → 出典 )
だが、自動ブレーキ車を強制する(義務化する)のであれば、もうちょっと広い範囲の車を許容するべきだろう。たとえば、「 2017年度以後の自動ブレーキテスト(JNCAP)で一定成績を収めたもの」とする。
※ 以下は、その詳細だ。(細かい話なので、読まなくてもいい。)
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その上で、その自動車のウインドーには、「サポカー合格証」みたいなシール(ステッカー)を張っておくといい。そうすれば、サポカー限定免許証をもっている運転車の運転している車が、サポカーであるかどうかが、一目瞭然となる。これで、警察による取締りが容易になる。
そして、そのためには、サポカー限定免許証で運転できる車両を、自分の所有者に限定するべきだ。それならば必ず、サポカーのシール(ステッカー)が貼られているからだ。また、自分の車ならば、慣れているので安全性が高い。(他人の車は、慣れていないので、安全性が低い。)
なお、自分の車であることの証明は、ステッカーに番号を付けることで可能となる。(8桁数字で足りる。)
ただし、以上の措置には、例外措置を設ける。それは、レンタカーだ。レンタカーの運転を禁止するのは、さすがに不便なので、レンタカーの運転は許容する。(自分の車でなくてもいい。ただし、サポカーであることが前提だ。)……レンタカーならば、サポカーシールが貼ってあるだけで良くて、番号の一致までは求めないことになる。

>(前略)この限定免許に切り替える人など、いるはずがない。なぜなら、メリットがなく、デメリットだけがあるからだ。(中略)
> ・ 罰金2万円を課してあげます
・ 懲役1年を課してあげます
・ 免許取消処分を課してあげます
こういうのを歓迎して、「わーい、嬉しい」と思う人がいるか? こういう処分をもらい受けたいから、サポカー限定免許を取ります、という人がいるか?(後略)
以下、凡人(私)の解釈です。
@ 警察庁の提案の狙いは、対象者に、ゼロ(免許そのまま)か例えばマイナス10(限定免許へ変更)を選択させるものではないと思います。この制度が実施された場合、限定免許への変更は、警察庁は強制していないにしても、周囲(家族や近所の人など)からの無言の圧力、半ば強制と同じ効果を持つような気がします。したがって、対象者本人にとっては、例えばマイナス100(免許返上)かマイナス10(限定免許へ変更)かの選択のような意味合いを持つと思います。
A ただし、肝心の対象者が「自分の運転は問題ないので対象者ではない」と思っていたり、周囲からの無言の圧力に無自覚である場合は、筆者がいうとおりに、これはゼロかマイナス10かの選択になるので、マイナスを進んで選ぶ人はいません。いっぽうで、例えば周りの家族にとっては、対象者が限定免許に変更してサポカーに乗り換えてもらえば、少しは安心が得られるかもしれません。また、社会(近所など)に対しても、(本人がまだ運転を続けることに)少しは言い訳が立つかもしれません。よって、周りの家族にとっては、対象者を限定免許へ変更させることはメリットになり、ゼロ(不安のまま)か例えばプラス10かの選択になるので、家族から対象者への(免許変更の)働きかけが強くなるという効果が期待できると思われます。
@ この制度が実施された場合、対象者は、周囲からの「免許を返納して運転をやめろ」という無言の圧力を、それまでより強く感じると思います。つまり、「せっかく新しい制度ができたのに、それも無視して運転を続けるのか。そもそも免許は返納すべきだが、それができないというなら、せめて限定免許へ変更しろ」というものです。したがって、対象者本人にとっては、例えばマイナス100(免許返納)かマイナス10(限定免許へ変更)かの選択のような意味合いを持つと思います。
サポカーに乗り換えるには、限定免許を取得する必要はありません。
限定免許に変えなくても、今の免許のまま、まわりの人が自動ブレーキ付きの新車に買い換えてあげればいいだけ。
本人「わかった。きみの言う通り、自動ブレーキ車に乗る。その金を出してくれ」
これでおしまい。免許を変更する必要もない。仮に必要があるとしたら、他人の車を運転する場合だが、この年で、そんなことはしないだろう。
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というか、もっと問題な事態が起こる。
家族 「85歳じゃ、運転が危ないから、返納してくれ」
本人 「サポカー限定免許にするから、返納しない」
その後、アクセルを強く踏むと自動ブレーキが解除という機能のせいで、暴走して、事故死。巻き込まれ死者が 10人。新聞の見出しは、
「サポカー限定免許のせいで起こった、悲劇の事故」
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ちなみに、私の案では、75歳でサポカーが義務になるので、
家族 「サポカーにしてください」
本人 「そんな金はない。金を出してくれ」
家族 「金はありません」
本人 「ちぇっ。じゃ、しょうがないな。免許は返上しないけど、車は売却して、もう運転はしません」
新聞の見出しは、
「サポカー義務化により、高齢者の暴走事故が激減。高齢者が車を手放す例も目立つ。免許返上はなくとも、同等の効果」
⇒ その理屈自体はそうですが、その理屈で世の中は動かなかった(動いていない)ようです。それで筆者は、選択制ではなく義務化をかねてより主張されていて、そのご主張は正しいのですが、いっぽうで警察庁は別の理屈を考えたのではないか、というのが私の当初コメントです。
> だったら、いい方法がある。警察庁の全員を、罰金2万円・懲役1年・免許取消処分にしてしまえばいいのだ。彼らはきっと、喜んで、それを歓迎するだろう。(彼らの理屈によれば。)
というのは、(たぶん)警察庁の理屈ではないですよ、というのが私の当初コメントです。彼らの理屈(の一例)を、管理人さんが書いた会話調で表現すると、
家族「85歳じゃ運転が危ないから、免許返納してくれ」
本人「そんな義務はない」
家族「では、買い換えの金を出すから、せめてサポカーに乗ってくれ」
本人「そんな義務も制度もない」
家族「義務はないが制度はある。サポカー補助金は前からあったが、今度サポカー限定免許というものができた。新聞やOpenブログでも紹介してる」
本人「どれどれ…このブログのとおり、免許は変更せずに買い換えだけでいいだろう」
家族「両方やったほうが、ご近所・親戚に言い訳が立つ。周りはそもそも免許返納を望んでいる」
本人「…」
家族「75歳以上の限定免許者は、普通のサポカーより保険料が安くなる制度も始まるそうだ」
本人「…わかった」
家族(ふうやれやれ、これが第1ステップだ。少し待って次は第2ステップの免許返納だ。限定免許の返納なら、本人の心理的抵抗も少し下がるだろう…)
※ これは一例で、他にイロイロなパターンがあると思います。彼ら(警察庁)は、「いま義務化までは踏み込みたくないが、新しい制度を作る(見せる)ことで、社会全体では新しい流れ(風潮)が生まれる。大きな決断(権利放棄や高額の買い物)をする時には、その流れが心理的に背中を押すこともあるだろうから、それなりの効果があるだろう」と考えたのだと、私は推測しました。
> 本人「…」
じゃなくて、こうなります。
本人「新車のサポカーを買ってくれるなら、サポカーに乗る。誰が好んで、ボロい車に乗るものか。新車をくれるなら、ホイホイ乗るよ。限定免許? そんなものにしなくても、慣れない他人の車なんか、年寄りが運転するわけがないだろう。限定免許であろうとなかろうと、自分のサポカー以外には乗らん。意味のないことをやらせるな。非論理的なことは言うな」
「でも念のために、是非……」
「馬鹿にするのか? 頭に来た。もう、サポカーには乗らん。サポカーに乗るつもりだったが、あんまり馬鹿にされたから、ヘソを曲げた。もうおまえたちの言うことは聞かん。とっとと帰れ!」
⇒ ご指摘のことが起こる可能性はありますが、それは現行のサポカーの技術的な問題点のためであって、当初の私のコメント(2つ前のコメント)とは関係ありません。
それであれば、本稿のタイトルを最初から、「サポカー限定免許は無意味」ではなく「サポカーは(一部)無意味」として、その趣旨で別に論を展開されるべきです。
家族 「サポカーにしてください」
本人 「そんな金はない。金を出してくれ」
家族 「金はありません」
本人 「ちぇっ。じゃ、しょうがないな。免許は返上しないけど、車は売却して、もう運転はしません」
⇒ ちなみに、私の見通しだと、こうはなりません。たぶん、
本人 「ちぇっ。じゃ、しょうがないな。年金で買える10万〜20万くらいのサポカーを探すか。サポカー第1世代?なら買えるだろ。低年式の中古車だろうと整備不良だろうと、サポカーなら運転できるんだからな」
かくして、管理人さんが書いた「サポカー限定免許のせいで起こった、悲劇の事故」が続発することに。
そんなもの、あるわけがないでしょ。
本来のサポカーは、最新式の自動ブレーキ車に限定されます。
「限定免許で運転できるのは、2020年度以降の製造で、」
→ https://response.jp/article/2021/12/17/352366.html
仮に、もうちょっと範囲を広げても、2017年式ぐらいまで。2015年以前は、まず対象にならない。対象になるとしたら、よほどの高級車だ。ベンツみたいな。
10万〜20万くらいで買えるわけがない。そもそも、自動ブレーキがなくても、そんな激安なのは、よほどのポンコツだ。すぐに車検代で何十万円かが飛んでしまう。
⇒ あるに決まってますよ。管理人さんは、中古車の価格動向については、あまりお詳しくないんですよ。中古車販売店は、ディーラー系だけでなくピンからキリまであります。ヤフオクなどでも買えますし。
もちろん、警察庁の案どおりに「2020年度以降の製造で」となったら、この制度が導入される予定の2022年5月時点では、ホントに10万〜20万で買える適合サポカーを探すのは困難かもしれません。しかし、2025年くらいになれば、例えば5年落ち(2020年式)の軽自動車のサポカーを数十万円で買うことは、十分可能だと思われます。
> 10万〜20万くらいで買えるわけがない。そもそも、自動ブレーキがなくても、そんな激安なのは、よほどのポンコツだ。すぐに車検代で何十万円かが飛んでしまう。
⇒ これも、数十年前の認識です。そもそも10万〜20万というのは誇張表現ですが、例えば私が、2019年にディーラー系中古販売店から45万円で買った、2011年式のカローラフィールダー(1.8L)は、衝突被害軽減システムこそ付いていないですが、内外装の評価点もよく、ナビもフルセグTVもDVD再生もETCもバックカメラもクリアランスソナーも1年保証も付いていました。トヨタのT-Value車で整備済みなので、故障なしで今年の車検も取りました(費用は8万円でしたね)。私は愛知県在住ですが、もっと安く買えるところもあるでしょうね。
それと、ポンコツだから買った後に何十万かが飛ぶかどうかは、この流れでは関係ないでしょう。私が言ったのは、サポカー乗り換えで切羽詰まった高齢者が、自爆覚悟でポンコツを買ってしまうのでは、ということです。そして、それはあり得るということです。
※ 上のコメントで、私のカローラフィールダー45万円というのも、諸費用は別です。
⇒ 例えば2025年に、限定免許適用の年齢(75歳?)になって、そこで初めてどうするか悩む人の話をしているのですが?
または、2025年以前に既に適用年齢以上になっていても、それまではマアマア運転できていて、2025年に運転の衰えを自覚(もしくは周りから指摘)されて悩む人の話をしているのですが?
> ちなみに、私の案では、75歳でサポカーが義務になるので、(後略)
⇒ 私も誤解してましたが、サポカー限定免許には、そもそも適用年齢(75歳以上とか)はないようです。つまり、全年齢のドライバーが限定免許に変更できるみたいです。
> サポカー限定免許は免許返納までの「中間段階」として位置づけられていました。一方で、対象者は高齢ドライバーに限定されておらず、運転頻度が低く操作に自信がない方など、年齢にかかわらず申請が可能となる見込みです。
https://car-moby.jp/article/news/what-support-car-limited-license/
ひょっとして、18歳でこれから免許を取る人でも、最初からサポカー限定を(いまのAT限定みたいに)選択する人が出てくるかもしれません。我々の年代の感覚だと、それこそ一生モノの資格を、不利なところからスタートするはずはないと考えがちですが、「新型のベンツ・BMW・LEXUS以外はクルマじゃない」みたいな層もいますからね(免許取得費用を出す親が、限定免許にしとけと子どもに言う)。
すると行政のほうも、AT限定免許みたいに、サポカー限定免許は(AT限定よりもさらに)取得時の講習時間が少なくて済むようにするかもしれません。さらに2030年近くになれば、現実的にサポカー限定免許でも困らなくなって、限定免許の保有率も高くなり、頑固にそれに変更しない高齢者はますます肩身が狭くなって、変更するか免許返納するかクルマを手放すという結末になる(警察庁や国交省はそれを狙っているの)かもしれません。
誤:⇒ 私も誤解してましたが、
正:⇒ 私は誤解してましたが、