2021年12月04日

◆ 日本が防衛するべきは?

 日本が防衛するべきは、何か? 最重要のものは何か? 離島か? 本土か? もっと別のものか? 

 ――

 これを逆に問えば、「中国が最も欲しているものは何か?」ということだ。
 自衛隊は「まずは、取りやすい離島を取るだろう」と思っているようだ。しかしこれについては、私は前々項で否定した。「離島なんかを取っても、何の価値もない」というふうに。
 では、離島でなければ、何を取りたがるか? 本土か? いや、それは最後に取るべき全体である。全体を取る前には、まずは部分を取りたがる。では、それは何か? 

 ここで答えを言おう。「それは制空権である」と。
 実際、制空権こそ、軍事的に何よりも重要である。最終的には陸上を占領したがるが、その前に、制空権を得ることが必要だ。なぜなら、制空権を得ないまま、戦車などで日本を攻めても、その戦車が、日本や米国の戦闘機に爆撃されて、破壊されてしまうからである。
 「陸を攻める前に、空を奪え」
 というのは、侵略における鉄則となる。

 ――

 では、制空権を得るには、どうすればいいか? 日本と米国の戦闘機をすべて破壊すればいい。そのための方法は二つだ。
  ・ まずは対地ミサイルで、航空基地を破壊する。
  ・ さらに空中戦で、戦闘機同士で戦う。

 この二点が、中国が最初に行う軍事的活動である。

 逆に言えば、それ以外のことは、二の次となる。たとえば、以下の例だ。
  ・ オスプレイで離島を守る
  ・ 日本の近海を防護する


 こういうことに意味がないとは言わないが、制空権を確保することに比べれば、順位ははるかに劣る。どちらか一方の側が制空権を失えば(= 味方の航空戦力をすべて失えば)、その時点で、敗北は確定する。航空戦力を失った時点で、残る陸上や海上の兵力で戦おうとしても、意味がない。航空戦力を失ったなら、さっさと降伏するのが最善だ。無駄に戦っても、死者が増えるだけであって、勝敗には影響しない。

 ――

 というわけで、日本が必要なものは、オスプレイではないし、巡洋艦でもないし、戦車の輸送船でもないし、戦車でもない。必要なものは、航空戦力とミサイルである。
 特に重要なのは、国産の戦闘爆撃機だろう。国産化できないのでは、戦争のときに増産ができないから、著しく不利になる。戦争が始まってから、「米国機の購入をしたい」と言っても、とうてい無理なのだ。(売ってくれるはずがない。)
 その意味で、国産化ができない F-35 は駄目だ。現状では、作れるのは、F-2 と F-15 だけだが、いずれも旧式化している。
 となると、残るのはただ一つ。ユーロファイターの最新版だ。これを国産化して、さらに魔改造でステルス化するといい。そうするのが日本の防衛にとっては最善である。

 場合によっては、オスプレイは中古品として、外国または米国に輸出すればいい。その売却代金と、陸上イージス中止で浮いた金で、ユーロファイターの国産化に向かえばいい。さらに、F-35 の注文のキャンセルをしてもいいだろう。


Eurofighter_Typhoon.jpg


 とにかく、最優先は、国産の戦闘爆撃機だ。現実の戦力としては、それより重要なものはない。

 ※ あとは、国産ミサイルも、いくらか開発するといいだろう。



 [ 付記 ]
 ユーロファイターの最新版は、ユーロファイター 2020 である。その尾部には、推力偏向ノズルが装着され、高い運動性能を誇る。



 【 補説 】
 制空権の次に大切なものは、何か? それは、制海権だろう。具体的には、潜水艦が重要となる。
 敵の潜水艦があると、日本の輸送船はすべて攻撃にさらされる。すると、石油や LNG の輸入ができなくなって、日本はエネルギー欠乏で敗北する。(石油禁輸状態)
 そこで日本は、ヘリ護衛艦で、敵の潜水艦を攻撃をする必要がある。ヘリ護衛艦に搭載したヘリコプターを飛ばして、ソノブイを大量に投下して、敵の潜水艦の位置を探知してから、爆雷で潜水艦を攻撃する。
 というわけで、ヘリ護衛艦(= ヘリ空母)がとても重要となる。だから日本はこの兵器を重点的に整備している。四方を海に囲まれた日本にとっては、死活的に重要だからだ。
 ただしそこに搭載するヘリは、オスプレイのような大型のヘリではなく、小型で高速のヘリだ。そういうものが必要なのだが、現実には、そうなっていない。高性能ではないヘリがあるだけだ。ほとんど役立たずのオスプレイには大金を投じたくせに、何よりも重要なヘリ空母用のヘリにはろくに金をかけていないのである。
 具体的には、SH-60J および MCH-101 という 1987年式(34年前)の旧型機を使うだけだ。
  → いずも型護衛艦 - Wikipedia
  → SH-60J (航空機) - Wikipedia
 
posted by 管理人 at 23:40 | Comment(5) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
中国は世界一のロボット兵器大国です。陸海空とも大量のロボット兵器を配備し、使用しています。
最初にやるのは大量のロボット兵器による飽和攻撃でしょう。この分野に関して日本はお寒い限りで、アルメニアのごとく一方的にやられるでしょう。
Posted by ファミマ at 2021年12月04日 23:06
 確かにドローン兵器は強力だけど、幸い、日本は四方を海で囲まれている。中国本土からドローンがはるばる海を越えてやってくることはない。(大量の燃料を搭載したら、その分、爆弾の搭載量が減るので。)

 福江島に大量のドローンを運ばれたら、お手上げだが、その途中で、船を撃沈できるだろうから、大丈夫。
 結局、日本が制空権と制海権を確保しておけば、いくら中国がロボット兵器をもっていても、それを日本まで運んでくることができない。
Posted by 管理人 at 2021年12月04日 23:14
2000km、3000km飛ぶのは現在でもあります。友人機なら片道特攻させられませんが、無人機なら全部帰ってこなくてもいい。
しかも今どんどん性能があがってます。大型の親機に大量の子機を搭載する等、長距離運搬する方法はいくつも研究されてて海があるからは認識が古すぎます。
Posted by ファミマ at 2021年12月05日 06:01
> 前々項の「オスプレイは防御でなく侵略用」と、本稿の【 補説 】に関して

⇒ 「強襲揚陸艦」ってありますよね。下の「アメリカ級」なんて、日本の「いずも型護衛艦」と似てるなあ、と思いました(今の姿も、F35Bとオスプレイを運ぶ?という今後の運用面も含めて)。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E7%B4%9A%E5%BC%B7%E8%A5%B2%E6%8F%9A%E9%99%B8%E8%89%A6

 これはまさに侵略用(防衛用でない)兵器なので、アメリカのそのへんの戦略の一翼を担わされている気がします。
Posted by かわっこだっこ at 2021年12月05日 17:16
> 大量のロボット兵器による飽和攻撃

 これに対しては、大量のロボット兵器による飽和防御という対策が考えられます。
 同様のアイデアは、ずっと前に示しました。下記。(2009年)
  → http://openblog.seesaa.net/article/435847574.html
Posted by 管理人 at 2021年12月05日 21:15
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