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この件では先日、別項で言及した。日大の理事長が犯罪をして、逮捕された、という件。
→ 日大の理事長の犯罪: Open ブログ
そこではこういう犯罪が起こった根源を探った。だが、そこで示したのは原因であって、対策ではない。対策については、新聞記事の内容を軽く紹介しただけだった。
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対策については本日の朝日新聞が現況を紹介している。私大改革案があるが、反発を受けて、なかなかまとまらない、という話。
《 学校法人の最高機関・理事会を格下げ 有識者会議案に私大が猛反発 》
文部科学省の有識者会議が3日、最終報告書をまとめた。最高議決機関である理事会が、教職員など学内関係者が中心となっていることで機能不全に陥っていると指摘。評議員会を学外の人だけでつくる組織に変え、最高議決機関に「格上げ」するよう求めている。ただ、私立大側は強く反発しており、文科省が作成する法案にこの案がそのまま反映されるかは不透明だ。
現行制度では、理事会が最高議決機関で、評議員会が理事長の諮問機関となっている。報告書は、
@評議員会を最高監督・議決機関にして、事業計画、予算、他大学との合併など重要事項を決める権限を与える
A評議員は学外者のみで構成する
B理事や監事の選任・解任は評議員会が行う
C学校法人の規則を定めた「寄付行為」の名称を「定款」に変更する
――などの点を盛り込んだ法改正を求めている。
改革会議は「学内関係者が多い理事会では理事長らを監督できない」との基本スタンスで議論を進めた。
私立大側は猛反発。「(学外者だけの評議員会では)長期的視野で、責任をもって教育研究の支援・運営に関する経営判断の是非を議論するのは困難」と訴えた。早稲田大や慶応義塾大など多くの大規模大が加盟する日本私立大学連盟は「株式会社の考え方を導入しようとするもので合理性を欠く。このままでは私立大の健全な経営と教育研究の発展を阻害する」と批判してきた。
だが、改革会議は公認会計士や弁護士、元企業経営者、会社法や企業統治に詳しい大学教授らで構成され、私立大の立場を訴えるメンバーは少数派。反対の声を押し切る形で今回、報告書がまとまった。
私立大のガバナンス強化をめぐっては、改革会議の前に別の有識者会議でも議論が行われていた。文科省が昨年1月に設置し、今年3月に報告書を出した「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」だ。19年の骨太の方針を受け、学校法人制度改革の基本的な方向性を示すために設けられた。
この会議でも、評議員会を最高議決機関にすべきだという意見は出たという。だが、私立大関係者や研究者から異論が出て、諮問機関の位置づけは変えずに、評議員会の権限を強める内容に落ち着いたという。同会議の関係者は「今回の改革会議の報告書では、そうした議論の成果が排除され、内容が先鋭的になった」と指摘する。
文科省は今後、私立学校法の改正案づくりに取りかかる。この際、無視できないのが自民党の意向だ。11月29日の同党の文部科学部会では、改革会議の案に対して「現実をふまえた結論にすべきだ」「撤回して考え直すべきだ」といった厳しい指摘が続出した。
( → 朝日新聞 )
簡単にまとめれば、こうだ。
・ 理事長の暴走を留められなかった。
・ 理事会の制度的欠陥が明らかになった。
・ 有識者会議が、理事会の上に立つ評議会(学外者のみ)を提案した。
・ 大学側が猛反発した。自民党の文部科学部会も同調した。
・ 話が紛糾したまま、文科省は何とかまとめようとしている。
文科省は何とかまとめようとしているのだが、これほどにも対立がひどくては、うまくまとめようがないだろう。あちらが立てば、こちらが立たず。困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
・ 実行機関と監視機関を分離する。
・ 評議会に、実行と監視の双方を機能を委ねることはしない。
・ 第1に、実行機能は、理事会および学長がもつ。
・ 学長は、学長選による選任か、理事会による選任。
・ 理事は、学内者を主体に、評議会が選任する。
・ 第2に、監視機能は、評議会がもつ。
・ 評議会は、学長や理事や理事長を解任できる。
これはいわば、学長・理事会・評議会の三権分立のようなものだ。

これによって、権限の集中をなくすので、「理事長が暴走して、それを誰も止められない」ということがなくなる。つまり、改革の狙いは達成される。
一方で、日常的な大学経営の機能は、学長または理事会に委ねられるので、「学外の素人がよくわからないまま全権限をもつ」という難点は排除される。つまり、大学側の希望も通る。
以上で、問題は解決する。(困ったときの Openブログ。)
【 関連サイト 】
朝日新聞の社説もある。
→ (社説)日大不祥事 信頼を取り戻すために:朝日新聞
「関係者は何とかしろ」と注文を付けるだけで、自分からは何も提案しない。代案はない。単に文句を言うだけだ。