2021年12月01日

◆ 自動運転技術:日産・トヨタ・ホンダ

 最新の自動運転技術の動向。日産とトヨタとホンダはどうしている?

 ――

 日産自動車


 日産自動車は、長らく単眼カメラ方式のみを採用してきたが、新たに、ライダー(LiDAR)重視の方針を打ち出した。

nissan-lidar.jpg


 これは次の動画の 37:35 の箇所だ。




 トヨタとホンダはすでにライダー搭載の車種(1000万円クラス)を出しているが、日産はまだだった。それで遅ればせに、LiDAR を採用する方針を出したようだ。
 上の動画では「素晴らしい先進性」と威張っている感じだが、トヨタやホンダの先行を許したので、「遅ればせに」というのが正しい。

 さらにもう一つ、重要な問題がある。「ライダーは黒い物体を検知できない」ということだ。ライダーは近赤外線レーザーを使うが、黒い物体はそれを吸収してしまうので、反射しない。すると、検知が不可能になるのだ。

 この問題は、ステレオカメラでは生じないが、ライダーでは生じる。特に、黒い服を着た歩行者を検知できないのが致命的だ。このことを理解できないまま、「ライダーは高精度で高性能だ」なんて言っているようでは、頭がおめでたすぎる。

 ※ この件は、前にも下記で論じた。
  → LiDAR とステレオカメラ: Open ブログ
  → 日系各社の自動運転技術: Open ブログ
  → 自動運転車の事故(トヨタ): Open ブログ

 トヨタ


 トヨタの自動運転技術はどうか? コスト面を無視すれば、現時点では日本メーカカーでは最も優れた自動運転技術の車を市販している。レクサスとトヨタミライがそうだ。いずれも複数のライダーを搭載しており、かなり高度な自動運転を実現している。
 とはいえ、ライダーを採用するという意味で、ハード面では優れているのだが、ソフト面ではまだまだのようだ。というのは、先にトヨタの自動運転車が歩行者事故を起こしたからだ。
  → 自動運転車の事故 2: Open ブログ

 ここでは次のように結論している。
 結局、この事故は、トヨタの自動運転システムに設計ミスがあったのが根源となる。まともなドライバーならば、横断歩道を横切るときには、時速3km 程度で徐行するものだ。(特に、横断歩道のそばに人がいると確認した場合にはそうだ。)
 こういう当然の常識をもって、自動運転システムを設計するべきだった。なのに、その常識をもたないで設計したことになる。つまり、トヨタの自動運転システムが馬鹿すぎたのだ。馬鹿が設計したから、馬鹿なシステムができた、というだけのことだ。
 機械や技術がどれほど優れていても、肝心のシステム設計者が馬鹿であれば、馬鹿が設計したとおりに、馬鹿なシステムができる。そういうことだ。

 最後の段落を、言い換えると、こうだ。
 「ライダーのような高級なハードウェアいくら搭載しても、肝心のソフトウェアが駄目ならば、システム全体としては駄目なシステムになる」
 これがトヨタの現状だ。

 ――

 では、どうしてこうなったか? 
 そもそも、トヨタは自社でまともに自動運転技術を開発してこなかった。もともと自社技術が低いので、米国の最高レベルの技術者(ギル・プラット)を招聘した。(2016年)
  → 自動運転車と AI: Open ブログ
 しかしのちに、私はこれを低く評価した。(2018年)
 これを聞いたときには「冴えている」と感じたが、今にしてみれば、これは「自社開発を捨てた」というのに近い。開発の丸投げだ。

 トヨタの方針は迷走しているとしか言えない。これでは、ボルボやベンツに大きく遅れて、後塵を拝するしかあるまい。
( → ギル・プラット

 その後、トヨタはウーバーに 10億ドルを出資して、自動運転技術の後れを、一挙に挽回しようとした。(2019年)
  → トヨタがウーバーに10億ドル出資で描く自動運転の未来|日刊工業新聞社

 ところが、ウーバーの自動運転車は、事故を続発させて、技術水準の低さを見せつけた。ウーバーはこれまで莫大な額を自動運転技術に投入してきたのだが、しょせんは自動車会社ではない素人会社の悲しさで、できたものはゴミのような技術だけだった。
 かくてウーバーは、自動運転技術から撤退することに決めて、オーロラという会社に身売りされた。同時に、トヨタの自動運転技術も頓挫した。この件は別項で論じた。
  → トヨタの自動運転が頓挫: Open ブログ

 ウーバーが会社を身売りしたとき、会社の大部分はオーロラ社に引き継がれたが、ウーバーの技術者だけは引き継がれなかった。(「おまえたちの技術はゴミ同然だ」と判定されたわけだ。)
  → 自動運転車開発のAuroraが買収したUber ATG従業員の大半にオファー、ただし研究開発ラボは対象外

 トヨタがウーバーに投じた巨額の金も無駄になったわけだが、それでもとりあえず、あとを継いだオーロラ社と協力することで、かろうじて自動運転技術を手に入れている。とはいえ、オーロラ社の自動運転技術も、決して傑出した出来映えではないので、先は見通しづらい。
 ウーバー時代のように「お先真っ暗」というほどではないにせよ、オーロラ時代でも、トヨタの自動運転技術は決して前途洋々ではない。

 ホンダ


 ホンダは先に「世界初の自動運転レベル3を実現」と標榜した。
  → ホンダの世界初となるレベル3自動運転車は、なぜフロントにカメラが2つあるのか? - Car Watch

 だが、この車はついに市販されなかった。あくまでリースという形の貸与であって、販売はされなかったのだ。
 また、レベル3 というのも、高速道路の渋滞時だけであって、羊頭狗肉もいいところだった。
 現実的には、2年も前に出た日産のプロパイロット 2.0 とほとんど同然であったようだ。
 そして、そのまま、とうとう生産中止が決まった。
  → ホンダ レジェンドが2021年に生産終了!
  → ホンダが迷走!? オデッセイやレジェンドなど続々終了! | くるまのニュース
 ホンダ「オデッセイ」「レジェンド」「クラリティ」は2021年、「S660」「NSX」は2022年に生産終了することになり、主力モデルや歴史あるモデルが次々と姿を消しています。

 自動運転車だけでなく、車種そのものが生産中止になる。ひどいものだ。
 このまま会社が存続するかも心配になってくる。



 [ 付記 ]
 トヨタもホンダも、自動運転技術がまともにできなくて、困っているようだ。どうしたらいいか? 
 そこは、困ったときの Openブログ。うまい案を教えよう。こうだ。
 「東京に、自動運転技術の研究所を設立する。そこでは相場の2倍の高給を払って、超優秀な人材を内外から集める。また、修士号・博士号の取得者も優遇する。研究所内では英語も公用語ふうの扱いにして、外人をいっぱい集める」
 これで国内各界の優秀な人材を集めることができる。これぞ飛躍の王道だ。逆に、ウーバーに 10億ドルを出すというのは、最悪の大馬鹿野郎の方針だ。こんな決断をした責任者は、追放するべきだ。





  《 加筆 》
 コメント欄で教わったが、トヨタはすでに東京都内に、自動運転の研究所を設立しているそうだ。
  → ウーブン・プラネット・ホールディングス - Wikipedia
posted by 管理人 at 20:55| Comment(3) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>[ 付記 ]
>「東京に、自動運転技術の研究所を設立する。(後略)」

⇒ トヨタは、いちおう、既にあるといえばあるのですが。ウーブン・コア株式会社といいます。旧称は、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社(通称 TRI-AD)でした。
 トヨタは、東京に何か所か、先進技術研究・開発の拠点を持っています(規模・中身が十分かどうかはわかりませんが)。

 https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/33786132.html
Posted by かわっこだっこ at 2021年12月01日 22:31
 情報ありがとうございました。調べてみたら、

> ソフトウェアファーストを基にしたアジャイルな開発、グローバル採用、社内公用語を英語にする等、仕事の進め方や社内ルールを新たに構築し、従来のトヨタグループ各社とは異なる次世代の開発スタイルを取っており、
> 従業員数 700名

 ということなので、けっこう頑張っていますね。私の提案がかなり取り込まれている。給料の点以外は、かなりよくやっていると言えるでしょう。

 だけど、会社が日本橋というのは、ちょっとヤバいね。通勤地獄に苛まれる。もうちょっと都心から外れた方が良かった。渋谷か新宿か池袋あたりの方が良かった。それなら通勤も少し楽になる。
 そもそも、都会の喧噪は、研究には適していない。アップルや楽天は、山手線の外に位置しているので、そういう方が良かった。

Posted by 管理人 at 2021年12月01日 23:26
 給料も良かった。1名の報告だが、

> 1,070万円
  https://nenshu-zukan.com/company/7010001190238

 とあるから、かなり良い方だ。

 といっても、このくらいの給料は、トヨタの 30歳でももらえる。
   https://x.gd/i9r6c

 その意味では、「トヨタ並み」なので、「相場の2倍」という条件は満たしていない。
 エリートを呼ぶつもりにしては、しみったれているね。
  https://www.woven-planet.global/jp/careers

 ――

 都心に勤務すると、満員電車に揺られて、通勤に1時間。往復2時間。その上、物価も高い。これで実質所得が2割減ったのも同じだ。

 仮にこの会社の給料が、トヨタ本社と同じだとしたら、上記の2割減の分、生活水準が2割低下することになるね。大損だ。
 トヨタ本社勤務に比べると、東京の研究所勤務は、左遷も同然だ。「実質給与が2割減の降格」という形だ。

 ――

 その点、アップルや楽天は、東京のことがよくわかっている。トヨタは、田舎者だから、東京に研究所を作るときでさえ、立地のことがわかっていない。まったく田舎者は困るね。

 ※ 東急線や京王線の沿線には、高所得のエリート層が住んでいる。そういう地域には超秀才も多い。埼玉や千葉とは違う。だから、超秀才の人材を求めるなら、そういう地域に立地するべきなんだ。
Posted by 管理人 at 2021年12月01日 23:46
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