2021年11月23日

◆ 鉄道のバリアフリー化で値上げ

 都市圏外の無人駅でバリアフリー化を推進するために、鉄道料金を 10円ほど値上げする方針が出た。

 ――

 (前項の)富士山の降灰対策をしない政府は、かわりに何をやっているか? よほど暇らしくて、余計なことをやろうとしている。次のように。
 「首都圏の乗客に料金値上げを課して、それで奪った金で、地方の駅のバリアフリー化を達成する」


 ※ これは「他人の金を使って、自分が善行をしたつもりになる」という、一種の詐欺行為だ。


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 記事を示そう。
 鉄道駅のバリアフリーを進めるため、国土交通省は19日、運賃に整備費用を上乗せできる制度を12月に創設すると発表した。東京、大阪、名古屋の3大都市圏で最大10円の上乗せを想定しており、開始は2023年春以降となる見込み。
 利用者が多い都市部で薄く広く負担してもらい、国の予算を整備が進まない地方に投入する狙いがある。
( → バリアフリー費、鉄道運賃に上乗せ 最大10円想定 国交省:朝日新聞

 これはどういうことかというと、先日、「車椅子の身障者が駅でエレベーターがなくて困った」という件が話題になったことにちなむ。
  → 鉄道駅の車椅子対応: Open ブログ

 この問題が起こったあとで、世間では賛否両論の論議が起こったが、政府としては、「金で解決する」という方法を選んだ。ただし、政府の金は出さずに、乗客の金を使う。また、受益者となる地方民が自分で払うのは(金がなくて)無理なので、首都圏の都市住民が払う。つまり、「他人の金でウハウハ」というわけだ。
 一方、そのとばっちりを受けるのが、首都圏の都市住民だ。もともと大幅黒字路線という形で、費用以上の多額の高額料金を払っているところへ、さらに上乗せの形で、地方駅のバリアフリー化費用を負担することになる。
 なお、日経の記事では、次の記述がある。
 対象地域は東京や名古屋、大阪など都市圏が中心となる。利用者数が多ければ追加料金の水準を抑えられるためだ。地方鉄道のバリアフリー整備費は既存の補助制度で重点的に支援する。
( → 駅バリアフリー化で運賃上乗せ 23年春から10円程度: 日本経済新聞

 これは誤解を招きやすい記事だ。「対象地域は東京や名古屋、大阪など都市圏が中心となる」ということで、都市圏の乗客が受益者負担をするかのように記している。しかし、そんなことはない。なぜなら、都市圏ではすでにバリアフリー化は 100% 近く達成しているからだ。
 東京の公共輸送機関では、ほとんどすべてがエレベーターを設置している。設置していないのは、中野駅ぐらいだ。
 東京に関する限りは、バリアフリー(車椅子対応)は大幅に進展している。これは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、数年前から大規模なバリアフリー工事がなされていたからだ。
( → 鉄道駅の車椅子対応: Open ブログ

 都市部の住民にとっては、駅のバリアフリー化はほぼ達成されているので、新たにバリアフリー化がもたらされるわけではない。なのに、果実を与えられないまま、金だけを取られるのである。何のために? 都市部の周辺の田舎駅でバリアフリー化を達成するためだ。

 それでも、バリアフリー化をしないと身障者が鉄道駅を利用できないという問題があるのならば、何とかしてバリアフリー化を達成するべきだとは言える。
 しかし実は、バリアフリー化をしなくても、身障者が鉄道駅を利用することは可能なのだ。そのためには、IT技術を使うだけでいい。情報伝達を上手にやるだけでいい。それだけのことで、身障者の問題は解決するのだ。そのことを、先の項目で説明した。
  → 鉄道駅の車椅子対応: Open ブログ

 そこでは説明した上で、こう結論した。
 結局、「ネットリテラシーさえあれば、車椅子の人であっても、何不自由なく旅行ができる」ということで、話は解決するのである。あらゆる無人駅をバリアフリーにする必要はない。JR のサイトを見やすくすればいい。それだけのことなのだ。問題の解決すべき点を、間違えてはいけない。

 身障者が不自由なく鉄道駅を利用するためには、JR のサイトを見やすくするということだけで足りる。たったそれだけのことで、問題は完全に解決するのだ。
 なのに JR は、都市部の乗客から莫大な金を徴収して、ほとんど利用者のいない無人駅で、ほとんど存在しない身障者のために、高額なエレベーター設置工事をする。愚の骨頂とはこのことだ。完全なる無駄遣いといってもいい。

 そして、その一方で、国にとって致命的とも言える富士山降灰への対策は、何一つしないでおくのだ。( → 前項 )
 これではもはや、狂気の沙汰と言ってもいいだろう。



 [ 付記1 ]
 上の朝日の記事には、次の記述もある。
 国が18年に実施したアンケートでは、運賃への上乗せに対する賛成意見は約5割で、反対意見は2割弱だった。

 これを素直に読むと、「多数が賛成しているから多数決で」というふうに読める。だが、ここには二つの難点がある。

 (1) 「都市部の住民の金を奪って、地方民に渡す」という方針なら、地方民の方が多いので、多数決による強奪が成立してしまう。これでは「泥棒の合法化」に等しい。公正さとは異なる、多数派の暴力だ。
 こういう発想の下で、「1票の格差の拡大」とか、「ふるさと納税による収奪」とか、「鉄道料金で都市部住民ばかりがやたらと負担して、満員電車に苦しんでいる」というような不公平が発生する。
 ここには「公正さ」がない。

 (2) 「問題の解決には JRのサイトを見やすくするだけで足りる」という別案が記していない。最善の方法を示さず、最悪の方法だけを示して、その諾否だけを尋ねている。質問そのものが誘導尋問ふうである。
 ほとんどインチキなアンケートだと言える。

 [ 付記2 ]
 実は、値上げは、この値上げだけでない。さらに、別の値上げもある。
 首都圏の主な私鉄8社の2020年9月中間決算が12日出そろった。コロナ禍の影響が直撃し、8社とも最終的なもうけを示す純損益が赤字となった。テレワークが定着し鉄道の利用客がもとに戻るのは難しいとみて、各社は収益力の引き上げを迫られている。
 今後は運賃の値上げなどで、利用者の負担が高まることが懸念される。関西の私鉄では値上げを検討するところも出てきた。
( → 首都圏、私鉄8社が苦戦 軒並み赤字、改革急ぐ 中間決算:朝日新聞

 東急電鉄が主要路線の運賃値上げを検討していることがわかった。渡辺功社長が14日、3カ年の中期事業戦略のなかで明らかにした。新型コロナウイルスの影響で定期券利用者が大きく減少し、今後コロナ前の水準までの回復は見込めないと判断したという。2023年度までに初乗り運賃を数%値上げする方針。
( → 東急、初乗り運賃を値上げへ:朝日新聞


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posted by 管理人 at 22:54| Comment(0) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
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