2021年11月14日

◆ アリアの空気吸入口は何?

 アリアの前面の左右には、空気吸入口があるが、これは何なのか? 何のためにあるのか?

 ――

 アリアの前面の左右には、空気吸入口がある。ヘッドライトの下にあり、縦に細長くなっている、黒い部分だ。左右各1つ。
 

aria01.jpg


 これは空気吸入口だが、いったい何のためにあるのか? エンジンを冷やすための空気を取り入れるわけではないのだが。(エンジンはないので。)

 これは謎だ。謎の回答が知りたいが、きちんと教えてくれるページはない。たとえば、下記ページでは何も説明していないに等しい。
  → フロントバンパーやグリルの「穴」が果たす役割りとは? | GAZOO

 答えがうまく見つからない。困った。どうする?

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 そこで、困ったときの Openブログ。うまい説明を出そう。こうだ。
 「この空気吸入口は、空気抵抗を減らすためにある」

 その理由は二つ。

 (1) ここより外側に向かって流れる風を、ここで遮断する。車の外側に流れるかわりに、車体内(空気吸入口の内部)を流れるようにする。すると、車体から外側へと移動していく風がなくなるので、車体の角で剥離する空気の流れがなくなる。(車体の外側では)前から後ろへと風がなだらかに流れるようになる。かくて、空気抵抗が減る。
 
 (2) 車体内(空気吸入口の内部)を流れた風は、ダクト(管)を通じて、ホイールアーチ内で排気される。その風は、タイヤの後方と上部を通ったあとで、ホイールアーチからボディーのサイド側の空間へ排出される。すると、その空間は、(1) の空気の流れ(車体前方の角から外側へ流れる空気の流れ)のせいで、負圧になっている空間である。その負圧の部分に空気が注がれるので、この負圧の部分の負圧が解消される。
 この負圧が解消されると、(1) の空気の流れの正圧との圧力差が弱まる。圧力差が弱まると、「正圧から負圧へという力」が減少する。本来ならば、「正圧から負圧へという力」のせいで、いったん外側に大きく外れた空気の流れが、車体に向けて戻ろうとするので、空気の流れがバタバタと揺らぐ。空気の流れが、車体に近づいたり、離れたりする。こういうふうに、空気の流れがバタバタと揺らぐはずだ。ところが、負圧が解消されれば、正圧との圧力差が弱まるので、こういうバタバタとした揺らぎは消える。そのことで、空気抵抗が減る。(空気の渦が消える、という言い方をしてもいい。)

 空気の渦の参考動画は下記。








 以上のように私は推測した。

 ――

 その後、ネットでさらに調べてみたら、次の情報を得た。
  "エアロスリット"がある.これは,フロントバンパのサイドコーナー部に縦スリットを設け裏側にダクト構造を有したものであり,横風受風時のみ,ダクト出入り口間の圧力差によりスリットから流れを吹き出させてフロント風下側の流れを積極的に剥離させ,負圧を低減してヨーイングモーメントを小さくするものである.横風が無い時はダクト出入り口間の圧力差が無くなるため吹き出しは起こらず,バンパー表面の流れを剥離をさせないためCDを悪化させない 6) .この構造の特徴は,わずか100mm 強の高さのスリットにより,車体周り全体の流れを制御できていることである.エアロスリットの有無による流れの違いを図13 に示す.
( → 
自動車と流体力学 : 車体周り流れと空力特性


 この説明では、「横風受風時のみ……負圧を低減してヨーイングモーメントを小さくする」というものだ。私の説明に似ているが、ちょっと規模が小さい。

 ――

 また、同様の空気吸入口は、他社のモデルにも見られる。空気抵抗係数が小さいベンツ新型 Cクラスには、横長の空気吸入口がある。
  → The C-Class Sedan - メルセデス・ベンツ日本
  ※ ただしこれは内燃エンジン車なので、ラジエータの冷却用を兼ねているかもしれない。

 BMWの EV には、縦型のスリットがある。これは日産アリアに似た感じだ。
  → BMW、新型EVの『iX3』 | レスポンス(Response.jp)

 空気抵抗が少ないことで有名なのは、電気自動車の Lucid Air (Cd:0.21 )だ。
  → EV「Lucid Air 」が他社EVをしのぐ空気抵抗係数を達成したと発表
 その空気吸入口は、日産アリアに似た縦長スリットだ。
  → Lucid Airが航続距離約837kmを達成、テスラを凌ぎ市販EVトップに(画像)

 ――

 直接の裏付けになるわけではないが、他の情報と照合すると、私の仮説でたぶん合っているだろう(これが正解だろう)、と思える。



 【 関連サイト 】

 次の動画は、日産のコンセプトカー IMs だ。(ショーモデル)
 この車では、空気取り入れ口がいっそう顕著になっている。(27秒)





 逆に、リアには空気排出口があるが、これも負圧を減らすためのものだろう。

 上記は 2019年のコンセプトカーだが、2017年のコンセプトカーで、すでに同じ意匠が見られる。
  → 日産の新しいコンセプトカーは、「歌う」ことで街の景色を変える。

posted by 管理人 at 10:16| Comment(4) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 全てのEVについては把握していませんが、リーフについては、従来のエンジン車と同じような冷却系(ラジエータ、電動ポンプ、リザーバータンク)があるようですね(下のURL)。

 https://minkara.carview.co.jp/userid/526128/car/1055442/5151719/note.aspx

 https://www.hirojapan-shop.net/item/PL022652/

 上のURLの記事の写真をみると、(先代ZEO型?)リーフのラジエータユニットは、やはりフロントのエンコパ(エンジンコンパートメント)に収められているのでは。すると、前面に「ラジエーターグリル(空気吸入口)」があるはずです(開口面積は小さいにしろ)。

 それで、冷却液でEVの何を冷やしているかというと、主にインバータみたいですね。インバータは当然ハイブリッド車にもあるので、これも全てのHEVについては把握していませんが、トヨタのTHSではエンジンの冷却系とインバータなどの冷却系の2系統(2回路)を持っています(回路は別だが冷却液の種類は同じ)。初期のTHS(初代プリウス?)は、インバータ以外に2つのモータも冷やしていて、さらに冷却系が複雑だったという情報もあります。

 本ブログの前稿でも記載のあるとおり、「アリアのモータ出力は化け物じみている」ので、リーフに比べてインバータ冷却系の容量も大きくなった⇒空気吸入口もエンジン車と見まがうばかりにハッキリした、のではないでしょうか。それに加えて、前稿でも述べられているとおり、バッテリーも従来の空冷から液冷に改められた可能性があるのなら、なおさらです。
Posted by かわっこだっこ at 2021年11月15日 01:28
 すみません、上の自分のコメント、

> エンジンを冷やすための空気を取り入れるわけではないのだが。(エンジンはないので。)

 という文脈で間違って読んでましたが、フロントバンパーの中央ではなく、左右のスリットのことですか。であれば、ほぼ本稿の趣旨どおり、空力がらみではないでしょうか。
 つまり、フロントのタイヤハウス内の整流。タイヤが高速回転をしてタイヤハウス内に乱流が発生⇒回転抵抗が増大⇒燃費が悪化 となるのを抑制するために、フロントバンパー側からタイヤハウス内に空気を積極的に送る⇒タイヤハウス内の空気圧が高まる⇒タイヤの横側や下側からの空気の取り込み(巻き込み)を防ぐ、といった狙いでは?
 もしこのスリットがEVに多用される傾向なのであれば、その理由は、やはり燃費悪化抑制か、タイヤハウス内からのノイズ抑制(EVではエンジン車よりここからのノイズが気になるから?)、といったところかもしれません。
Posted by かわっこだっこ at 2021年11月15日 02:36
 アリアの前面の黒い部分は、たぶんダミーであって、全面が黒いパネルであるようです。空気は通れないと思えます。(空力からしても当然。)
 → https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17457792

 空気を取り入れるのは、バンパー下の横長の開口部で、ここからラジエーター冷却用の空気を取り入れるのでしょう。この方式なら、ダウンフォースを得られるので、空力的に有利。
Posted by 管理人 at 2021年11月15日 10:20
> 空気を取り入れるのは、バンパー下の横長の開口部で、ここからラジエーター冷却用の空気を取り入れるのでしょう。この方式なら、ダウンフォースを得られるので、空力的に有利。

⇒ なるほど、そのとおりですね。黒い部分は単なる意匠ですか。しかし、こういうエンジン車の残滓みたいな部分がない、EV車とハッキリわかるデザインにしてほしかったですね。

<補足>
 すみません、直前の自分のコメントで、フロントバンパースリットからの流入空気でタイヤハウス内の空気圧を高める、と書きましたが、そこは正しくなく、あくまでタイヤハウス内の整流・整圧です。タイヤハウス下側や横側からの空気の流入・巻き込みを抑えるのが狙い、と書いた部分は正しいです。下側からの流入というのは、下の記事の写真で、青色の矢印の流れです。もし、流入空気によってタイヤハウス内の空気圧が大きく上昇したら、同じ写真のピンクの矢印の力(リフトさせるような力)が発生して、管理人さんも言われているせっかくのダウンフォースがキャンセルされるので、よろしくないです。

 http://www.tm-square.com/minoru/?p=7176

 この青色の矢印の流れを抑える部品には、他にもタイヤディフレクター(フロントバンパーの下に付きだした小さい泥よけのようなもの)があります。今のクルマはフロントには大体ついていて、リアタイヤ側にもついていることが多いようです。アリアにも前後しっかりついていますね。

 https://www.webcartop.jp/2018/01/196015/
Posted by かわっこだっこ at 2021年11月15日 10:54
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