2021年11月10日

◆ 森林伐採:アマゾンと日本

 「地球温暖化の阻止」を日本政府は口にしているが、実際には、やっていることが矛盾している。国内では、太陽光発電を抑止して、森林伐採を推進している。

 ――

 どういうふうに矛盾しているかというと、こうだ。
  ・ 一方では「森林伐採」に反対している。
  ・ 他方では「森林伐採」を推進している。

 どちらも「地球温暖化の阻止」をも企図しているが、やっていることが正反対だ。具体的には、次の通り。

 (1) アマゾンの熱帯雨林

 アマゾンの熱帯雨林については、森林伐採への批判が世界的にある。日本政府もこれに同調している。
 英スコットランド・グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、日本を含む世界100カ国超の首脳は2日、2030年までに森林破壊を終わらせると約束する文書に署名した。これは今回のCOP26で最初の主要な共同声明となる。
 合意の署名国には、アマゾン川流域の熱帯雨林で大規模な森林伐採を進めているブラジルも含まれた。
( → 【COP26】 森林破壊を2030年までに終わらせると100カ国超が署名 - BBCニュース

 違法伐採が問題になっている世界最大の熱帯雨林アマゾンで、日本の衛星データや技術が監視態勢を支えている。今年からはブラジルで人工知能(AI)を使い、違法伐採のリスクがある地点を自動予測するシステムの開発も始まった。
 取り締まりを担うブラジル国立環境・再生可能資源院(IBAMA)は、日本の国際協力機構(JICA)の協力でつくられたシステムを使い、対策にあたってきた。
 日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星から送られるデータから焼失地点を検出。分析官らの経験などから次に森が伐採されそうな地点を予測する。

( → アマゾンの違法伐採、日本のAIで監視へ 1年で岐阜県並みの消失 :朝日新聞

 以上の話は、ごく当たり前のことだ。特に着目するべきことでもない。

 (2) 日本は太陽光パネル敷設で森林伐採

 日本では逆に、森林伐採が推進されている。多額の補助金を投入する形で、どんどん森林伐採をしろと推奨しているのだ。地球温暖化を阻止するため、という滅茶苦茶な理由で。
 それが、「メガソーラーの推進」という制度だ。下記記事を参照。
  → メガソーラーに強まる逆風 地震があったら? 地域への影響は?:朝日新聞

 先日あった、熱海の土石流の惨事では、直接の原因は盛り土であったようだが、そばにあるメガソーラーも犯人ではないかと疑われた。実際に犯人であったかどうかについては何とも断言できないが、ここではメガソーラーが森林を伐採して作られたことが問題視された。
 このとき、森林伐採に直接的に補助金が出たわけではないが、メガソーラーには(太陽光発電の援助という形で)高めの固定価格買い取り制度が適用されて、実質的には、森林伐採に(間接的に)補助金が出たのも同然となった。

 つまり、日本は一方ではアマゾンの森林伐採に反対しているのだが、一転して、日本国内では、森林伐採を推進しているのである。それも、「地球温暖化を阻止するため」という名分の補助金で。……頭がイカレポンチというしかないね。狂気の沙汰だ。

 ――

 さて。話はここでは終わらない。もっと先がある。
 以上のように狂気的な現状があるのだが、それはどうしてか? 事情を探ると、以下のことがわかった。
 
 問題の根源は、「農地転用」という制度にある。
 本来ならば、太陽光パネルは、森林を伐採することなく、ただの荒地に敷設すればいい。日本には荒地となった平地が、ものすごくたくさんあるからだ。
  ・ 平野部の耕作放棄地
  ・ 山間地の段々畑などの耕作放棄地

 こういう平地は、ものすごくたくさんある。だから、これらの土地に太陽光パネルを敷設すれば、大量の太陽光発電が可能となるのだ。

 ところが現実には、それらの耕作放棄地に太陽光パネルを敷設することはせず、かわりに、緑の森林を伐採して、そこに太陽光パネルを敷設する。(あげく、土砂崩れを起こすこともある。)
  → 毎日新聞が異例の「太陽光発電の公害」を告発! ただ莫大な国民負担には触れず!
  → 太陽光発電施設の立地を分析 1100か所余に土砂災害リスク | NHK

 ではなぜ、こういう本末転倒のことが起こるか? それは、「農地転用」という制度のせいだ。この制度は、こうなっている。
 「平地における太陽光パネルの設置は、厳しく制限される。太陽光パネルを設置したくても、そのためには農地転用の許可を得なくてはならないが、その許可はまず下りないからだ。結果的に、太陽光パネルの設置は禁止される」
 「山林における太陽光パネルの設置は、制限されない。山林はもともと農地ではないので、農地転用とは見なされないからだ。山林はもともと、何を設置しようが構わないのである。住宅の制限もないから、勝手に住宅を建設しても構わない。同様に、勝手に太陽光パネルを設置しても構わない。そのために森林を伐採するのも、もちろん構わない。(自分の所有地であれば。)」

 こういう事情があるのだ。詳しくは下記を参照。
  → 農地転用の許可が農業委員会から出ませんが、どう対処すべきですか?
  → 太陽光発電による環境破壊 2: Open ブログ

 ――

 結局、農地転用の制度が厳しすぎるせいで、平地では太陽光パネルを設置できない。
 その一方で、森林開発は大甘すぎるので、メガソーラーは作り放題だ。(盛り土も大甘すぎるので、先日の事故が起こった。)
 甘くするべきところにはやたらと厳しくして制限し、厳しくするべきところはやたらと甘くして野放図にする。……こういう逆転の状況が、今の日本にはあるのだ。



 【 関連項目 】
 ではどうして、こういうおかしなことになるのか? それについては、別項(翌日分)で解説した。
  → 太陽光発電を増やす妙案: Open ブログ

 ※ 現状では、農地転用の制度的な問題点があるわけだ。そこを正せばいい。
 
posted by 管理人 at 23:01| Comment(0) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
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