2021年11月10日

◆ 冬の電力需給が逼迫

 冬の電力需給が逼迫する、という見込みが出た。しかし政府は無為無策。

 ――

 朝日の記事から。
 経済産業省は26日、今冬の電力需給について、ピーク時の需要に対する供給の余力を示す予備率が多くの地域で3%台となり、「過去10年間で最も厳しい」とする見通しを示した。
 全国10エリアのうち7エリアが3%台となるのは過去10年で経験がないという。足元の資源高騰や発電所の想定外のトラブルなどで電力不足になることを警戒している。
 背景には、大手電力が、再生可能エネルギーの増加で稼働率が低下した古い火力発電所を休廃止していることがある。最もコストが高い石油火力はこの5年間で原発10基分が減った。
 電力需給は昨冬も逼迫(ひっぱく)した。
( → 厳冬なら、電力「厳しい」 供給余力、過去10年で最少 経産省:朝日新聞

 政府の文書はこちら。
  → 2021年度冬季の電力需給見通しを踏まえた需給ひっ迫・市場価格高騰対策|資源エネルギー庁
  → 2021年度夏季及び冬季の電力需給の見通しと対策について|経産省

 ともあれ、困ったことになった。どうする? 

 ――

 それはそれとして、別途、昨年の電力需給の逼迫についての回顧記事がある。
 地方の地域新電力は、自社でもメガソーラーなどを所有して発電しているが、電力が安定しないので、不足分を電力市場から購入している。ところが、昨年末ごろ、電力市場の価格が異常に暴騰したので、大赤字が出てしまったそうだ。
 自前の電源が少なく、電気のほぼ半分は日本卸電力取引所(JEPX)で調達している。地元の太陽光発電などから調達する2割も、FIT(固定価格買い取り制度)の電源なので、価格は市場に連動する。
 通常は1キロワット時10円前後なのに、正月休みの間も50円前後が続いた。休み明けには三ケタになり、最高価格は250円を超えた。家庭向けに販売する電気は20円前後だ。その10倍以上を支払わなければならない。高騰時のみやまSEの損失は約2億円に上り、昨年度決算の収益は1億2千万円以上のマイナスとなった。
( → 電力価格高騰で新電力の経営に暗雲 岐路に立つ地域新電力、打開策は:朝日新聞

 これは昨年末ごろの問題だ。ただ、その時点で、本サイトでも言及した。下記だ。(日付順に並べる。)
  → 電力の需給逼迫が続く: Open ブログ
  → 電力の需給逼迫の解決策: Open ブログ
  → 電力安定供給には発送電分離: Open ブログ
  → 電力自由化で電力不足?: Open ブログ
  → 電力の安定化のためには?: Open ブログ

 問題の原因も対処法も、すべてこれらに詳しく書いてある。
 つまり、上では、「困ったことになった。どうする?」と書いたが、その解決法はすでに記述済みなのである。 

 上記の各項の話を簡単に要約すると、こうだ。
  ・ 電力の需給が逼迫している。LNG輸入量の不足が主因。
  ・ 不足は慢性的でなく、一時的だから、需給調整契約の発動で解決可能だ。
  ・ 解決して、市場の価格暴騰がなくなると、大手電力会社が儲からない。
   大手電力会社としては、逼迫による価格暴騰がある方が、儲かる。
   送電会社と発電会社は、経営が一体化している。(発送電の分離なし)
   発電会社を設けさせるために、発電会社は需給逼迫を放置する。
  ・ 新聞社は事態を憂えるが、問題の本質に気づいていない。


 要するに、「発送電の分離」をすれば、問題は自動的に解決する。「需給調整契約」の発動で済むからだ。つまり、すごく寒くなりそうな日には、あらかじめ天気予報を聞いた上で、該当の企業に休業を要請すればいい。企業は数日前から天気予報で状況を把握しているから、当日までには、休業の準備は十分にできる。そして当日は休業すればいい。そういうことが、年に何日かあるが、それだけのことだ。これで問題はあっさり解決する。

 ところが、問題が解決すると、大手電力会社としては困ったことになる。「価格暴騰によって、濡れ手で粟のボロ儲け」という機会を失うからだ。実際、昨年末ごろの需給逼迫のときには、新電力は大赤字を出したが、その分、大手電力は大幅な黒字を得た。「価格暴騰によって、濡れ手で粟のボロ儲け」というのを、見事になし遂げたのだ。
 つまり、問題が解決すると、日本全体としては、電力不足が解決して好ましいのだが、電力会社にとっては、「価格暴騰によって、濡れ手で粟のボロ儲け」という機会を失うので、儲け損ねることになるのだ。だから、できることならば、需給逼迫を放置して、価格暴騰を起こして、「夢よ、もう一度」とばかり、「濡れ手で粟のボロ儲け」を期待しているのである。(悪徳商人の発想。)

 こういうことが起こるのも、「発送電の分離」がなされていないからだ。発電会社と送電会社は、形の上では別会社だが、「持株会社の傘下になる子会社」であるので、実質的には「同一会社の別部門」であるにすぎない。
 こういう構造的な問題が、「市場価格の操作」を通じて、「国民に大損をさせる形で、自社がボロ儲け」というふうになることを狙っているわけだ。

 この本質を理解しない限り、目先の対症療法で問題を解決したがるようになる。しかし、それでは、電力会社の悪徳商法を容認するだけだ。
 物事の本質を理解しないと、悪党のボロ儲けを許すばかりとなる。



 [ 余談 ]
 何でこんな あこぎなことが、是正されずに、放置されているのか? それは、例によって、あれとあれの関係だ。


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jimin      


posted by 管理人 at 22:07| Comment(0) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
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