2021年11月10日

◆ 大規模蓄電池 は開発不要

 太陽光発電で昼間に余った電力を、夜間に消費できるように、大規模蓄電池を開発する……という案があるが、その必要はない。

 ――

 こういう案を出すのは、環境保護を重視する人々だ。
 「太陽光や風力などの再生エネを増やすべきだが、電力が不安定で、使いにくい。ならば、大規模蓄電すればいい。そのための技術を開発すればいい」
 と考える。いかにも技術音痴の文系の人が考えそうなことだ。
 実際、立憲民主党は、これを公約にした。
 再生可能エネルギーによるエネルギーの地産地消や、省エネルギー、蓄電技術の向上などで、地域の活性化と雇用創出をはかります。
( → 立憲民主党基本政策 - 立憲民主党

 さすがに、こんな馬鹿げたことを公約するのは、立憲民主党だけらしい。ざっと(ネットで)調べたところでは、他の党はこんな公約はしていないようだ。
 これが馬鹿げていることは、次の記事からもわかる。
 蓄電池を使って、必要に応じて出し入れする手法はある。ただし、九州電力が運用する世界最大級の蓄電池は、整備に約200億円かけた。まかなえる電力は、一般家庭3万世帯分に過ぎない。日本全国の電力をまかなうには、研究開発も含めて数十兆円の投資が必要となる。
( → 【参院選】各党公約 置き去りのエネルギー問題 先送りや理想論羅列「おもちゃ」にするな - 産経

 金額面では、以上のように馬鹿げている。
 だが、それ以上に問題なのは、研究開発に対する原理的な問題だ。

 そもそも、こんなこと(技術開発)は、政党が公約することじゃない。それは政策ではないからだ。
 技術の発達というものは、政府の意向とは関係なく起こる。政府の方針で、技術の方向や程度を左右することはできない。多少の補助金を出しても、たいして意味はない。そもそも、いちいち政党に言われなくても、政府の開発組織がすでに実行済みだ。そのための組織もある。NEDO などがそうだ。たとえば、下記。
  → リチウムイオン電池の性能・生産コストをしのぐ革新型蓄電池の研究開発に着手 | NEDO

 立憲民主党がいちいち口に出して公約するまでもなく、第一線の研究者はすでに開発のために努力しているのである。立憲民主党は、それを知らないだけだ。現実に何をやっているのかを理解しないまま、自分の夢ばかりを述べている。
 これはつまり、願望と政策との区別が付いていない、ということだ。「こうなったらいいなあ」という話と、「こういうことを実行します」という話を、区別できていない。現場が何をやっているのかも知らないまま、自分の夢ばかりを語っている。そのあげく、何らかの技術発達があったなら、「これは立憲民主党が公約したからです」とでも言い張るつもりなのだろう。呆れた根性だ。自分では現場のことを何も知らないまま、現場の技術者の成果をかすめ取ろうとするわけだ。

 結局、立憲民主党がこういう馬鹿げたことをするのは、政策立案に理系の人間が関与していないからだ。科学的な知識もないまま、文系の人間が勝手に現実遊離の政策を立案する。だから、上記のような馬鹿げた公約をするわけだ。

 ※ ただし、自民党がまともだと言っているわけではない。


car_denki.jpg


 さて。以上は文系の無知な素人に対する悪口だった。「ひでえ罵詈雑言だな」と思った読者もいそうだ。すみません。ぺこり。
 肝心の話は、このあとだ。

 蓄電技術の開発というのは、とくにやる必要がない。なぜなら、次の方法が成立するからだ。
 「電気自動車が普及したら、その充電池を、昼間電力の蓄電池として利用できる」


 どうせ家庭用の電気自動車の半分ぐらいは、日中には庭先で停車しているのだろう。だから、その停車している電気自動車の充電池を、昼間電力の蓄電池として利用すればいいのだ。……これで、かなり大規模な蓄電池を用意できる。しかも、そのためのコストはほぼゼロで済む。(すでにあるものを他の用途に使うだけだ。新規コストは発生しない。)

 「そんなことをすると、充電池が劣化するぞ」という心配もありそうだが、昔はともかく、最近の充電池は劣化の心配はしなくていいようだ。下記の話を参照。
 2019年度版のインパクトレポート:
 すでに20万マイル走行している車両、つまり32万2000km以上走行しているテスラのモデルSとモデルXの平均のバッテリー劣化率は、なんと15%未満、
 要するに、32万2000km走行した後であったとしても、新車時におけるバッテリー使用可能容量の85%以上を保っているということが、明らかとなってきているのです。

 今回発表された2020年度版においては、32万2000km走行した後でも、そのバッテリー容量は90%弱を達成している
( → 【EV普及の不都合な真実?】 - EVeryone

 以前の充電池でも、劣化は非常に少ない。しかも新しいものでは、さらに劣化が少なくなっている。ならば、この充電池を昼間電力の充電に使っても、劣化はさして心配しなくていいことになる。
 ※ 仮に劣化があったとしても、それまでの何千回もの蓄電によってペイする(費用が償却される)だろう。

 さらに、である。もっとうまい方法がある。(既知の方法)
 テスラの自動車は、自動車本体が 10年余りで耐用年数に達して、廃車になるだろうが、そのとき、廃車になった自動車から、充電池だけを取り出して、再利用すればいいのだ。つまり、廃物利用だ。

 
 この方法を使えば、ゴミの山から、ちゃんと使える充電池(という宝)がわんさと産出する。つまり、大規模充電池のための専用電池を新規生産する必要はないのだ。捨てられた廃物(ゴミ)の山から、宝となる充電池を取り出すだけでいいのだ。非常に低コストで大量の充電池を入手することができる。

 というわけで、大規模充電池のための専用電池を新規開発する必要などはないのだ。電気自動車の廃物をそのまま利用するだけでいいのだ。これこそ名案というものだ。
 ほとんど打ち出の小槌のように、無から有を生み出すのも同然だろう。



 [ 付記 ]
 大幅に長寿命化した充電池なら、すでに CATL 社が開発済みであり、今年の6月から生産して、7月から日産アリアに搭載する予定だった。
  → CATL(世界一の電池会社): Open ブログ

 ところがこの充電池の生産は延期され、アリアの発売も延期された。アリアは、7月発売から年内発売に延期され、さらに翌年発売に延期された。現時点では、発売予定日のメドが立っていないそうだ。(予約だけは夏から受け付けているが、実際の販売はまだだ。)
 この度重なる延期は、どうも、CATL の充電池の生産が難航しているのではなかろうか。

posted by 管理人 at 20:25| Comment(3) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に  《 加筆 》 を書き足しました。
 リーフの自動運転機能の話。
Posted by 管理人 at 2021年11月11日 10:10
> 最後に《 加筆 》を書き足しました。
> リーフの自動運転機能の話。

⇒ もしかして、本稿への加筆ではなく、11/11の記事「日産リーフの中古車」への加筆ではないでしょうか?
Posted by かわっこだっこ at 2021年11月12日 20:40
 ああ、なるほど。上の管理人さんのコメントだけ残ってしまったようですね。ブログ目次?の部分には、下の注意書きがちゃんとありました。

 ※ 前日の項目(大規模蓄電池 は開発不要: Open ブログ)の加筆部分を、抜き出して、移転しました。(単独項目にしました。)
Posted by かわっこだっこ at 2021年11月12日 20:49
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