2021年10月28日

◆ ステレオカメラの新方式

 ステレオカメラ方式には、広角の画角を確保しにくい、という問題がある。どう解決するか? 

 ――

 自動運転や自動ブレーキにおいて、ステレオカメラ方式は、遠距離の物体との距離を測定するには向いているが、近距離で広範な画角を一挙に収めるには、あまり向いていない。(たとえば、横断歩道を渡る歩行者の検知。トヨタの自動運転車は、このケースで失敗した。)
 では、どうすればいいか? 

 (1) ヴィオニア社

 スウェーデンのヴィオニア社のステレオカメラは、スバル・アイサイトの最新版で採用された。
 これは、画角を2倍に広角化するものだ。単に画角を広げると、解像度が低下するので、それを阻むために、画像センサー(CMOS)の画素数を2倍にする。これでうまく行ったので、スバルに採用された。(従来の日立製は着られた。)
  → 【スバル レヴォーグ 新型】新世代アイサイトはスウェーデン社製に…日立から切り替えた理由 | レスポンス(Response.jp)

 なお、現在のアイサイトは、衝突対象との速度差が 60km/h 以下であることが、作動条件であるとされる。( → メーカー公式
 これをもっと高く引き上げるには、カメラの解像度をさらに大幅に上げる必要があるだろう。また、CPU や GPU の処理速度も向上させる必要があるだろう。

 (2) 日立アステモ

 日立アステモ(旧:日立オートモーティブ)は、長年、スバルにアイサイト用のステレオカメラを提供したが、最新版のアイサイトではスバルから切られた(失注した)。これはどうしてかというと、「広角化」というスバルからの要求に対して、ヴィオニア社はうまく応えたのに、日立はうまく応えられなかったからだ。
  → スバルから失注の日立、広角車載カメラを開発したのになぜ? | 日経クロステック

 では、日立はどこがまずかったのか? 「広角化」というスバルからの要求に対して、日立は「画角を左右でずらす」という方式を取った。図を参照。


stereo-wide.jpg
出典:IT Leaders

 これは、うまい工夫に見える。だが、良くない。中央の重なった部分はステレオカメラ方式で立体視できるが、両側(左右側)が単眼しか使われないので、立体視できない。となると、そこでは単眼カメラ方式にするしかない。
 しかしこれでは、同一のシステム内に方式が混在することになって、処理が二重化する。
 また、画素数が不足気味なので、解像度も低い。
 うまいことをやっているように見えるが、結果的には中途半端なものができてしまった、という感じだ。「間に合わせ用の応急手当品」「過渡的な製品」という感じが拭えない。とりあえずは要求性能を満たしているのだが、いろいろと不都合な点が見つかるので、合格点をもらえなかったのは仕方ない。
 最も駄目なのは、解像度が低くなりがちなせいで、高速度に対応しにくい、ということだろう。
 現在のアイサイトは、60km/h までの速度差に対応できるが、日立製だと、もっと低くなりそうだ。実際、日立製の旧製品である アイサイト ver.2 では、速度差が 30km/h までしか対応できない。( → メーカー公式
 こんなものでは全然ダメだ、と言えるだろう。

 (3) 単眼カメラと併用

 本項で新たに別の方式を提案しよう。こうだ。
 「ステレオカメラと単眼カメラを併用する」


 これはどういうものか?
 ステレオカメラは、従来品(または同様の品)を使う。画角は、あまり広角化しない。そのことで、(遠くのものがよく見える)望遠レンズ効果を狙う。つまり、遠方の物体への解像度を高める。
 一方、単眼カメラも別途、設置する。これは、広角専用のカメラであって、画角はとても広い。超広角といっていい。カメラ一つで画角 150度ぐらいを確保する。
 この場合、単眼カメラの解像度は低くなる。だが、単眼カメラが対応する物体は、近距離のものだけだから、大丈夫だ。
 なお、それでも解像度が心配であるなら、画像センサーをモノクロにすればいい。そうれば、3色の場合に比べて、画素数が3倍になる。つまり、横方向の解像度が3倍にアップする。これで、解像度を確保できる。
 
 ※ ちなみに、ハイビジョンカメラの画素数は 1920×1080≒ 200万 だが、これは3色を含む。3色をやめてモノクロにすれば、600万画素相当の解像度を得られる。とすれば、画角 150度の単眼カメラひとつで、十分な解像度を得られるだろう。
 ※ この画像センサーは、できれば、近赤外線に対応する赤外線カメラにするといいだろう。(どうせモノクロだし。可視光にする必要はない。赤外線カメラなら、夜間にも対応できる。)

 ――

 ともあれ、以上では、「ステレオカメラと単眼カメラの併用」という、これまでにない新方式を提案した。従来の枠を越えた、意外な方法である。発想の型を破ったもので、あっと驚くヒラメキだ。


bikkuri_me_tobideru_man.jpg




 [ 補足 ]
 前項の最後(およびコメント欄)では、「対向車線を走る車両との衝突を予測する」という話をした。この場合、速度差は2倍になるので、
   60km/h + 60km/h = 120km/h
 で、120km/hの速度差に対応する必要がある。日立のセンサーは 30km/h までなので、4倍に性能アップする必要がある。それにはどうすればいいか?
 画像センサー(CMOS)の画素数を4倍にすればよさそうだが、駄目だ。画素数を4倍にしても、横方向の画素密度は2倍にしかならないからだ。(縦も2倍だが。)
 では、あと2倍は、どうやって確保するか? それには、画角を半分に狭めればいい。こうすれば、望遠レンズ効果が出て、遠方の物体への解像度が2倍になる。
 結局、「センサーの画素数を4倍にする」のと「画角を半分にする」という双方の効果で、120km/hの速度差に対応することが可能となる。

 ※ 単に画角を広げただけの日立は、対応する速度が低下してしまうので、方式としては、本末転倒ふうだ。……それを避けるための方法が、「広角専用の単眼カメラを併用する」という方式だ。

posted by 管理人 at 20:31| Comment(0) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
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