2021年10月23日

◆ 解雇規制の緩和

 (雇用の流動化のために)解雇規制を緩和すべきだ、という論調がある。だが、そんなことをして、労働者虐待にならないか?

 ―― 

 「日本では解雇規制が厳しすぎて、雇用の流動性がない。これが日本経済を低迷させる。だから、解雇規制を緩和するべきだ」
 という論調がある。これについて言及しよう。

 日本は「年功給」を前提としている。これは「若いうちは賃金の支払いを免れ、年を取ってから賃金を払います」というわけだ。つまり、「出世払い」「後払い」の制度だ。日本が成長期にあるときには、この制度が労使ともに有益だった。
 だが、今では日本は成長期にはないので、この制度が会社側にとって重荷になってきた。そこで、「若いときには賃金を低くして会社の利益を増やするが、年を取って賃金が高くなる時期になったら、さっさと解雇したい」という会社が増えた。これは「いいとこ取り」だ。「権利と義務」が半々であるときに、「権利」だけを行使して、「義務」を免れたい、というわけだ。比喩的に言えば、買い物をするときに、商品だけを受け取って、料金の支払いを免れたい、というようなものだ。泥棒の論理である。(泥棒が合法化されたら泥棒は得をする、というような理屈だ。被害者のことはお構いなし。)

 しかし、である。年功給を廃止するなら、本来、「年を取ったら高給を払うのをやめる」だけでなく、「かわりに、若いときには十分な給与を払う」ことが必要だ。それなしに年功給をやめると、単に賃金支払いの総額を減らすだけになる。(泥棒の論理。)

 そこで、抜本対策をするなら、方法は二つ。
  ・ 日本全体で年功給をやめて、若いときから十分な給与を払うようにする。同一労働同一賃金。
  ・ 若い人を解雇するときには、若いときの低賃金を補償するために、その分、高額の退職金の支払いを義務づける。


 前者は無理なので、後者のみが可能となる。
 しかるに現実には、「退職金を払わないで好き勝手に会社が解雇できる」という方針を実現しよう、という意見が強い。つまり、年功給のうまいところだけを取ろう、というわけ。(泥棒の論理。)
 だが、それをやると、日本では中高年がみんな失業して、働くのは若い人だけとなる。その結果、税を払う人が大幅減になるので、(財政の破綻を避けるために)所得税や法人税は、今の何倍も払う必要がある。消費税も 10%どころか、その何倍も払う必要がある。ひょっとしたら、消費税 100%が必要になるかも。( 100円の買物をしたら、外税で 100円の消費税を払う。)
 

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 結論。
 物事には白黒両面があるのだが、自分の都合のいいところだけを取ろうとすると、あとで黒の面が押し寄せて、破滅に至る。「こんなはずじゃなかったのに」と思っても、後の祭り。
 解雇規制の緩和だけをやれば、会社は大儲けをするはずだったが、日本経済全体が破滅的になるので、会社は大損する。支払う賃金は少し減らすことができるが、法人税がべらぼうに高くなって、増えた利益から税金を莫大に差し引かれて、手元に残る額は僅少となる。それどころか、日本人の半分以上が失業者となるので、会社の売上げは半分以下に減ってしまう。あるいは、会社の数が半分に減ってしまって、今の会社の半分は消滅する。
 「しめしめ、これで大儲け」と思ったら、一挙に倒産してしまうわけだ。捕らぬタヌキの皮算用とは、このことだ。


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posted by 管理人 at 20:08| Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これは・・とても分かり易く、正鵠をついていると思います。
Posted by SM at 2021年10月24日 19:51
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