2021年10月15日

◆ 全トヨタ労連が自民に接近

 全トヨタ労連が自民党にラブコールを送って、にじり寄っている。何と自前の1議席を自民党にプレゼントするありさまだ。

 ――

 全トヨタ労連は、トヨタ自動車本体だけでなく、傘下の企業を含めた大規模な労連だが、かねて御用組合であることが知られていた。共産党系の第二組合が賃上げを要求するのに対して、「黒字は賃上げに回さすな。会社の内部留保に回せ」という方針を取って、賃上げを抑制して、会社に迎合してきた。
 その全トヨタ労連が、いよいよ本性を剥き出しにして、「反・立憲、親・自民」という方針を取り始めた。
 まずは1年前の報道で、その傾向が見られた。
  → 全トヨタ労連、与党との連携検討 自動車関連政策推進:時事
 2カ月前の報道では、その傾向がはっきりとした。
  → 衆院選、同じ志の人と連携 全トヨタ労連会長 | 共同通信
 1カ月前には、とうとう行動に移した。(10月12日)
 野党側にいた労働組合トップが与党国会議員と一緒に知事に要望に行く。それは異例の光景だった。
 全トは「民主王国」愛知を支えてきたが、共産党と野党共闘を進める立憲から離れ、昨秋から自民に接近する。4月上旬には鶴岡氏と藤川氏が名古屋市で酒席を囲んだ。選挙協力の話は一切なかったというが「それで全トの信頼を得た。歴史的会合だ」(自民関係者)とわく。
 いま、全トを与党へと突き動かすのは、CN(カーボンニュートラル)への対応を誤れば様々な部品で成り立つ自動車産業の枠組みや雇用が守れないとの危機感だ。各国が取り組みを加速し、全トOBの地方議員は「与党への接近も当然の流れ。会社と完全に目的が一致する」。全ト出身で無所属の古本伸一郎衆院議員(愛知11区)は「政策の方向性は政府与党が決める。『政治は何やっているんだ』という強い焦りから行動された」と全トの立場を代弁する。

( → 全トヨタ労連、異例の「与党シフト」 突き動かすCNへの危機感:朝日新聞

 なお、知事への要望の具体的な内容は何かと思ったら、「雇用確保のための協議会の設置」らしい。
 鶴岡氏は政治家との関係について、脱炭素をはじめとした課題解決のために政党を問わずに幅広く連携する考えを示した。「政策実現のスピードアップに取り組む」と述べた。
( → 雇用維持へ「脱炭素対応」 全トヨタ労連が定期大会:東京新聞 TOKYO Web

 自民、公明、立憲民主、国民民主の各党県連代表らとともに近く、大村秀章知事に対して協議体の設置を要請する。協議体の仮称は「愛知カーボンニュートラル懇話会」。政府が二〇五〇年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げたことで、自動車や部品メーカーは産業構造の変革を余儀なくされるため、雇用や競争力の維持に向けた具体策を議論する。超党派とすることで、国などへの働き掛けでもより強い実行力を持たせる狙いがある。
( → 全トヨタ労連 脱炭素懇話会設置へ 与党との連携強化第一弾 愛知県に設置要請:中日新聞Web

 野党議員といっしょに要望するのでなく、自民党議員を含めた超党派議員といっしょに要望する……というのは、それ自体ではおかしくない。
 だが、その裏で「自民党と親密になりたい」という動きが出ているのが、どうにも労組らしくない動きだ。(もともと御用組合だから、と言えば仕方ないが。)
 そもそも、「会社が CN に対応する」というのは、会社の経営者が考えればいいことであって、労組が考えるべきことではあるまい。全トヨタ労連は、会社の経営者に親身になるあまり、会社の経営者の仕事まで(無給で)分担するようになってしまった。「企業の手下」とか「走狗」と言ってもいいぐらいだ。(労働者のための賃上げには、無為無策も同然であるくせに。)

 ――

 ところが、それだけでなく、「自前の国会議員の1議席を返上して、自民党にプレゼントする」という方針を出した。くちあんぐりである。
 《 自民との対立回避 全トヨタ労連支援、愛知11区の古本氏不出馬 》
 トヨタ自動車グループの労働組合でつくる「全トヨタ労連」が支援する古本伸一郎前衆院議員(56)=愛知11区=は14日、愛知県豊田市で記者会見し、衆院選への立候補を見送ると表明した。古本氏は「組織内候補が出なければ(超党派連携の)可能性は開ける」と説明。与党との連携を模索する労連の方針に従い、同選挙区で競合する自民党との対立を回避した。
 記者会見に同席した西野勝義・トヨタ労組委員長は「11区では対立を前提とする組織内議員は出さない。何党よりも、何をしていただけるのかを重視して是々非々で連携を模索したい」と強調した。
 愛知11区では、自民の八木哲也前衆院議員(74)が3回連続で古本氏に敗れて比例復活し、今回は年齢制限で比例重複が見込めないため、一時引退の意向を示していた。
( → 毎日新聞

 全トヨタ労連は、カーボンニュートラルに向けて超党派での対応が必要とし、選挙区内に自民党の候補予定者がいる中で、古本さんの出馬は組合の方針と矛盾することから、不出馬が決まったということです。
( → “連合の中核”自民との対立避ける…全トヨタ労連が支援し愛知11区で6回連続当選の古本氏 衆院選出馬せず | 東海テレビNEWS

 この議員は、今までずっと自民党議員に勝ってきたし、今回も出馬すれば当確と言ってもいい状態だった。(立憲が対立候補を出さずに実質支援していたので。)
 ところが、そうなると、自民党の議員が落選する。比例区でも復活できない。それでは可哀想だ。そこで、反自民( or 非自民)の議員を引っ込めて、自民党議員を当選させてあげる……という策に出たわけだ。
 これではもはや「自民党の手下」「走狗」であるにすぎない。それがトヨタ労組だ。呆れるばかり。


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 そもそも、トヨタ労組は、「自民党に接近すれば、自民党からおこぼれをもらえる」と思っているのだろうが、それは甘い考え方だ。
 自民党の本妻は、企業である。莫大な政治献金をしてくれる企業こそが、昔からの本妻なのである。そこへ、自民に横恋慕した労組が、「自民党って強くて素敵」と思って、色目を使ってとしても、効果はない。「自民党が、本妻である企業と離婚して、労組を本妻としてくれる」ということなどは、ありえない。また、「労組を 愛人か(めかけ)として愛してくれる、ということも、ありえない。本妻にバレたら、本妻に叱られるからだ。労組がいくら自民党にラブコールを送っても、まともな成果などは期待できないのである。
 何ができるのかと言えば、自分の方から票をプレゼントしても、見返りは何もなし、ということだけだろう。つまり、いいようにあしらわれるだけだろう。都合のいい女。つまりは、体をもてあそばれるだけのセフレである。それがトヨタ労連の処遇だ。
 なのに、そのことに気づかないまま、甘い夢を追って、自民党にすり寄ろうとする。哀れというしかない。……馬鹿そのものだね。「自民に愛されることは決してない。単に利用されるだけだ」ということに気づかないわけだ。


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 こんな馬鹿労組に属する労働者は、さっさとトヨタ労組を脱退して、第二組合に入るべきだろう。
 ところが、それがうまくできないようだ。トヨタはユニオン・ショップ制度を採用しており、トヨタ労組に加入していないと、労働者として雇用されない……という仕組みを取っている。これを利用して、第二組合に入ることを妨害しているのだ。
 このような場合には、「第二組合に入るのならば、ユニオン・ショップでも問題とならない」というのが、普通の法的常識である。ところがなぜか、裁判所がこの不当な介入を容認している。つまり、「労組員が第二組合に加入するのは禁止」という会社方針を、容認してしまっている。
 判決は、下記だ。
  → 労組脱退で雇用拒否、トヨタへの請求棄却 | 共同通信
 この判決は短すぎるが、以前に詳しい報道があった。
  → 労組脱退で雇い止め、元トヨタ期間従業員が提訴: 日本経済新聞
 期間従業員として工場に勤務し、6カ月ごとに雇用契約を更新していた。18年3月、トヨタ自動車労働組合(トヨタ労組)を抜けて別の労組に加入したところ、会社から「トヨタ労組をやめると期間延長できないルールがあり、契約を更新できない」と告げられ、同月末で退職した。
 男性の代理人弁護士は「勤務態度に問題はなく、契約更新を拒む合理的な理由がない」と主張。過去の判例などを踏まえ、トヨタ労組を抜けたことを理由とした雇い止めは無効だと訴えている。

 裁判所がこんなおかしな判決を下すのだから、日本は裁判所ぐるみで、労働運動を潰そうとしているとしか思えない。
憲法第二十八条
 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

 憲法にはこの規定があるのだが、裁判所が堂々とこれに反する判決を下すわけだ。呆れるしかない。

 ついでだが、次の情報もある。
  "トヨタ労組をやめると期間延長できないルール" ユニオンショップ協定があっても、組合脱退を理由とした解雇は通説上認められない。組合選択の自由を侵害する協約に基づく雇止めは不当   https://bit.ly/2ktfIIo
( → はてなブックマーク

 ユニオン・ショップ協定によって、労働者に対し、解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは、それが労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する場合には許されません。
( → 労働政策研究・研修機構(JILPT)




 [ 付記 ]
 では、どうすればいいか? 
 トヨタ労連を動かすこと自体は、無理っぽい。
 とりあえずは、立憲が対立候補を出して、議席を奪うべきだろう。場合によっては、山本太郎(れいわ)が出馬してもいいだろう。
  ※ 国会議員の立候補には、居住地の制限はないので。

 裁判の問題については、上級審で争ってほしいものだが、どうなったかは詳細不明。
posted by 管理人 at 23:53| Comment(0) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
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