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原因は水管橋の構造体が破断したことであるようだ。垂直のパイプ状のものがいくつも破断していることが見て取れる。
この垂直のパイプ状のものは、いくつも破断しているが、一つが破断すると、次々と破断するので、最初にどれか一つが破断していた可能性が高い。その最初の一つはこれだ、というのも推定されている。(腐食した箇所)
→ 和歌山・水管橋の崩落はなぜ 複数に腐食 鳥のフンの影響は?:朝日新聞
まあ、原因がどれであるにせよ、経年劣化による腐食を防げなかったということで、メンテナンスの失敗が理由であると見ていいようだ。
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このあと、応急処置という形で、隣の橋に送水管が設置された。
六十谷、橋閉鎖して送水管通してるせいでヤシマ作戦みたいになってるやん pic.twitter.com/OPuE7oI73c
— T@ckey@秋山縦走後 (@06Tack) October 8, 2021
この橋は、もともとは、こういう感じであった。
画像の右側には、水管橋がある。
画像の左側には、大きめの橋がある。2車線の自動車道路であるが、(柵で隔てられた)隣には歩道もある。
後者の橋で、車道を閉鎖して、新たに送水管を設置したのが、上のツイートの写真だ。(方向は逆であるが。)
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さて。ここで問題を立てよう。
「現在、この応急処置の送水管があるが、今後はどうするべきか? 水管橋を撤去したあとに、新しい水管橋を設置するべきか?」
この問題については、私はこう答える。
「その必要はない。仮に新しい水管橋を設置しても、人の通らない橋はメンテナンスが困難なので、やがてまたいつか崩落してしまう。それは無駄だ。どうせなら、今の橋をそのまま維持して、それを送水管を設置する橋として使えばいい」
なお、この場合、橋の重量制限の兼ね合いで、「橋は自動車が通れない」(通行禁止となる)というデメリットが生じる。
これは大きな問題となりそうだが、今回に限っては、問題とならない。なぜなら、この橋の 140メートルほど西側には、別の大きな橋があるからだ。ちょっとは遠回りになるかもしれないが、この橋を使えば済む。
この橋があるので、特に問題とはならない。新たな送水管を設置した橋は、そのまま通行止めにして、送水管専用の橋として利用すればいいだろう。
なお、新たに橋を設置するとしたら、水管橋を設置するよりは、もっと大型の自動車道路を設置した方がいいだろう。それならば、自動車道路としての利便性もあるし、人が通れるのでメンテナンスもできる。長持ちさせて使うことができるだろう。
一方、新たな送水管を設置した橋も、今度は人が通ってメンテナンスをすることが可能なので、現状のまま、メンテナンスを続けて、末永く使うことが望ましい。
( ※ 新たに作るのが水管橋だと、メンテナンスができずに短寿命になるので、好ましくない。)
【 追記 】
別案もある。
「今回、壊れた水管橋を、修理して使う」
つまり、破断したところだけを作り直して、今の水管橋をそのまま使う、というわけだ。
この方式だと、全体的に劣化しているので、他の部分が数年後にふたたび崩落する可能性が高い。そのときまた、今回と同じように、応急処理の送水管を設置すれば、困ることはないかもしれない。
しかし、改めてまた送水管を設置すると、費用は巨額になる。送水管を撤去したり新設したり……というのを何度も繰り返すのは、馬鹿げている。そもそも、今回の設置には、かなり多額の金がかかっているので、これを撤去するのはもったいない。
とすると、やはり、古いポンコツの水管橋は、もはや諦めて、捨てるのが最善だろう。(撤去するかどうかは別として。)
なお、この水管橋の設置は 1975年であるから、すでに 46年が経過している。寿命を 50年と見れば、どっちみち、あと4年で寿命を迎える。
⇒ 周辺の交通量によるかもしれません。この140m先の橋も今までけっこうクルマが通行していたのなら、
従来:2本の橋(往復4車線)
今後:1本の橋(往復2車線)
となるので、渋滞が問題になりそうです。
都会の大きな橋でも、片側2車線で十分に足りている。交通量がその5分の1以下なら、片側1車線で足りる。
こんな田舎ならば、大丈夫。
和歌山市ウェブサイト
六十谷橋全面通行止めに伴う広域的な迂回や時差出勤のご協力のお願い
http://www.city.wakayama.wakayama.jp/suido/1040668/1040898.html
「こんな田舎なのに」と書いたけれど、調べ直したら、和歌山県の中心部でした。これなら交通量も多いわけだ。
山がそばにあるのは、和歌山の特質で、広島と同様に、平地が少ししかない。だから市街地の近くにまで山がある。山があるからといって、人口密度の低さを意味しない。(先のコメントは早合点でした。)
ここが和歌山の中心部で、交通量が多いことも考えると、何らかの新しい橋を作る方がよさそうですね。
私のお勧めは、こうです。
「東側にある鉄道橋のすぐ隣に、並行する形で、4車線の自動車道路を新設する」
たぶん、今回の橋閉鎖の前から、渋滞はいくらか起こっていたはずです。もともと2車線では足りなかっただろうから、4車線の橋を新設するといいでしょう。
よく考えると、それには2年間ぐらいの時間がかかる。そんなに長く渋滞を続けるのは大変だ。渋滞があるなら、この案は良くない。
となると、崩落した水管橋を修理して、とりあえずは水管橋を復活させるしかなさそうだ。
それだと費用が無駄になりそうだが、交通量の弊害の方が損害は大きいので、背に腹は代えられない。無駄が生じても、ポンコツを修理して使うしかない。
それでポンコツを5年ぐらい使ったら、その後は新しい水管橋に乗り換えるといいだろう。今の水管橋の隣に、それを設置すればいい。5年間もあれば、十分に建設できる。
新しい水管橋は、人が通る道を用意して、作業員が道を通りながら、メンテナンスをできるようにするといい。また、パイプ構造だと、破断が起こりやすいので、ワイヤー式か鉄骨式にした方がいいだろう。
元の水管橋は、ちょっと安上がりすぎた。安物買いの銭失い。
p.s.
今の水管橋の鉄骨アーチはそのまま残して、パイプだけをワイヤーに取り替えるのがよさそうだ。それだとコストは最安になる。
パイプだとどうしても接合部で腐食しやすいが、ワイヤーならば(接合部なしで)腐食を免れるので、耐久性が増す。防錆処理をしておけば、何とかなるだろう。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20211020-OYO1T50023/
新しい橋を建設すると、その10倍以上の費用と時間がかかりそうですけど・・・
ケチなのか、大盤振る舞いなのか見方が分かれますね?
仮に私だったら、こうする。
「壊れたアーチは、新設する。他のアーチはそのままで、ワイヤで補強する。総費用は4億円。これで数年間をもたせる。その後は、全体寿命が来るので、全部架け替え」
現実には、17億円をかけたが、どうせ数年後に全体寿命が来るので、そのころまた、全部架け替えになる。
なお、すごい立派なコンクリートの橋と、周辺道路事業の合計で、92億円。
→ https://bityl.co/9Dyz
和歌山の水管橋なら、30億円ぐらいで済みそうだ。今回 17億円をかけて修理して、数年間をもたせたら、数年後には 30億円で新設することになる。1年あたりで考えると、すごい無駄だね。