2021年10月02日

◆ 価格変動制(ダイナミック・プライシング)

 価格を固定的にせず、時々刻々と変動させる、というシステムがある。これによって需給のミスマッチを防ぐことができる。

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 需給のミスマッチで、物が売れ残ることがある。この場合は、値引き販売すれば解決する。前にコンビニの割引販売ということで話題になったことがある。

 逆に、需給のミスマッチで、物が品切れになることがある。コンサートのチケットでは、しばしば起こる。ソニーの PS5 や、ニンテンドーの人気商品でも、起こることがある。ここでは「転売屋」というものが出現して、世間では非難されることがある。ただし、転売行為そのものは、違法ではない。(例外はチケットだ。チケットの転売は違法である。→ チケット不正転売禁止法

 チケットの転売対策としては、私は前に次の方式を掲げた。
 「高値転売がなされるのであれば、高値転売がなされないようにすればいい。そのためには、主催者がもともと高値で販売すればいい」
 たとえば、もともと1枚3万円で販売する。この値段で正規に販売すれば、買える人の数は激減する。その一方で、「どんな高値でも買いたい」という人はちゃんと買えるようになる。というわけで、3万円ぐらいの価格を付ければ、うまく需給が均衡するはずなのだ。(もし売れ残るようなら、次回は2万円ぐらいにすればいい。もし足りないなら、次回は4万円ぐらいにすればいい。)
( → 嵐のチケットの悪徳商法: Open ブログ

 ただ、この方式は、適切な価格に調整するのが、ちょっと面倒である。状況に応じて、こまめに価格を変動させる必要があるからだ。

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 そこで、この価格の変動を AI で自動実行することで、時々刻々と最適な価格を設定する……という制御方式が実用化した。それをダイナミック・プライシングという。
 これを事業化した人がいるので、朝日新聞で先日、紹介された。
 売れ行きにあわせて価格を刻々と変動させる「ダイナミックプライシング」と呼ばれる仕組みだ。販売実績や足もとの需要をデータ化し、人工知能(AI)を使って最適な価格を提案している。米国の会社から権利を買い取り、手法を持ち込んだ。
 たとえば、プロスポーツで緊迫した首位攻防戦なら価格は上がり、消化試合はその逆になる。競技場では同じブロックの座席でも通路側と中央では見え方が異なり、需要も違う。だから各席で価格が変わるという考えだ。試合の開催日まで販売するので不正転売の抑止にもつながる。
 プロ野球5球団、Jリーグ13クラブで導入実績があり、浜崎あゆみさんのコンサートでも採用された。
( → (フロントランナー)ダイナミックプラス社長・平田英人さん 価格を変える、社会も変える:朝日新聞

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 さて。これを取り上げたのは、最近、「品薄になってメルカリで高値転売(違法)」、「売れすぎで受注停止」という問題が、朝日の生ビール缶で起こったからだ。
 人気で品薄になっている缶ビール「スーパードライ 生ジョッキ缶」が高値で転売されている例があるとして、発売元のアサヒビールが、フリーマーケットアプリ運営会社「メルカリ」と連携して対策に乗り出した。
 アサヒの想定価格は340ミリリットル缶で219円前後(税込み)だが、メルカリには400円超での出品もみられている。メルカリによると、「酒税法による酒類販売業の免許を受けずに、継続的に酒類を出品する行為」は違反になるという。
( → 品薄「生ジョッキ缶」、高値転売にアサヒ・メルカリが注意喚起:朝日新聞

 アサヒビールは17日、28年ぶりに復活させた缶ビール「アサヒ生ビール」の販売を一時停止すると発表した。想定を上回る注文に商品の供給が追いつかないためといい、販売再開は未定。
( → 復刻の「アサヒ生ビール」3日で受注停止 供給追いつかず:朝日新聞

 アサヒビールでは大騒ぎしているようだが、これはアサヒビールの手際が悪い。この問題は、ダイナミックプライシングを導入すれば解決するのだ。
 つまり、人気のある初期には価格をかなり高めに設定して、その後はしだいに価格を少しずつ引き下げていけばいい。そのように価格を変動させる仕組みは、AIに任せればいい。

 そういう頭のいいシステムがすでに開発されているのだから、それを導入すればいいのだ。販売停止にしたりするのは、頭の悪い方法である。




 このビールは、アマゾンでも購入できる。



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 上記の解説は
   → 日本初、開けると泡が自然発生する缶ビール「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」

 ついでに、次のビールもある。



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 【 関連サイト 】
 ホテル業界でダイナミックプライシングを導入するシステムを NEC が導入する……という解説記事。
  → NEC、ホテル向けダイナミックプライシングサービスを提供開始 | TECH+
    ( ※ なお、先んじてダイナミックプライシングを導入したホテルには、アパホテルがある。そのおかげで、非常に高い収益率を誇っている。他のホテルが空き室だらけのときにも、アパホテルだけは(価格を下げて)常にほぼ満室状態を作り出しているので、無駄がなくて、高収益なのだ。
     コロナで客が来ないときにも、アパホテルは宿泊療養サービスにホテルを提供してくれた。会社も儲かるし、国民は助かる。win-in だ。)


posted by 管理人 at 22:20| Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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