2021年09月30日

◆ 自民党総裁選の分析

 自民党総裁選を分析する。その本質は? 岸田、河野、高市のいずれでもない。その外に本質がある。  重要 

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 自民党総裁選の結果は、意外にも1回目から岸田が1位であった。河野は決選投票では票が伸びず、惨敗した。

 このことから、河野の敗因を探ろうとする人もいる。そのすえに、「石破と連携したことが敗因だ」と解説する人もいる。
  → 河野太郎の敗因は何だったか?
  → 「石破氏と組んだことがすべて」河野氏1回目でまさかの2位「完敗だ」|【西日本新聞】

 あるいは、「岸田の勝因はこれこれだ」と分析する人もいる。
  → 岸田文雄氏 勝因について「丁寧で寛容な政治を進めることで多くのご支持をいただいた」 : スポーツ報知
  → 「岸田文雄・新総裁」誕生へ、その3つの勝因とは |ダイヤモンド・オンライン
  → 自民新総裁に岸田文雄氏 識者が分析した「勝因」と今後の政権 | 毎日新聞

 あるいは、「高市の敗因はこれこれだ」と分析する人もいる。
  → 高市早苗氏はなぜ敗北したか―ネット保守の過激すぎる応援がアダに(古谷経衡)

 だが、私の見解は異なる。今回の結果で最も着目するべきこと(本質)は、この三人とは別のところにある。

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 今回の結果で、最も意外だったことは、何か? 1回目の高市の議員票が非常に多かったことだ。


 岸田 146、河野 86、高市 114。これはまったく意外である。当初の予想を大きく超えている。
 事後的には、河野陣営は「高市に票をいっぱい剥ぎ取られた」と嘆いていた。確かにその通り。岸田の票はほぼ予想通りだったが、河野の獲得票は予想を大きく下回った。
 そもそも、高市は最初から泡沫候補の扱いであり、当初は 20〜30ぐらいの票しか取れないかも、とさえ言われていた。また、直前の票読みでも、河野を下回っていた。
 朝日新聞社が党所属国会議員(382人)の支持動向を調査したところ、岸田文雄前政調会長(64)が110人超、河野太郎行政改革相(58)が100人超の支持を集め、議員票で競り合っていることがわかった。高市早苗前総務相(60)は80人超の支持で追う。 態度を明らかにしないなどの議員も60人超いる。
( → 岸田氏・河野氏競る 100人超が支持、高市氏80人超 総裁選議員票:朝日新聞デジタル

 なのに河野を大きく上回る票を獲得した。それも、河野の票を大幅に剥ぎ取る形で。……ここに、今回の投票結果の最重要さがある。

 ――

 では、どうしてそうなったか? その理由は、すでに報じられたとおりだ。つまり、安倍前首相があちこちで圧力を掛けて、高市の票を増やそうとしたからだ。その結果、当初は 20票ぐらいの泡沫候補と見られていたのに、最終的には河野を大きく上回る票を獲得した。

 では、その意味は? こうだ。
 「安倍前首相は、いまだに党内で圧倒的に大きな影響力を持っている。その圧力を受けて、多くの人々が、河野支持から方針を転換した」

 河野支持というのは、主として若手である。そして、若手は総裁選の前に、一団となってグループを立ち上げた。
  → 自民党 若手の会発足 派閥横断の約60人参加 緊急提言も |NHKニュース
  → 自民党総裁選、派閥一任に反対 若手グループが提言案: 日本経済新聞

 若手が「派閥一任に反対」というのは、長老の圧力を受けずに、自分自身の意見で票を投じたい、ということだ。そして、彼らの意向は、「河野総裁」であった。なぜなら、彼らは当選1〜3回で、選挙基盤が脆弱であり、たまたま「安倍政権の追い風」で当選したにすぎないからだ。次期選挙では、「安倍政権の追い風」はなく、逆に「菅政権の逆風」を受けて戦う必要がある。そういう状況では、国民に圧倒的に人気のある河野総裁が実現することが必要だったのだ。
  ・ 河野総裁ならば当選
  ・ 他の総裁ならば落選

 という状況にある。ならば、河野総裁を願うのは必然であった。それほどにも強力な「河野支持」の動機があった。
 にもかかわらず、自らのポリシーを捨てて、安倍前首相の圧力に屈したのである。……それはいわば、半沢直樹で、香川照之が死にそうなほどの悔しさのなかで屈服した状況を思わせる。それほどの屈服を受けたのだ。 
  → 大和田を追い込んで土下座させるという“100倍返し”

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 ここまで見れば、今回の結果の本質は見えてくる。こうだ。
 「安倍前首相には、大きな党内影響力がある。特に新人議員(安倍チルドレン)に対しては、圧倒的な党内影響力がある」

 この影響力の巨大さを見せつけられて、岸田はもはや安倍前首相の意向に従うしかなくなった。いわば「安倍前首相の傀儡(かいらい)」である。


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岸田


 そのことは、次の人事からもわかる。
  → 自民党 広報本部長に河野規制改革相 岸田新総裁が意向固める | NHKニュース
 これが実現するかどうかはわからない。河野が拒否する可能性が高いからだ。
 とはいえ、ここまで河野を馬鹿にする人事を進めるというところからして、これが岸田のポリシーとはまったく矛盾することがわかる。
 「総裁選挙は終わりましたノーサイドです。全員野球で自民党が一丸となって総選挙、参院選挙に臨んで行こうではありませんか」と述べた。
( → 岸田新総裁「ノーサイドで全員野球」に総ツッコミ「競技揃えろ」新しい自民「大丈夫か」/デイリースポーツ

 ラグビーと野球の比喩を持ち出しているのはご愛敬だが、ともあれ、対立候補をきちんと処遇するという方針を示している。岸田の人柄からして、当然だと言える。
 ところが現実には、「河野を左遷する」という極端な冷遇策を取るに至った。とすれば、これが岸田の意向ではないことは自明である。(前言との矛盾を、マスコミに突っ込まれそうだ。)


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 では、岸田の意向ではないとしたら、誰の意向か? もちろん、安倍前首相の意向である。つまり、岸田は党総裁としての最初の人事から、安倍首相の意向に従わざるを得なくなったのである。とすれば、政権運営全般において、安倍前首相の影響下におかれることは避けられない。
 今回の総裁選の本質は、河野、岸田、高市のいずれでもなく、その外にある。安倍前首相だ。今回の総裁選の真の勝者は、安倍前首相なのだ。

 そして、これからも、安倍前首相の影響が大きく発揮される。
 逆に言えば、河野太郎では安倍前首相の影響下には置かれなかっただろう。彼は独自性が強くて我が道を進むので、安倍前首相の意向を無視しがちになるだろう。安倍の傀儡(かいらい)政権にはならなかっただろう。……それだからこそ、安倍前首相としては、河野太郎総裁を断固としてつぶす必要があったのだ。
 今回の総裁選の真相は、ここにある。



        安倍
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河野
       

posted by 管理人 at 22:36| Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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