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立憲はどうにもひどい政策ばかりを並べて、迷走している。困ったことだ。そこで、困ったときの Openブログ。かわりに、うまい案を出そう。以下、列挙する。
( ※ 経済政策や外交・防衛という政策は、論争となりがちなので、最後にまとめて記すことにして、まずは目を惹く生活関連の個別政策を掲げる。コロナ関連は除く。)
1 非正規職員の問題
非正規職員の冷遇が問題となっている。
特に問題なのは、いわゆる「5年ルール」だ。派遣社員や契約社員などを5年間つづけて雇用したあとで、解雇するか、無期雇用するか、二者択一となる。そこで、解雇する例が続発している。(雇い止め)
これを裁判で訴えた人がいるが、敗訴した。
→ 「通算5年」で雇い止め 安定した仕事と思っていたが…:朝日新聞
解雇された人は、不満であるようだが、実は、解雇されてもされなくても、もともと1年目と同じ低い賃金なのだから、他社で雇用されて1年目として扱われても、同じ賃金を受け取れる。特に困ることはない。困ることがあるとしたら、コロナ不況のように特別な経済状況にある場合だけだろう。この人は困っているが、コロナ不況のとき以外では、「右も低賃金、左も低賃金」であるから、どっちみち低賃金という選択肢しかないのだ。
そこで、これを抜本的に解決する。解決策は二つ。
(i) 定昇の導入
1年間に3%程度の定昇を導入する。経験に応じて5年ぐらいは能力が向上するだろうから、経験に応じて給料を上げればいい。5年目以後は1%程度の定昇に落とす。こうすれば、会社も労働者も得するので、win-win となる。なお、この件は、前にも言及した。
→ 派遣社員には定昇を: Open ブログ
→ 労働契約法の5年ルール: Open ブログ
(ii)非正規社員の雇用税
非正規社員は、雇用状況が不安定であり、失業しやすい。その分、失業手当の給付率が高い。その分、事業者には特別に高い負担金を払ってもらうといい。
現状では、非正規社員の失業保険料負担金はたいして高くないし、事業者負担分もたいして高くない。しかし、これを大幅に引き上げるべきだ。できれば一括して、「非正規雇用者1人につき月5万円」ぐらいの料金を徴収するべきだ。(非正規雇用者に対する雇用税、という扱いでいい。)
こうして事業者から徴収した金で、非正規雇用者が解雇されたときの失業保険を、大幅に拡充する。たとえば、冒頭の朝日新聞記事のような例では、雇い止めになった人は、元の給料の 90% ぐらいを、2年間ぐらいもらえるようにする。
と同時に、解雇した方の雇用者(企業)には、次の罰を科する。
・ 新規の雇用を禁止する。(その前に解雇者を雇い戻せ)
・ 新規の雇用をするなら、上記の 90% の金を国が徴収する。(罰金)
なお、この件は、前にも言及したことがある。
→ 派遣社員を正社員にするには?: Open ブログ
…… ともあれ、上の (i)(ii) の併用で、非正規雇用者の不安定な雇用状態は大幅に改善されて、給与も大幅に引き上げられるだろう。(企業にとっては、労働者を奴隷のように扱えなくなって困るだろうが。)
- 《 加筆 》
5年ルールを導入したのは、旧民主党だった。「長期の雇用者はなるべく正社員にしたい」という発想を取った上で、「そうしない企業にはペタルティを与える」という方針を取った。(それが企業にペナルティを与えるだけでなく、労働者にもペナルティを与える結果になった。)
実は、5年ルールという発想そのものは悪くはなかったが、5年という一定の期間を設けて区切ったせいで、5年目に断続的な変化が発生するのが問題だった。
そこで、その断続的な変化のかわりに、連続的・漸進的な変化をもたらすのが、定昇だ。これによって企業へのペナルティが徐々に進むので、なだらかな変化が発生して、特定の一箇所で突発的な変化が起こることがなくなる。また、企業へのペナルティが労働者の賃上げという形で還元される。……これが本項のアイデアだ。
【 追記 】
さらに、「残業税」を導入して、残業を大幅に減少させたい。現状の長時間労働をやめさせれば、労働者の生活は改善するし、人手不足から労働者の賃金上昇や、非正規社員の正規社員化が進む。
→ 残業税を導入せよ: Open ブログ
2 国立大学の学費の値下げ
国立大学の学費は高すぎるので、大幅に金額を引き下げるといい。半減とは言わず、9割減ぐらいでもいいだろう。現在の学費は、昔に比べて、10倍以上になっているからだ。

出典:国立大学授業料|年次統計
たとえば、
1971年 12千円
1975年 36千円
2010年 536千円
であり、50倍ほどの上昇となっている。物価上昇の分を補正しても、10倍以上となっている。
なお、原資はどこからもってくるかというと、「Fラン大学の無償化」にかけた数千億円もの金を使えばいい。「Fラン大学の無償化」をやめれば、巨額の金が浮くので、それを国立大学の学費軽減に充てればいいのだ。
足りない分は、適当に、国費からまかなえばいい。
宮城県あたりは、ものすごい金が浪費されているので、そこから金を回してもいい。
※ 宮城県の無駄な公共事業の例。
→ 石巻かわみなと大橋 (すぐそばに別の橋があるのに)
3 農業年金
農業(特に小麦のような穀物)には、現状ではやたらと高額の補助金を払っている。本来の収入よりも補助金の方が多いくらいだ。たとえば、「農業所得が 100万円、補助金が 200万円、合計で 300万円」というふうな。
そこで、この補助金の分( 200万円)を、農業年金の形で、毎年支払うといい。これには、農業生産を条件としない。農業所得がゼロでも、200万円を年金の形で給付する。ただし、代償として、土地を没収する。
要するに、
農業年金 ⇔ 土地
という交換である。
この場合、農家がもらえる金は同じである。ただし、それまでの農業生産は不要なので、まったく別の農作物を生産することができる。たとえば、果樹とか、野菜とか。……それらの生産をして所得を得ることができるが、補助金は一切もらえない。(だかわりに高額の農業年金をもらえる。)
この制度は従来と比べると、次の二点で優れている。
・ 土地を国有化できるので、次世代には農業年金も補助金も払わないで済む。
・ 農業年金は 20年ぐらいなので、将来は農業年金も補助金も払わないで済む。
いずれにしても、支払いは 20年ぐらいで止まる。現状では、高額の補助金を永続的に払い続けることになるが、その問題がなくなる。
結果的には、小麦のような穀類の国産はなくなるが、それはそれでいい。日本は小麦を生産するには適していないからだ。日本は米を作るだけでいいのだ。米には補助金を出し続けることになるだろうし、生産し続けることになるだろうが、小麦や大麦は日本で生産する必要はないのだ。
「国産の大麦がないと、純国産のビールやウイスキーができないので困る」と言う人もいそうだが、ビールやウイスキーの原料など、国産にこだわる必要はないのだ。
4 小麦価格の大幅値下げ
最近、小麦の値上げが決まった。
→ 小麦粉、また値上げか 政府、売り渡し価格を19%引き上げ :朝日新聞
→ 輸入小麦価格、19%引き上げ 中国の旺盛な需要/高温乾燥で作柄悪化:朝日新聞
海外の小麦価格の相場が上がったからだ……というのが値上げの理由だが、新聞は物事の本質を伝えていない。海外の小麦価格の相場がどれほど上昇しようと、その価格は日本における小麦の価格よりも大幅に低い。海外の小麦価格が理由ならば、海外の小麦価格にそろえて、日本の小麦価格を大幅に引き下げるべきだろう。
日本の小麦が大幅に馬鹿高いのは、輸入関税がメチャクチャに高いからだ。関税率は 252%である。TPP によって少し下げられることが決まったが、焼け石に水ぐらいの効果しかない。まだまだ大幅に高いのだ。だから、これを大幅に引き下げるべきだ。
小麦の関税を下げよ: Open ブログ
そもそも、輸入価格が上がったからといって、連動して国内価格を引き上げる必要などはない。また、連動して国内農家に払う金を引き上げる必要もない。一定の比率で機械的に連動させる必要などはないのだ。むしろ、この関税の分を緩衝体(バッファー)として、海外の値上げを吸収するべきなのだ。
できれば、この関税の分を大幅に削減して、小麦の販売価格を大幅に引き下げるべきなのだ。
それで農家は困るか? 困らないようにすることはできる。それが、上述の「農業年金」だ。
「小麦を生産しようが生産しまいが、どっちにしても同じ額の金をもらうことができる」
というようにすればいい。これなら、農家はちっとも困らない。むしろ、小麦の生産をやめて、他の農作物を生産して所得を得れば、前よりも多くの所得を得ることができる。(どっちみち農業年金はもらえるからだ。)
ちなみに、現状では、こんな感じだ。(1トンあたりの価格)
国産の小麦の売値は 41,700円
「お国」の手厚い「保護」!?
生産条件不利補正(面積あたり)71,500円
生産条件不利補正(数量あたり)35,200円
品質改善奨励額 10,000円
生産・流通改善奨励額 300円
流通合理化奨励額 1,100円
これらを売価に加えると159,800円
( → 小麦 マークアップって… - のししのぶろぐ )
販売収入は 41,700円だが、補助金が 118,100円 ももらえるので、総収入 159,800円 となる。農業収入に比べて、3倍近い額の補助金をもらえる。
こんなのは、まったくの無駄の極みだ。だったら、何もしないで寝ていて、その補助金だけを年金としてもらえばいい。その方がよほど効率的だ。
そして、こういう無駄な補助金をやめることによって、長期的には小麦の価格を大幅に引き下げることができるのだ。すると、国内の小麦製品の価格は、大幅に安くなる。
ちなみに、私の買ったフランスパン(イオン)は、税込み 259円(税別 240円)だ。

一方、フランスではフランスパン(バゲット)の価格が 138円だ。(日本の他店では税込み 300円程度だ。)
→ 小麦の関税を下げよ: Open ブログ
※ 輸入小麦にかかる金は、関税として扱うこともあり、課徴金(マークアップ)として扱うこともあるが、どっちみち、同じことである。この点には、あまりこだわらなくていい。
5 日米貿易協定を破棄せよ
小麦の関税を引き下げるのはいいが、日本ばかりが引き下げるのは、貿易交渉の点では不利だ。
といっても、今さら TPP の再交渉をするわけにも行かないから、この分は、日本が自発的に(過剰に)関税引き下げをすればいい。
一方、米国は別だ。米国には、TPP 復帰を促すといい。
同時に、(トランプ時代に結んだ)日米貿易協定を破棄するといい。これは、安倍首相がトランプの脅しに屈して、日本が圧倒的に不利な条件で結んだ協定だからだ。
・ 日本は TPP と同様に完全を引き下げた
・ アメリカはほとんど譲歩しなかった
という一方的に不利な不平等協定だった。こんなものは破棄するべきだ。かわりに米国には、TPP 復帰を促すといい。そこで日米平等になるように、米国にも譲歩を迫るべきだ。特に、自動車の輸入関税を引き下げるように、要求するべきだ。(このことで、日本の自動車産業に、いい顔ができる。自動車産業の企業および労働者から、支援を得られる。)
このような「協定の破棄」は、問題があるか? 普通は、問題がある。だが、今回に限っては、問題がない。なぜなら、このような協定(日米貿易協定)は、もともと GATT 違反だからだ。
GATT では、最恵国待遇が全加盟国に適用されるので、日米間だけで特別に優遇されるような2国間協定は、GATT 違反となる。
これの例外となるのが、GATT 24条で規定されていて、日本政府は「GATT 24条違反にはならないから、問題ない」と強弁している。しかし GATT 24条違反にはならないためには、大幅な自由貿易が条件となるのだが、自動車の輸入関税の引き下げが実現していない状況では、「GATT 24条違反にならない」ための前提が満たされないので、GATT 24条違反になってしまうのだ。詳細は下記。
→ RIETI - 日米貿易協定はWTO協定違反か?
※ ここでは、はっきりと「違反だ」とは明示していないが、まともな頭で理解すれば、違反だと解釈するべきだろう。日本政府の強弁は、こじつけに近い。
いずれにせよ、GATT 違反という疑いが強いのだから、日本政府は「日米貿易協定は GATT 違反なので破棄する」という名分が立つ。争いになって、国際司法裁判所に訴えられたりしても、日本が勝つ可能性が高いはずだ。
結論。
日本は小麦の輸入関税の引き下げをするが、同時に、日米の不平等協定である日米貿易協定を破棄するべきだ。
なお、そうすると、双方では以前の関税率が復活するが、そうなると、日本は別に困らないが、米国は(TPPで関税が大幅に下がった)豪州の牛肉や小麦と対抗できなくなる。豪州の牛肉や小麦には低い関税率が適用されるのに、米国の同等品には高い関税が適用されるので、米国は日本市場におけるシェアを大幅に失う。大損だ。
となると、米国は TPP に復帰するしかなくなる。すると、米国の対日自動車関税は引き下げられる。万歳。
※ なお、日米貿易協定ではそうしなかったのは、安倍がトランプのブラフに屈したからだ。トランプは「ブラフで勝ったぞ」と成果を大宣伝したが、安倍の失敗は日本では咎められなかった。まったく情けない話だ。詳細は下記。
→ 日米貿易協定の大嘘: Open ブログ
【 追記 】
バイデン大統領は、TPP に復帰しない旨を表明している。
それならそれでいいが、日米貿易協定を破棄したあとで、新たに結ぶ協定(新・日米貿易協定)では、TPP と同水準の内容にする(改訂する)べきだ。現状のように、「日本ばかりが一方的に譲歩する」という不平等条約(協定)は認められない。
( ※ 安倍というポチ犬の遺産は引き継がない、ということ。)
6 無人ドローンを配備せよ
陸上イージスを転じた洋上イージスというのは、もはやとんでもない無駄金食いだ。
陸上イージスに比べ、導入効果が3分の1になるにもかかわらず、コストは少なくとも2倍程度かかることになる。
( → イージス搭載艦の費用膨張: Open ブログ )
無駄金食いの典型みたいな話だ。だから、こんなのは、さっさとやめればいい。
で、かわりにどうするか? 「敵基地攻撃の巡航ミサイル」というのが現実的だ。(上記ページ)
だが、もっと良い案がある。
そもそも、「敵基地攻撃」というのは、右翼はともかく、左翼の人には受けが良くない。「そんなのは憲法違反だ!」と騒ぐ人が出てきそうだ。
そこで、もっと受け入れやすい案として、「無人ドローンの開発・導入」という案を出そう。これならば、たいていの人が受け入れやすいだろう。しかも、洋上イージスなんかに比べて、費用対効果は抜群だ。
すでにアゼルバイジャンとアルメニアの戦いで、その効果が圧倒的であったと判明している。片方が無人ドローンを使い、もう片方が無人ドローンを使わないと、使う方が圧勝したのだ。
→ ドローン戦争の時代: Open ブログ
北朝鮮はこのたび、巡航ミサイルを開発した。
→ 北朝鮮が長距離巡航ミサイル発射、日本への脅威度を詳解 米軍のトマホークが中国に技術を盗まれ北朝鮮に渡った可能性大(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)
→ 北巡航ミサイル、高性能なら難しい探知・迎撃…低空を地形に沿って進む可能性 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン
北朝鮮は日本に先んじて、巡航ミサイルを配備するようだ。
それだけならまだしも、北朝鮮は日本に先んじて、無人ドローンを配備するようになるかもしれない。そうなったら、日本が圧倒的に不利になりかねない。北朝鮮が何千、何万という無人ドローンを日本に飛ばすかもしれないのに、それに対する日本の防御策が、巨大な洋上イージスだけだとしたら、何十発かを発射したあとでは、弾切れとなる。かくて、そのあとは飽和攻撃によって完敗するしかないのである。
( ※ 日本に無人ドローンがなければ、だが。)
【 追記 】
(1) 北朝鮮はさらに新型の弾道型ミサイルを開発した。変則的な低軌道を取るので、日本はレーダーで見失った。
→ 北朝鮮ミサイル落下地点をEEZ内に修正 変則軌道で見極め困難 | NHKニュース
こんなことでは、たとえ洋上イージスがあっても、迎撃できないのは自明だ。レーダーで相手を見ることさえできないのだから。
(2) 米国はオーストラリアに原子力潜水艦技術を供与すると決めた。( → 朝日新聞 ) これまで供与したのは英国だけで、オーストラリアが2国目だ。日本は除外されているので、日本にも原子力潜水艦技術を供与してもらえるよう、協議するべきだ。中国への対抗が目的だということなので、日本にも供与されるのが当然だろう。原潜技術があれば、「沈黙の艦隊」を構築できるので、非常に有益である。洋上イージスなんていうゴミよりも、ずっと大切だ。
7 経済政策
経済政策については、話が複雑になるので、別サイトにまとめた話を読んでほしい。
→ 理想党(公式サイト)
※ 「理想党」という仮想的な政党を作って、その経済政策をネット上でまとめて示しました。
1 非正規職員の問題
6 無人ドローンを配備せよ