2021年09月09日

◆ 横浜の新路線(上瀬谷ライン)

 横浜の米軍施設の跡地を再開発するにあたって、そこへの新路線を建設しようという動きがある。
 ( ※ 路線開発の話です。交通マニア向け。)
 
 ――
 
 記事がある。
 上瀬谷ラインは、旧上瀬谷通信施設と呼ばれる在日米軍施設跡地内に構想されている大型テーマパークへの交通手段として計画されている、Light Rail Transit(LRT)、新交通システム、モノレールなどを含む中量軌道で、相模鉄道本線瀬谷駅最寄りの仮称・瀬谷駅を起点とし、仮称・上瀬谷駅を経て、仮称・上瀬谷車両基地へ至る延長約2.6kmの路線。
( → 横浜市で計画中の新交通システム“上瀬谷ライン”…横浜シーサイドラインに運行を要請 | レスポンス(Response.jp)

 横浜市の米軍上瀬谷通信施設の跡地と相模鉄道瀬谷駅を結ぶ新交通システム「上瀬谷ライン」の計画が動き出しそうです。1月24日に環境アセスメント図書の縦覧が開始される予定です。
 横浜市の旧米軍上瀬谷通信施設は、横浜市旭区と瀬谷区にまたがっていた、在日アメリカ海軍基地の施設跡です。総面積240万平米に及ぶ広大な土地で、2015年6月30日に日本へ返還されました。
 横浜市は、跡地で国際園芸博覧会(花博)や、テーマパークなどの誘致を目指していて、その輸送機関として位置づけています。
 運行区間は「瀬谷駅付近を起点とし、その北に位置する通信施設跡地までの2〜3キロを結ぶ」とのこと。「瀬谷駅付近から幹線道路の環状4号線を経由して通信施設跡地に至る約1.5キロは、地下トンネルか高架のいずれか、跡地内は地表部か高架のいずれかに軌道を建設する方向で検討」しています。
 将来的には若葉台を経て十日市場駅や長津田駅まで延伸する構想もあるそうです。

kamiseyaline.jpg

( → 新交通システム「上瀬谷ライン」が動き出す。横浜・上瀬谷通信施設跡への新路線 | タビリス

 
 これがどうなるかというと、こうだ。
 市の第三セクターの横浜シーサイドラインは8日、同市から運行事業者として事業参画の要請があったと発表した。
 同社は外部の有識者を加えた検討会議を開き、事業のスケジュールや採算性などを検証したうえで回答する。
( → 横浜市の「上瀬谷ライン」 シーサイドラインに運営要請: 日本経済新聞

 「事業のスケジュールや採算性などを検証」とある。ここがポイントだ。
 
 ――
 
 私の判断を言えば、こうだ。
 「こんなものが採算に乗るはずがない。どうせ予測では、多くの住民や利用者がいるという想定をして、採算に乗ります、という試算を出すのだろうが、こういう試算は例によって画餅になるに決まっている。
 そのことは、Google マップを見ればわかる。
 



 
 瀬谷駅から北上して、長津田駅や十日市場駅に接続するということだが、すぐそば(西側)には、小田急江ノ島線が走っている。とすれば、近隣住民の多くは、小田急江ノ島線に乗るのだから、この新路線に乗る客は半減してしまう。
 それどころか、「長津田 ー 中央林間」の路線もある。なのに、ここにさらに新線を作ったら、このあたりはあまりにも路線が過密になる。まるで東京の都心部のようだ。
 それでいて、東側のあたり(東洋英和女学院大のあたり)は丘陵地で、小山になっていて、人が居住するには適さないので、ただの森林となっている。(衛星写真でわかる。)
 つまり、
  ・ 北側・西側はやたらと路線が過密である。
  ・ 東側は丘陵地で、人がいない。 

 というわけで、二重苦なので、とうてい採算が合うわけがない。
 
 さらに言えば、仮に新路線ができても、それに乗る乗客はまったく見込めない。なぜなら、西側にある小田急江ノ島線の方が、
  ・ 値段が安い
  ・ 乗り換えの手間と料金が少ない
  ・ 都心への時間が短い
  ・ 混雑度が低い

  という利点があるからだ。
  逆に言えば、新路線は、
  ・ 値段が高い
  ・ 乗り換えの手間があり、乗り換え料金もかかる。
  ・ 都心への時間が長くなる。
  ・ 混雑度が高い(長津田の先は、最悪の田園都市線だ)

  となり、欠点だらけだ。こんな路線は、できたとしても、利用したがる客は少ないだろう。閑古鳥が鳴くのは目に見えている。その分、電車の本数も少ないだろうから、ますます不便になる。
 
  ――
 
  では、かわりにどうすればいいか? そこは、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。

 そもそもこのあたりは、東京に出るにしても、横浜に出るにしても、どっちにしても、交通の便は良くない。だから新路線を作ろうとしているのだろうが、新路線を作っても、まだ交通の便は良くない。だから、テーマパークや住宅などの形で再開発するのは、諦めた方がいい。
 ただし、ここは自動車では、交通の便がいい。近くに高速道路のインターチェンジがあるので、現地から渋谷まで自動車で 40分で到達できる。だから、自動車での利用をメインに考えるべきだ。
  そのためには、新交通の路線は必要ない。かわりに、自動車での利用を前提として、別の形の再開発をすればいい。それは、こうだ。
 《 自動車会社の研究所を誘致する。土地の半分は研究所にして、残りの半分は社員の住宅にして、職住近接とする。地元民向けの商店街も作る。 》

 最も有力なのは、日産自動車の研究所だ。すでに座間や厚木にあるが、これらはあまりにも西の郊外にあるので、田舎過ぎる。高度な研究者を招くには魅力に欠ける。だから、渋谷まで自動車で 40分という、地の利のある場所に研究所を移転すればいいのだ。これほどの場所に、これほどまとまった土地は、滅多に現れない。日産自動車にとっては、めっけものの物件だろう。
 なお、日産自動車が辞退するなら、トヨタやホンダに切り替えればいい。この二社は、東京近辺に大きな研究所を持っていないので、この場所に研究所を設置すれば、東京の大学の卒業生を雇用するのに有利である。(特に東大生をたくさん雇用できる。
 こうして自動車会社の研究所を誘致したら、そばの土地を高値で宅地として販売すればいい。さらには、自動車会社から法人税を徴収することもできる。大儲けだ。
 テーマパークなんかをつくっても、ろくに利益は出ないし、税収もたいしたことはない。それよりは、自動車会社の研究所と、その従業員を、まとめて誘致する方がいいのだ。
 しかも、そのためには、インフラ設置のための余計なコストは不要だ。下記の記事では、横浜市がインフラ設置のために 410億円ほどを支出する予定だが、そんな大金を払う必要はないのだ。(既存の高速道路だけで済むので。)
 市は跡地と相鉄線瀬谷駅付近を結ぶ約2.6キロに新交通システムを計画。トンネルや軌道などの「インフラ部」を市が少なくとも410億円かけて建設する。
( → 米軍跡地の新交通システム、横浜市が三セクに要請 採算性には疑問符:朝日新聞

 というわけで、「新交通路線は建設せずに、既存の高速道路だけで足りる」という方針を取るのが、ベストだろう。
 そもそも、こんな田舎には、鉄道のような路線よりも、自動車を基本とする方が、ずっとまともなのである。



 [ 付記1 ]
 この場所(跡地)では、国際園芸博覧会(花博)が予定されているが、こんなに交通の便の悪いところは、たとえ新路線ができても、多くの人が来ることは見込めない。
 横浜市は、「2017年の全国都市緑化よこはまフェアには 600 万人の人々が訪れた」と言っているが、こちらが催された場所は、山下公園などの「みなとみらい地区」であって、交通至便の場所である。こんなに交通至便だから、600 万人の人々が訪れた。一方、上瀬谷の方は、交通の便が悪い。花博を開催しても、100万人以下の人々しか来ないだろう。(私の予想では 60万人だ。)

 「博覧会を開けば、人が来て開発が進む」
 というのは、昔は成功したことのある夢だが、近年ではまったく成立しなくなっている。横浜市は、馬鹿げた夢想から醒めるべきだろう。「カジノで大儲け」という夢想を捨てたのだから、「花博で大儲け」という夢想も捨てるべきだ。

 [ 付記2 ]
 文中では、こう書いた。
 「特に東大生をたくさん雇用できる。
 これはわりと実感できる。
 上瀬谷のこの土地まで、私の自宅から自動車で行くと、かなり短時間で到達できる。(有料の高速道路を使うので、高速料金が往復 1500円ぐらいかかるが、電車代とは大差がない。)
 この程度の近郊ならば、都心に通うよりも楽なので、勤務先としては大いに有望となる。喜んで勤務したがる人が多いだろう。
 一方、座間や厚木となると、あまりにも西すぎる。ほとんど丹沢に近い。こんな田舎は、山登りのハイキングには便利だが、都会の人間の勤務するところじゃないね。喜んで勤務したがる人は、山岳マニアぐらいだろう。
 




 日産のデザインセンターは、上記の場所(日産テクニカルセンターと同じ場所)にある。こんな田舎でデザインをしているから、田舎者のダサいデザインばかりを生み出すんだ。
( ※ トヨタやホンダは、もっと田舎っぽいけどね。)
 
 ――

 なお、今後は EV や自動運転などで、電器系・情報系の技術者の採用が重視される。そうなると、オシャレな若者が多いので、田舎に勤務するのはいやがる。だからこそ、都心に近い土地に、研究所がある方が有利なのだ。
 エンジン技術者なら、イモい学生を採用するだけでも足りたが、EV や自動運転の技術者は、イモい学生を採用するだけでは足りないのだ。
 

joukyou_inakamono.jpg


 参考:
  → 「田舎にいると芋くさくなる」のは何故?オシャレになれない5つの理由−AM
 
posted by 管理人 at 23:24| Comment(4) | 自動車・交通 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おっしゃるとおり、上瀬谷地区は自動車交通が充実していますね。

周囲には東名高速、国道16号・保土ヶ谷バイパス、国道246号があるので自動車で移動するほうが便利です。週末はかなり混雑しますが、それを差し引いても自動車優位です。

あと、小田急は(東急も?)運賃がかなり安く設定されているので、新たに鉄道を敷いたとしてもわざわざ運賃の高い路線に乗る人は少ないでしょう。
Posted by 反財務省 at 2021年09月10日 00:43
「 逆に言えば、新路線は、」
 のあとを、正誤訂正しました。

(誤)
  ・ 値段が安い
(正)
  ・ 値段が高い
Posted by 管理人 at 2021年09月10日 07:58
新路線とか抜かす前に環状4号の4車線化ですね。
新規に道路を作っても後3mあれば4車線になるのに無駄な2車線道路ばかりです。
甲州街道を見習ってほしいです。
Posted by メーオ at 2021年09月12日 15:15
 三セクの社長が新路線に否定的な見解を示した。テーマパーク構想などの跡地利用の具体案が決まらず、事業採算性が見通せないとのこと。
  → https://digital.asahi.com/articles/ASP9N6V0DP9LULOB00R.html
Posted by 管理人 at 2021年09月22日 07:55
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