2021年09月01日

◆ ワクチンとマスクの効果

 ワクチンはデルタ株にはあまり効かないとされる。だが、マスクと組み合わせると、どうか?

 ――

 ワクチンはデルタ株にはあまり効かないとされる。たとえばイスラエルでは、ワクチン接種率が高いのに、感染者が急増している。
  → イスラエルの感染者数(グラフ)

 ただしイスラエルは、マスクをする人が少ないことでも有名だ。とすれば、ワクチン単独では駄目でも、ワクチンとマスクを組み合わせれば大丈夫かもしれない。
 そこで、データを探すと、次の記事とグラフが見つかる。
 新型コロナウイルスの再拡大に直面する米国で、ワクチン接種の進んだ州と遅れた州の明暗が分かれている。インド型(デルタ型)のまん延により、ワクチン拒否層が多い州では感染や入院者数が昨冬のピークを上回ったが、先行州はマスク着用の推奨などを組み合わせ、抑えこみに成功している。

( → 新型コロナ: 米コロナ感染、ワクチンで明暗 日本の抑え込みに教訓: 日本経済新聞

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 記事の趣旨では、ワクチンの接種率と感染者数が「負の相関関係」をもつことを示している。「ワクチンの接種率が高いほど、感染者数(人口比)が少ない」ということだ。
 ただしそれは、米国内における比較だ。

 ――

 一方、グラフでは、日米の比較をすることもできる。すると、次のことがわかる。
 「日本のワクチン接種率は、米国では最低のレベルにあるのだが、感染者数は最小レベルに収まっている」


 これは奇妙なことである。「ワクチン接種率がとても低い」という事実からして、米国の相関関係に当てはめると、「感染者は最大レベルになる」というのが当然なのだが、実際には、「感染者数は最小レベルである」というふうになっている。
 これではまるで、「最も勉強しなかった生徒が、最もテストの成績がよい」というふうな感じだ。いかにも奇妙である。

 だが、次の事実を知れば、奇妙さはなくなるはずだ。
 「日本ではマスクをしている人がとても多い」

 つまり、マスクをしているおかげで、ワクチン接種率の低さを補っているのだ。
 とすれば、次のことが推定できる。
 「マスクをしなければ、ワクチン接種率が高くても感染者が急増する(イスラエルのように)。だが、マスクをすれば、ワクチン接種率が高まるにつれて感染者数を抑制できるだろう」

 つまり、「マスクとワクチン」という組み合わせによって、デルタ株を克服できる、と推定できるわけだ。

 ――

 以上のことは、ある程度、裏付けられる。というのは、最近になって、感染者数の急増が止まっているからだ。


東京都の感染者数 (NHKまとめ)
c-tokyo-210901.jpg

c-japan-210901.jpg


 上側の図は東京都の感染者数。
 下側の図は全国の感染者数。

 そのいずれも、8月下旬をピークに、減少傾向にある。ひところは先の見えない急増だったので、「とどまることなく増えるばかりか」とも思えたが、その懸念はハズレて、増加の鈍化から、漸減へ、と転じたのである。
 そして、その理由は、「ワクチンとマスクの併用」であると見なしていいだろう。
 ちなみに、ワクチンの接種率は、下記だ。


c-vacctination.png
出典:our world in data

    ( ※ グラフの縦軸は、「ワクチン接種を受けた人の数」ではなく、「ワクチン接種の回数」である。したがって、同じ人が3回目のワクチン接種を受ければ、グラフの数値は上昇する。それがイスラデルで起こっていることだ。)

 ひところは「ワクチンの供給不足」が騒がれていた。「ファイザーもモデルナも、供給量が急減する見込みだ」と。
  → ワクチン供給の失敗: Open ブログ

 ところが実際には、上のグラフからわかるように、日本のワクチン接種率は急増を続けており、いつのまにか、米国とほぼ同レベルにまで接種率が高まっているのだ。
 これは、意外なことだった。 ( ※ マスコミも報道していないようだ。)

 ともあれ日本では、ワクチンの接種率がかなり高くなって、しかもマスクの着用率も高い。こういう二つの効果が相まって、デルタ株を克服しつつある、と見なしていいようだ。

 一方、イスラエルは、マスクをしていないので、感染者数が多い。そこで、イスラエルは最近になって、三回目のワクチン接種をしている。それにともなって、イスラエルのグラフ値(ワクチン接種数・人口比)も急増している。

 ついでだが、ドイツ人はあまりマスクをしないのに、ドイツの感染者数は急増していない。これは奇妙に思える。だが、実を言うと、ドイツは PCR 検査が非常に多くて無料だ。つまり、「(コロナは)小さな芽のうちに摘む」という体制が完備している。この効果が大きいようだ。



 [ 付記 ]
 日本でもワクチン接種率は高まっているが、地域別の濃淡はある。特に、神奈川県は状況がひどいらしくて、いまだに「ワクチンの予約をまったく取れない」という苦情を上げる人が、 twitter 上に多数見られる。(神奈川県民の嘆き。)

 そこで、「楽天の横浜市民向け予約を取ればいい」と思ったが、即日完売みたいな感じで、あっという間に予約の枠が埋まったそうだ。今ではもう予約は取れない。
  → 【受付終了】楽天グループ株式会社での市民向け新型コロナウイルスワクチン接種

 横浜市では、新しい横浜市長が就任したが、「コロナ対策を最優先でやる」と言っている割には、今のところ何も打ち出さないでいる。間延びした話だ。
 
posted by 管理人 at 22:06| Comment(4) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
イギリス保健省のレポートでちょっと気になる動画がありました。ワクチン接種する方が死亡率が高いという分析です。イギリスなので他の国と単純比較できないもののどう判断すべきか少し迷っています。管理人さんはいかがお考えですか?

https://youtu.be/r_8OoKILu6w
Posted by やまさん at 2021年09月02日 13:54
 ワクチンを接種した人全体と、ワクチンを接種していない人全体とで、比較すると、前者の方が死亡率は5分の1以下であり、ワクチンによる死者数の大幅な減少が判明する。

 一方、分母を変更して、感染者だけで見ると、「ワクチンを打ったのに感染した人」と「ワクチンを打たないまま感染した人」では、前者の方が死亡率は高い。
 前者は免疫力がとても弱い集団(ワクチンの効果が低い集団:たとえば超高齢者や基礎疾患患者のうちで免疫力の弱い人だけの集団)なので、死亡率が高いのは当然だ。
 
 当たり前のことであって、何もおかしくない。
Posted by 管理人 at 2021年09月02日 17:19
イスラエルとアメリカの違いは、接種開始日。
マスク有無が原因ではなく、単純に効果が切れてきた事が原因。
3回目接種を開始した事は、それを裏付けます。
つまり年末に日本に次の波が訪れます
Posted by gunts at 2021年09月13日 19:57
> 単純に効果が切れてきた事が原因

 イスラエルで感染が増えたのは、デルタ株にはワクチンの効果が弱いからであり、ワクチンの効果自体はあまり減少していない……と専門家がデータを示しています。
 専門家の情報を知らないで、どこかの与太知識ばかりを書くと、デマ発信器になりますよ。

 だいたい、専門家はきちんとデータを示しているのに、データもなしに素人の思い込みを書いても、ナンセンスです。
Posted by 管理人 at 2021年09月13日 20:37
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