2021年08月14日

◆ コロナと人流(対策も)

 コロナの蔓延対策では、人流を減らすことが必要だ。なのに小池都知事は「人流は減っているので、五輪は問題なかった」と主張した。

 ――

 コロナの蔓延対策では、人流を減らすことが必要だ。ところが小池知事は、現在の感染爆発状態において、「五輪期間中に人流は減っているので、ステイホーム作戦は成果があった」というふうに主張した。
 小池百合子知事は13日の定例会見で、東京オリンピック(五輪)と人出の関係について、「テレワークなどの推進もあり、ステイホームで応援して頂き(テレビの)視聴率も上がった」と述べ、人出を増やす要因にはならなかったとの考えを示した。
 首都高の変動料金制度が人流抑制に役立ったとし、「エピソード(出来事)ベースではなくエビデンス(証拠)ベースで語ることが重要」と述べた。都は13日、一部の競技場周辺や都心部の人流データを公表。国立競技場周辺では開会式の日に、7月上旬に比べて1時間あたり最大で約3700人増えたが、大会期間中を通してみると、大会前よりも最大で約3500人減少していたという。

( → 「ステイホーム」成果強調 小池氏、五輪と人出増巡り:朝日新聞

 「エピソード(出来事)ベースではなくエビデンス(証拠)ベースで語ることが重要」というのはその通りだが、データを都合よく解釈しすぎている。
 「国立競技場周辺では」というのは、場所が限定されすぎているので、意味がないが、これは良くも悪くもないので、どっちみち影響しない。
 問題点は別のところにある。

 このことは、尾身会長の指摘と比べるとわかる。
  → 新型コロナ: 尾身氏「人流の意味で人々の意識に影響」 五輪巡り見解: 日本経済新聞

jinryu-omi.jpg


 グラフが見えるが、大きく落ち込んでいるところ(谷状態)は、1回目と2回目の緊急事態宣言のときだろう。それに比べると、3回目の今回は、下がる割合が減っていることがわかる。

 別のデータを見よう。Google による人流データだ。


jinryu2108b.png
出典:Google 人流 2021-08-10


 週末には通勤客の量が激減しているが、他はほとんど変化がないとわかる。

 ――

 以上からわかることは、こうだ。
 「五輪期間中には、人流は増えず、むしろ若干の減少が起こっている。しかしそれは、ステイホームという方策が成功したということを意味しない。むしろ、緊急事態宣言が発出されたにもかかわらず、その効果があまり出なかったことになる。その意味で、五輪は、緊急事態宣言の効果を損じた影響があった」

 小池都知事は、数字を見て、「人流が減っているから、うまく行った」と思い込んだ。「数字を見て、エビデンスで語れ」と偉そうに言った。それは五輪が単独で影響をもたらしたと思ったからである。
 しかし事実は違った。このとき同時に、もう一つのことがあった。つまり、緊急事態宣言が発出されていたのだ。にもかかわらず、緊急事態宣言の効果はきわめて弱かった。そして、その理由は五輪にある。(当然だ。)
 なのに、小池都知事はそのことを理解できなかった。つまり、物事の半面を、あえて見なかったのである。(二つのうちの一つを、あえて見なかった。)いわば、片目をつぶるように。


wink_woman.jpg


 ――――――――――――――――

 では、以上のことを理解したあとで、今後はどうするべきか? 

 尾身会長は「人流を減らせ」と言った。(上記)
 特に、「デパ地下を規制せよ」と言った。
 尾身茂会長:「外出する頻度をできれば、皆さん5割に減らして下さいということです。例えば、百貨店のデパ地下やショッピングモールなど売り場への人出、これを強力に抑制して頂きたいということです」
( → 尾身会長“緊急提言”デパ地下も制限「どうして?」|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト

 これを受けて、デパ地下の入場制限が決まった。
  → デパ地下、入場制限へ=コロナ対策、半減目標―大手百貨店(2021年8月13日)
  → 百貨店がデパ地下の入場制限へ コロナ分科会の提言受けて | WWDJAPAN

 しかし、デパ地下の入場制限をしたところで、たいして意味はない。そのことは、はるかに密である満員電車が普通に運行されていることからもわかる。デパ地下なんかを規制するくらいだったら、満員電車を規制する方がマシだ。
  ・ 電車通勤を禁止する。
  ・ 電車の本数を大幅に増加して、「密」を回避する。

 とはいえ、この方がマシだとはいえ、これもたいして効果はない。なぜなら、感染は「密」によって起こるのではないからだ。

 ――

 感染が起こるのは、食事にウイルスの飛沫が付着するのが主たる要因だ。ここでは経口による食物経由でウイルスの感染が起こるのだ。
 とすれば、何よりも有効なのは、会食の制限である。特に、パーティションもなしで、対面して、唾を飛ばしながらの会食などは、言語道断だ。ところがこれは、現状では放置されている。制限されているのは、
  ・ 酒をともなう飲食
  ・ 午後8時以後の飲食
  ・ 5人以上の飲食

 などだけだ。したがって、
 「4人以下で、唾を飛ばしながらの会食」

 は、現状では容認されていることになる。ここを制限するべきだろう。それこそが最大の感染対策なのである。

 ――

 なのに、そういうことがわからないから、現状では見当違いのことばかりをやる。
  ・ デパ地下の入場規制
  ・ 酒をともなう飲食の規制
  ・ 全飲食店の終日休業を要請(山梨)
 → 出典

 しかし、制限するべきは、そういうことではない。「唾を飛ばしながらの会食」だけを制限すればいいのだ。
 なのに、それをやらないから、現状では感染爆発が起こる。

 ――

 前項では、「医療崩壊を防ぐにはどうすればいいか」ということを論じた。しかし、医療の状況をいくら改善しても、肝心のコロナ対策がなおざりでは、感染爆発が止まらない。それでは意味がない。
 医療対策は、あくまで対症療法だ。その前に、根源の病巣たる「感染爆発」を止めることが必要だ。
 そのためには、「現状では人流が減っているから問題ない」なんて語っているのは言語道断だ。「現状では感染爆発が起こっているから、根本的な対策を取る必要がある」と認識するべきだ。
 現状そのものを誤認しているのでは、小池都知事の罪はきわめて大きい。
 


 【 関連項目 】
 (1)
 会食を制限するのが重要だ……という話は、前にも書いた。
  → 感染急増を止めるには? : Open ブログ

  ※ 現状では会食制限されずになされている、という実例つき。
 
 (2)
 会食では飛沫が飛ぶのが危険だ……という話は、前にも記した。
  → 会食が危険である理由: Open ブログ
posted by 管理人 at 12:37| Comment(4) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
小池都知事の楽観的な認識をよそに、東京都の関係者は会食の危険性を十分に認識しているようです。それゆえ、感染者の炙り出しには消極的になってしまいました。

『職場や会食での感染 周囲への濃厚接触者調査は行わず 東京都(NHKニュース)』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210814/k10013201711000.html
Posted by 反財務省 at 2021年08月14日 16:24
いつも楽しく拝見しています。
こちらの発言の中に「食事にウイルスの飛沫が付着するのが主たる要因だ」とありますが、私と少し認識が異なっておりました。例えば朝食バイキングなどではトングから伝搬し、それを触った手で顔などを弄ることから粘膜にて感染するものだと思っておりました。コロナ禍が始まった頃、厚生労働省のページに記載があったのでそう思い込んでいたのですが・・・
如何でしょうか。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou.html
Posted by sara at 2021年08月15日 13:09
 それも十分に考えられますが、朝食バイキングを取る人は、人口で1%もいないのでは? 

 普通の会食では、他人の料理皿には手を触れません。

 「食事にウイルスの飛沫が付着するのが主たる要因だ」については、
 【 関連項目 】 の (2) を参照。
Posted by 管理人 at 2021年08月15日 13:50
  【 関連項目 】 の (2) を加筆しました。
  飛沫感染のシミュレーション動画があります。
Posted by 管理人 at 2021年08月15日 13:53
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