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原爆の被害が徹底的に隠蔽された……という話だ。NHK で初めて報道された。
→ NHKスペシャル「原爆初動調査 隠された真実」
→ 「原爆初動調査 隠された真実」 - NHKスペシャル - NHK
8月9日(22:00〜23:15)に放送された。 再放送 は 8月11日(水)午後11:31〜。
【原爆調査員は語る】
— NHK広報局 (@NHK_PR) August 6, 2021
「私はその恐ろしさを理解していませんでした」
76年前、広島と長崎で、アメリカ軍が行った原爆初動調査の全貌に迫ります。
NHKスペシャル
「原爆初動調査 隠された真実」
9(月)夜10:00[総合]https://t.co/L8zhxsturl pic.twitter.com/1FIOuVCiG0
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米軍が徹底的に調査して、残留放射線のひどい被害が記録されたのだが、報告書は「 TOP SECRET 」というマル秘文書扱いにされ、公開禁止処分になった。調査した人々には「すべてを忘れろ」と命令して、隠蔽工作がなされた。米議会の証言では、「残留放射線の被害は皆無です」という事実に反する偽証をなした。
そのすべてを支持したのは、原爆の開発チームのボス・兼・残留放射線の調査チームのボスだ。彼が、原爆開発と配備を推進する立場から、真実の隠蔽という方針を遂行した。
一方、事実を隠蔽したことで、残留放射線の地域の住民は見捨てられ、危険な地域から脱することもできず、治療を受けることもできず、次々と死んでいった。
特に、爆心地の外で、黒い雨の降った地域では、残留放射線がとんでもない高い数値になっていたそうだ。(黒い雨は、単に色が黒いだけでなく、放射能灰を含む、濃い液体だったらしい。)
しかも、危険な土地では、残留放射線を含む危険な農産物が栽培され、それが他の地域の人々の口に入るようになった。
それでも米軍は真実を隠蔽して、危険を放置した。
なぜ放置したか? 「残留放射線の影響に関する理想的な観察対象になる」という立場からだ。つまりは、実験のモルモットである。(もともと人間扱いされていなかったのである。黄色い猿は、ただの実験動物だった。)
まさしく「悪魔のごとき人物」と思えるが、それに輪をかけてひどいのが、日本政府だ。上の人物は「米国人の命は大切だが、日本人の命は大切ではない」という差別主義に基づくものであり、それならそうだと納得できる。差別主義者というのは、そういうものだ。
一方、日本政府は、自国の人民が苦しんでいるとわかっていながら、あえて自国民を見捨ててきた。差別主義者よりも、もっとひどい。裏切り者ふうである。それが歴代の自民党政府だった。(猿を殺すのは悪人ではないが、仲間を殺すのは悪人である。)
福島の災害のあとでは、「被災者のため」という口実で、実際には土建業者の利益のために、23兆円という巨額の金を無駄に投じてきた。
一方、広島や長崎の被爆者については、爆心地の外にいた人々には何の補償もしてこなかった。
→ 被爆者と被災者: Open ブログ
政府は、金を払わないだけでなく、医療の手を施さないことで、あえて見捨てた。人の顔をした悪魔というのは、こういうものなのだろう。

JIMIN
※ 最近になってようやく、菅首相が方針を転じたが。それというのも、菅首相の支持率が極端に下がってきたせいらしい。政権アピールのために、被爆者を利用したい、という思惑か。
[ 付記 ]
本項は、隠蔽の話。
前項は、フェイクの話。
どちらも根本は似ている。真実よりも虚偽を、人々に見せることだ。
それはまた、菅首相や安倍前首相やトランプ前大統領に共通する資質でもある。
本項の話には、ある種の普遍性があるとわかるだろう。
オリンピックを見て浮かれてばかりいないで、原爆のことを思うといいだろう。五輪の願いは平和であるが、その裏には戦争や死がある。五輪の願いは、夢であって、現実ではない。現実とは、死なのだ。
そして、われわれは、死という現実を直視することを避けてきた。……そのことを、NHK の番組は教える。
※ 思えば、コロナによる死という現実から目をそむけるために五輪が開催された……という裏事情もある。隠蔽とフェイクは今なお続く体質なのだ。五輪はフェイクではないとしても、現実を隠蔽するために開催されたということを忘れないようにしよう。
【 関連項目 】
本項の続編があります。(番組内容の紹介の補充もあり。)
→ 長崎の黒い雨の被爆者: Open ブログ (2021年12月28日)
→ 原爆の「ウソ」を暴いた黒人記者─広島の放射線被害を否定した米軍に科学とファクトで立ち向かった
https://courrier.jp/news/archives/257335/