2021年07月29日

◆ 続・五輪開会式の内幕(文春)

 五輪の開会式の裏事情を文春が明かしているが、その続き。
  ※ 前項とは別の文春記事が公開されている。

  ※ 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 【 重要 】

 ――

 前項で紹介したのは、下記記事。(現在では非公開・有料化)
  → 台本11冊を入手 五輪開会式“崩壊” 全内幕 | 週刊文春

 これとは別の記事が無償公開されている。(期間限定)
  → 《話題の開会式記事全文を無料公開》森・菅・小池の五輪開会式“口利きリスト” 白鵬、海老蔵、後援者… | 文春オンライン

 「source : 週刊文春 2021年4月8日号」とあるので、以前の記事らしい。
 昨日に公開された話とは、かなり重なるが、少し違うところもある。

 昨日の公開分では、こうある。
 開閉会式などの予算は招致段階では91億円だったが、19年時点で130億円に増大。延期に伴って予算は増額され、165億円まで膨らんでいる。

 一方、冒頭の記事では、こうある。
 3月6日、佐々木氏に電話をかけたところ、侮辱演出案について反省の弁を述べるとともに、こう明かしていたのだ。
 「私が責任者になった当初、現場の人間に『今、どれくらいの予算が残っているのか?』と聞いた。そしたら(オリパラ開閉会式)4式典で10億円だと。延期前までは130億円の予算が計上されており、80億円くらいは残っていると思っていたんですが……。嵐のライブでも10億円はかかると言いますから、これでは厳しい。(組織委は予算を35億円追加したが)演出に使っていい額はそんなにプラスされないんで」
 佐々木氏は責任者を辞任した際の謝罪文でも、残り予算が4式典で10億円だと言及。事実であれば、組織委は120億円をすでに支出していることになる。
 「10億円は少し大げさですが、MIKIKO氏の案は完成目前の段階でしたから、資材など含めて多くの費用を支出している。だからこそ、彼女の案を生かすべきだったのですが、佐々木氏の意向で結局、一から企画を作り直すことにしたわけです」(前出・電通幹部)
 10億円問題に関し、武藤氏は会見で「受託会社(電通)が運用している」と回答。

 さらにソースを求めると、こうあった。
 《 佐々木宏氏 謝罪文全文 》
 また、MIKIKOさんを中心に考えられていた開会式プランは、私が白紙化した事実はなく、演出予算が10億で4式典をやると言われ、私はむしろ、簡素化、安心安全へのコロナ後の、また大幅に予算削減の中で、それまでの企画演出を、LIVEではなく、remoteでできないか、という視点から、MIKIKOさんのプレゼンされた企画書の絵を使い、縮小したりしながらIOCに提案しました。
 私のプレゼンが受け入れられなかったのは、感染拡大を防ぐために、入場行進を人数大幅に制限して、とか、それまでの作り始めていた設備を、完成させる、一年後まで保存させる、共に予算オーバーで、無理なので、木を一本立てるだけとか、リモートや、少人数での、簡素化で、Iあまりに簡素過ぎて、ダメだったのかと、認識しています、
 それもあり、4式典をやめて、オリンピック・パラリンピック合同の2式典も提案しました。が受け入れられませんでした。
( →  - 東京オリンピック2020 : 日刊スポーツ

 組織が払った金については、武藤事務総長の答弁があった。
 《 MIKIKO氏辞任理由は/橋本・武藤両氏一問一答 》
−佐々木さんの謝罪文の中に「五輪の企画演出は実質MIKIKOさんだった」とある

武藤氏 7人の演出体制は19年ごろに体制を組み直し、実際に五輪の執行責任者はMIKIKOさんが適任であると進めてきた。パラは佐々木さん。

−延期後、4式典で予算は5分の1、10億円と佐々木氏の謝罪文にあるが本当か

武藤氏 受託会社(電通)の話だろうと。我々が提示した開閉会式の予算165億円をどのようにするべきか考え、執行するのは受託会社。
( → 東京オリンピック2020 : 日刊スポーツ

 結局、電通が 165億円を受け取ったのは事実だ。電通はその金を受け取って、すべてを牛耳った。
 一方で、電通が最終的に決めたのは、こうだ。
  ・ MIKIKO 氏を解任する。
  ・ 佐々氏に任せる。
  ・ 佐々木氏に与える金は、4式典(オリ・パラ/開・閉会式)で 10億円。


 佐々木氏はプロの視点で「80億円くらいは残っていると思っていたんですが」と考えていたのに、たったの 10億円である。開会式にかけたのは3億円ぐらいだろうか。「嵐のライブでも10億円はかかると言いますから、これでは厳しい」という状況だ。
 それにもかかわらず、あれだけの式典をやれたのだとすれば、佐々木氏のあとを継いだ小林賢太郎は、実に有能だったことになる。
 開閉会式(4式典)で制作現場にまわされた予算はたった10億と言われており、当初の予算の5分の1に削減されたというのだ。クリエイターたちは、苦境の中、世界の祭典に見合うクオリティを求められ、やりくりして応えていかなければならなかった。  
 「ピクトグラムくん」というアイデアも、そういった限られた制約の中で、言葉の壁を超え、世界中の方々が楽しめるように、と作り出された才智の結晶だったのだ。

 文末には、はっきりと「演出・小林賢太郎」と記されていた。
( → 発売中止となった開会式公式プログラムが拡散?東京オリンピック《ピクトグラム誕生秘話》と《予算5分の1削減の真相》|のやまやの|note

 ――

 結論としては、こう言える。
 私は前に「開会式は低レベルだ」と評価した。だが、それは、165億円をかけたということを前提としての話だ。
 現実には、3億円程度しかかけていなかった。それっぽっちの費用でなしとげたにしては、あの開会式は大成功だったと言えるだろう。嵐のコンサートの3分の1しか費用をかけないのに、あれだけのことができたのであれば、実に優秀だったと言える。

 そしてまた、今回の開会式で、何よりも大成功を収めたのは、電通だろう。165億円を受け取りながら、開会式にかけた費用はたったの3億円なのだ。
 実は、開会式以前に「事前払い」という形で支払い済みだった分もあるだろうが、その分を除いたとしても、巨額の金が懐に残ったことになる。
 さらには、たいていの納品業者には「納品なしなので契約解除」という形で、1円も払わずに済ませた事例が多いだろう。似た例は下記。
  → 大企業から仕事の依頼、数十時間かけて提案資料を作ったのにポシャる→ここまでの分の精算を求めたら「一円も払えません」と言われた… - Togetter

 ざっと見積もれば、電通は今回の開会式を簡素化することで、165億円のうちの半分以上の金を中抜きすることができただろう。ボロ儲けだ。となれば、今回の開会式は、「大・大・大成功」と言っていいだろう。(電通にとっては)

yami_soshiki.png




 【 関連項目 】
 この件は、私が前に指摘したとおり。
 今回はどうか? 
 「コロナの影響があった」という理由で、開会式・閉会式は、大幅に簡素化して、コストを浮かせる……という方針が立てられたのだ。それが根源である。(というのは表の名分だ。)
 実は、コストを大幅に浮かせるが、政府や東京都が払う金が減るわけではない。担当者(= 電通)に払う金は同じだが、コストは大幅に低くなる。その意味は、「巨額の差益が電通に入る」ということだ。

  ……(中略)……

 以上のような「電通の利権」という流れのなかで、新たに「開会式・閉会式」においても、巨額の利権を手に入れようとしたのである。そして、その結果として、「最後の最後になって急な変更」がなされて、それが「いかにも慌ただしいドタバタ騒ぎ」とみえるようになったのだ。
( → 五輪開会式の闇: Open ブログ

 ここで指摘したことが、そっくりそのまま真相であった、と言える。具体的な金額の数字つきで。



 [ 余談 ]
 こういう言葉がある。
 「 浜の真砂(まさご)は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ」

 この言葉を、よく味わってほしい。ブログ画像(砂浜)を見ながら。


shore-D03.jpg





 【 追記 】
 「電通はどうして、こういうあこぎなことをやったのだろう? そんなに極悪非道のことをするなんて、善良な私には理解できない」
 と思う人が多そうだ。だから、以下に解説しておこう。

 電通は特別に悪質なわけではない。むしろ、ごく当然のことをしたまでだ。
 仮にあなたが同じ立場にあったとする。そこではこういう条件を示される。
 「開会式をお任せします。予算は 165億円を用意します。お好きなように使ってください。内容はすべて、あなたにお任せします」

 こう言われたら、どうするか? 165億円をきっちり使って、利益がほとんど出ないようにするか? それとも、費用は最小限に限定して、自分の利益を最大限にするか? 
 ま、普通の人間ならば、後者を選ぶだろう。
 「目の前に、1億円と 100億円の、二通りがあります。そのうち、どちらでもお好きな方を取ってください。ご自由に」
 と言われたら、よほどの変人でない限り、100億円の方を選ぶはずだ。(少ない方を選ぶような無欲の人間は、童話の中にしか出てこない。)

 とすれば、問題の根源は、「金だけ与えて全権委任する」という方針を取った組織委にある、と言える。事務総長の武藤が無能すぎたのだ。
 どうせなら、コンペをして、多くのプランから一つのプランを選ぶべきだった。あるいは、予算の監査をする監査組織を使って、かかった費用に監査を入れるべきだった。(そうすれば電通の中抜きは不可能だった。)

 結局、「金だけ与えて全権委任する」という方針を取って、電通に丸投げをした組織委に根源的な失敗があった、と言える。電通による中抜きは構造的に不可避だったのであり、そういう構造を用意した組織委が無能すぎたとも言える。

 問題の根源のそのまた根源には、「国家的な事業を、政府の目の届かない、組織委という素人集団に任せた」という基本構造(基本体制)にあるのだ。
 五輪は本来、国(または主催自治体)の権限で行うべきだった。なのに、「国と自治体が金を全部出して、その使途は組織委という素人集団に任せる」という基本構造が、根源的に間違っていたと言える。
 ここにすべての根源があるのだ。

  ※ この問題については、下記でも論じた。
     → 組織委会長は政府が決めよ: Open ブログ

posted by 管理人 at 21:52| Comment(1) |  東京五輪・豊洲 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2021年07月29日 23:32
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