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警戒レベル3
熱海の土砂崩れで、高齢の母親を失った人の、(悲しい)後悔が報じられている。
《 「お袋!」聞こえぬ返事 土石流、2週間経て判明の身元: 》
行方不明だった同居の母親、笑子(えみこ)さん(82)の身を案じ続けてきたが、見つかっていた遺体の身元が17日、笑子さんだったと発表された。
あの日は、笑子さんと暮らす伊豆山の実家にいなかった。10メートルほど離れた姉の家の2階にいた。朝から雨脚が強かったのを覚えている。
家の外から「キャー」という悲鳴が聞こえた。窓の外に目をやると、姉宅の前を流される車が見えた。続いて土砂が流れていった。
急いで実家に戻ると、玄関が土砂で塞がれていた。勝手口に回り、居間にむかって「お袋!」と叫んだ。笑子さんは居間でテレビを見ていることが多かった。返事はなかった。居間には土砂が顔の高さまで流れ込んでいた。
その晩、1人になると、後悔ばかりが募り、涙がとまらなかった。「もう1、2分でも早く気が付けば、お袋を助けられた」。なかなか寝付けなかった。
( → 朝日新聞 )
この人は、母親を救うために、何かできただろうか? できた。なぜなら、「高齢者等避難」を発令していたからだ。
令和3年7月2日 午前10時00分をもって警戒レベル3「高齢者等避難」を発令しました。
( → 大雨に関する情報|熱海市公式ウェブサイト )
土砂崩れの1日前に、警戒レベル3「高齢者等避難」を発令していたのだ。とすれば、82歳の高齢者で、しかも危険な地域にいるのであれば、当然、避難しておくべきだった。
※ 現地が危険な地域だったことについては、前出。
→ 土石流の地図位置 : Open ブログ
つまり、危険は事前にわかっていたし、高齢者のための警報も発令されていた。なのに、避難しなかったのだ。そこに根源的な問題があったとわかる。
避難の難しさ
一方で、現実には高齢者の避難は難しい、という問題がある。足腰が立たないからだ。特に、熱海のような急な坂道では問題だ。
99歳の母親を背負って逃げたという75歳の男性が9日、取材に応じ、高齢者避難の難しさを語りました。
後藤光雄さん(75)は、車いすで生活している99歳の母親と2人で暮らしています。
当日は、熱海市が「高齢者等避難」の情報を出していましたが、避難所の小学校は、およそ400メートル離れた高台にあり、母親とともに自宅に残っていて、土石流の発生に気付いてから急いで避難を始めたといいます。
「近くでものすごい、ごう音と悲鳴が聞こえたので、家の外をのぞき、自宅の手前まで土石流が電柱や木を巻き込みながら流れ込んでいる光景を目の当たりにしました。その後、ベッドで寝ていた母を急いで背負い、はだしのまま家を出て、数メートル先の高台に登り、空き家に駆け込みました」
「土石流を目にしたときは死を覚悟しました。自分1人であれば事前に逃げることもできましたが、高齢で長く歩けない母親を背負ったまま遠くまで逃げることは難しく、どうすればよかったのか、今もわかりません」と、高齢者だけの世帯での避難や判断の難しさを語りました。
( → 熱海 土石流 99歳母背負い逃げた男性 高齢者避難の難しさ語る | NHKニュース )
この人はかろうじて母親を背負えたが、この人自身も高齢者だ。母親を背負えないという事例も多いだろう。となると、「避難するべきだ」と事前にわかっていても、なかなか避難できないことが多いだろう。
困った。どうする?
そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
警戒レベル3「高齢者等避難」を発令したら、自治体は、高齢者を避難させるためのバス(スクールバスでもいい)を巡回させて、避難所まで連れていく。特に、介護が必要な老人については、ホテルに連れていって、ホテルの人には介護手当に準じた金を払う。
事後に(行方不明者の捜索などで)いろいろと金を払うくらいならば、事前に避難をなくすためのバスを運行する方が、ずっと安上がりに済むだろう。
また、熱海では、現在、旅行客のキャンセルが続出して、ホテルや土産物業界では、閑古鳥が鳴いているそうだ。せっかくの夏休みシーズンなのに。
→ 「こんな時に泊まっていいのか」土石流、熱海観光にも影:朝日新聞
ここでは熱海市経済に、莫大な損失が発生していることになる。(風評被害)……何十億円もの損害だろう。(何百億円かも)
こんなことになるくらいなら、事前に避難用のバスを巡回させる方が、ずっと安上がりに済んだはずだ。
※ ネットで見ると、マイクロバス[29人]のレンタル料は 1日27,000円。
運転手付きだと、1日6万円程度。
※ 10名乗りハイエースなら、12時間 8000円程度。普通免許で可。