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前項では次のように結論した。
「(熱海の)盛り土工事は、建設残土の不法投棄が真の目的であって、そばでなされた宅地開発は、土地開発の許可を得るための偽装にすぎなかった」
これが事実であるならば、他のところでも同様のことをやっているはずだ。特に、他のところで建設残土の不法投棄をやっているはずだ。
そう
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まずは、次のニュースを見る。(前項でも引用した。)
盛り土から南に約6キロの上多賀地区の住民や市議会議員によりますと、この業者が平成19年から22年にかけて斜面の一画で行った造成工事の現場から、土砂が隣接する寺の敷地や道路に流出するようになったということです。
当時の写真には、墓地の通路一面に泥水が流れ、直径50センチほどの岩が転がっている様子が映っています。
土砂は、300メートルあまり離れた住宅街にまで流れ込みましたが、業者は復旧の要請に応じず、寺や消防団などが撤去したということです。
ここでも工事は中断され、何も作られなかったということです。
( → 盛り土を造成した業者 熱海の2か所でトラブルの証言|NHK )
この場所で「建設残土の不法投棄」がなされた疑いが濃厚だ。そこで、調べてみる。
まず、現場の場所は「静岡県熱海市上多賀367 宝泉寺」である。これを入力して、そばの山面(西側にある)を調べればいい。
(1) Google マップ
Google マップでは、次の画像がそうだ。
→ https://ggle.io/4AFw
左上の山面が、盛り土の工事跡のように見えるが、緑の樹木は生えているので、はっきりとしない。
そこで、過去に遡って調べるために、Google Earth を見ることにする。
(2) Google Earth
Google Earth でも、最新時点では Google マップと同様だ。しかし時間を遡ると、2019年2月の時点で、次の画像を得られる。
これを見ると、「ここは残土を不法投棄した現場だ」(いくらかの盛り土をした場所だ)と推断してもいいだろう。
なお、この盛り土が継続されずに、途中で中断されたのは、地元民の反対運動があったからだ。それというのも、盛り土(投棄された建設残土)が雨で流出したからである。
記事から再掲すると、こうだ。
斜面の一画で行った造成工事の現場から、土砂が隣接する寺の敷地や道路に流出するようになったということです。
当時の写真には、墓地の通路一面に泥水が流れ、直径50センチほどの岩が転がっている様子が映っています。
※ NHK の動画には、静止画が映っている。
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結論。
例の不動産会社が、「建設残土の不法投棄」の常習犯であることは、今回の盛り土だけでなく、上多賀地区の盛り土からもわかる。
※ NHK では「斜面の一画で行った造成工事の現場」というふうに表現されているが、その場所は、Google Earth によれば、「造成工事の現場」ではなく、「建設残土の不法投棄の現場」らしいのである。
※ NHKは「ここでも工事は中断され、何も作られなかったということです」とのことだが、もともと、こんな急斜面に宅地を建設できるはずがない。ここは最初から、不法投棄を目的とした場所だったのだ。そのことをきちんと見抜くことが大事だ。斜面の角度を見るだけでも、嘘は簡単に見抜けるものだ。