2021年07月09日

◆ 日産が英国に電池工場

 日産自動車が英国に EV 用の電池工場を建設するという。これはどういうことか?

 ――

 1週間ほど前のニュース。
 日産自動車は、欧州の旗艦工場がある英サンダーランドに、電気自動車(EV)向けの新たな電池工場をグループ企業と共に建設すると1日発表した。新工場は、EV約15万〜20万台分に相当する年9ギガワット時の生産能力を持つ。欧州市場で激化するEVのシェア争いに備える。
( → 日産、英国に電池工場新設へ EV強化、年15万〜20万台分:朝日新聞

 グループ企業というが、これは何なのか? また、どうしてこういうことをするのか? なぜ電池メーカーでもないのに、電池を自前で生産するのか?

 ――

 こういう疑問が起こるのは、先に次の項目を書いたからだ。
  → EV用の電池の支援に1兆円: Open ブログ
 
 ここでは次の二点を示した。
  ・ EV用電池では世界最大の CATL は、「超長寿命電池」を開発した。
  ・ 日産のアリアは、CATL の電池を搭載する。


 つまり、世界最大の電池会社が、画期的な超長寿命電池を開発して、日産のアリアはその会社の電池を搭載する。
( ※ もしかしたらアリアは、その長寿命電池を搭載するのかもしれない。ただしこの超長寿命電池の生産開始は、今月か先月ごろと予定されていたのに、いまだに発表されていない。生産開始がどんどん順延されている模様。アリアの販売も、今夏から年末に延期された。)

 どうも予定よりもいくらか遅れているようだが、日産は CATL の超長寿命電池を採用する路線を取るのだと思われていた。この超長寿命電池は、寿命が8倍に伸びるので、ある意味ではコストが8分の1に下がったのと同じぐらいのインパクトがある。超高価な電池が劇的に価格ダウンすることになる。これでは他社の電池は相手になるまい……と思われていた。

 なのに、日産が電池を自社生産するというのは、いったいどういうことか?

 ――

 そこで、調べてみた。冒頭の「子会社」というのは、下記の会社だとわかった。
 
 エンビジョンAESCグループは中国の再生可能エネルギー企業、エンビジョングループが80%、日産が20%を出資する。日産とNECの共同出資会社として設立されたが、19年にエンビジョンに保有株式を売却し、中国企業の傘下に入った。
 日英米中で4工場を運営する。日本では茨城県に新工場を設ける計画で、国に補助金の申請をしている。20年の世界シェア(出荷容量ベース)は2%で7位。首位のCATL(26%)や2位の韓国LG化学(23%)との差が大きい。世界のトップ3に入ることを目標に掲げており、「シェア20%は生き残りに必要」と強調した。
 次世代の電池である全固体電池を日産などと共同で開発していることも明らかにし、「30年までの量産を狙いたい」と話した。
 

aesc.gif

( → 車載電池のエンビジョンAESC、米国で株式上場を検討: 日本経済新聞

 会社沿革の詳細は、下記。
  → 会社概要|エンビジョンAESC
 
 日産と NEC の共同開発の電池会社は、当初は世界をリードしていたが、その後には遅れてしまって、中国企業に売却された。この時点で見込み薄だったので、「どうせすぐにつぶれるだろう」と思っていたのだが、存外、つぶれてなかった。
 それどころか、けっこう健闘している。トップ3にはとうてい及ばず、2番手グループにも入れていないが、とりあえずは戦線離脱をしないで済んでいる。それどころか、口先だけは、「世界のトップ3に入ることを目標に掲げており」という強気だ。ちょっと口弁慶(くちべんけい)ふうではあるが。
 とっくに「おまえはもう死んでいる」という状況だとばかりだと思っていたのだが、今でもしっかり生きているのは立派だ。
 で、日産としては、この子会社(というか出資会社)と協力するということなのだから、日産は電池生産の面でも、とりあえずは戦線離脱をしないで済んでいるわけだ。

 この点では、ホンダやトヨタよりもずっと上だと言える。ただし、テスラと伍することができるかは不明。また、CATL との関係も不明だ。
 CATL が超長寿命電池を生産したら、世界中の電池メーカーはみんな脱落してしまうかもしれないんだが。
( ※ 「当社でも真似して生産できます」と思っているのかもしれないが、特許の壁があるので、難しそうだ。ま、クロスライセンスという手もあるが。)
 
posted by 管理人 at 23:20| Comment(0) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ