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土砂崩れの被災者にホテルなどのサービス提供がなされている。サービスを受けた被災者には好評だ。
朝日新聞の記事もある。
80代女性に話を聞くと、「おいしい食事に大浴場もある。至れり尽くせりです」と話した。
ベッド二つの個室を1人で使い、テレビを見たりロビーで新聞を読んだりして過ごす。朝晩の食事はバイキング形式で、近所の友人と会うのも楽しみだ。新型コロナウイルスの感染拡大も心配されるが、「個室だから安心。困ったことはほとんどない」と話す。
50代男性は「エアコンも利いていて、布団も用意されている。安心して眠れる」と話す。一方で、「いつまでホテルにいられるのか」と不安も漏らす。
( → ホテル避難「個室で安心」 体調管理に利点、長期化に不安も 熱海・土石流:朝日新聞 )
「いつまでいられるか」という不安を感じなくて済むように、かなり長期にわたってホテル住まいができる体制を整備するべきだ。
一方で、そのためには費用がかかる。それをどうするか? 当然ながら、土砂崩れの恐れのある地域の人々全員に負担してもらうべきだ。
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この「サービスと負担」は「保険」に相当する。それを行う体制があるといい。「土砂崩れ保険」というようなものだ。地域の全員に強制的に加入させるべきだ。
その骨子は、こうだ。
・ 提供サービスは、避難所にかわるホテル生活。
・ 死者が出た場合には、遺族年金。
・ 家屋倒壊にも、遺族年金の割増しで保証。
・ 保険の加入は強制的。
注意点が四つある。
(1) 保険の加入は強制的である。これを払うのがいやならば、危険な山裾地域から離脱する必要がある。逆に言えば、この保険料の徴収によって、危険な山裾地域に住むことをやめさせるよう、促す。
つまり、「金を徴収することで、保険料の原資にする」という意味と、「金を徴収することで、そこから立ち退かせる」という二つの意味がある。一石二鳥だ。
(2) 場所の指定は、「山裾から 100メートル以内」というような具合で、個別に指定すればいいだろう。山裾の定義は、地面の傾斜度で決めていいだろう。ある程度の勾配があれば、そこは山地と見なして、最も危険な地域と見なす。
(3) 死者が出たときの死亡保険料は、一時金ではなく、遺族年金とするべきだ。これは、次のことを意味する。
・ 一家全滅ならば、遺族年金の受取人もいない。
・ 一家全滅では、遠縁の親戚に死亡保険は下りない。
あくまで被害者の生活保障が大事なのであって、財産権の補償をするのが目的ではない。「土砂崩れ成金」なんかが出たりするのは、論外だ。
(4) 会計は、市町村ごとに、独立会計にするべきだ。(全国一律の会計とはしない。県別にもしない。)……そうすると、「対策をしっかりやった自治体は、死者数が少ないので、財政的にも好転する」という効果が生じる。逆に、「対策をなおざりにした自治体は、死者数が多いので、(補償額が増えて)財政的にも悪化する」というふうになる。
すると、熱海市のように「なかなか避難指示を出さない」というサボり行為が減る。避難指示が出るのが遅くなれば、死者が増えて、自治体の補償額も増えて、財政が悪化するからだ。
[ 付記 ]
最初から(避難所のかわりに)ホテルを用意しておいてもいい。この件は、先に述べた。
→ 熊本水害の教訓: Open ブログ の【 追記 】
※ ここでは、半額にして自己負担、という形だが。
このようにすると、避難所暮らしのつらさが解消して、ホテル暮らしの楽しみができるので、避難することが
【 関連項目 】
以前の案では、「保険」という形を取らずに、「危険地帯は(なるべく)居住禁止」というふうに述べていた。
→ 広島の土砂災害の対策: Open ブログ
→ 広島で豪雨被害が多い理由: Open ブログ
→ 集中豪雨にはフェイル・セーフで: Open ブログ
→ 耶馬溪の土砂崩れ: Open ブログ
「居住禁止」という強権策に比べれば、本項の「土砂崩れ保険」の方が、合意を得やすいし、洗練されていると言えるだろう。
【 関連サイト 】
現状ではどんな保険があるか? 土砂崩れ保険というものはないようだ。かわりに、火災保険に「水災補償」というものがある場合には、保険金が下りるようだ。
→ 土砂崩れで家が倒壊した場合保険の補償はどうなる?
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ご指摘ありがとうございました。修正しました。