地図
崩落箇所とソーラーパネルの位置関係を、地図で示す。
図1:ソーラーパネルの伐採地から、北東側の下り斜面を伝って流れ込んだ雨水(水色)が、谷底の谷川(青線)に達する。このあたり一帯が崩落した。
図2:同じ場所。着色なし。
図3:同じ場所。Google Earth 。着色なし。
以下は Google マップ。
※ 上の三つの図を掲載したツイッター (リツイート可能)
→ https://bityl.co/7fJD
滝のような地下水
滝のような地下水がこぼれ落ちている。前日に掲載したツイート(参拝の報告)を、再掲しよう。そこに動画がある。
崩れたのはソーラーパネルの設置位置とは、数百メートルずれていて、県外から複数年に渡って運び込まれている産廃土砂が原因のように思われます。写真に写っているダンプカーたちが県外からの産廃業者です。
— Keiko Otara (@keikootara) July 3, 2021
こちらが土石流のあった上流の現在の状況です。(現地民より) pic.twitter.com/PfVHWSroUd
この動画を、NHK も紹介している。
→ 【映像】大量の土砂崩落 壁の斜面から大量の水 近所の人が撮影 | NHK
この場所はどこか? 朝日新聞の動画で場所を確認できる。3本あるとわかる。
( ※ 下のツイートの右側の写真を拡大するとわかる。)
メガソーラ側からの地下水が滝の様に出ている。土石流の発生に大きく影響してると思われる。
— トランプトランプ (@jmnBP7Bkthody7r) July 4, 2021
皮肉な事に、朝日新聞のスクープ!なんだ朝日新聞は日本の為になっているじゃ無いか。
川勝知事よ。責任とって貰おうじゃないの!
#熱海市#土石流 pic.twitter.com/yFyrRTWVJg
これは、朝日新聞の動画(下記)で、 21秒の箇所が該当する。
一方、同じ箇所をドローンで空撮した、静岡県の動画もある。
→ https://bityl.co/7fFr
これの後半を見ると、滝のように流れ落ちる地下水は、3本だけでなく、もっとたくさんあるとわかる。10本以上ありそうだ。
以前の大雨
以前にも、大雨が降ると、メガソーラーから大量の雨水が流れ落ちていた、という報告があった。
親が送ってきたんだけど、去年山の上切り開いてメガソーラー施設作り始めたから、ちょっとした大雨でもこんなになっちゃうみたいね pic.twitter.com/KrcSWIJ0Lr
— えみりん (@tel0335087172) May 17, 2021
やっぱり、メガソーラーから大量の雨水が流れ落ちて来るんだね。
伐採の時期
伐採の時期はいつか? Google Earth の時間履歴で、おおよそはわかる。
・ 2014年4月には、伐採されていない。
・ 2017年2月には、伐採されている。
したがって、この間の時期( 2014年4月 〜 2017年2月 )に、伐採がなされたことになる。
上の図でわかるように、2019年2月には、すでにソーラーパネルを敷き詰めている。ただし伐採地の北側半分だけである。(それは 2021年7月でも同様だ。)
2年前の豪雨
2年前にも豪雨があったそうだ。箱根で。
そのときは、熱海でも、箱根でも、土砂崩れは起こらなかった。
土石流が発生した3日午前10時半ごろまでの積算雨量は465ミリに上り、土石流がいつ起きてもおかしくない降雨量になっていた。
ただ、2019年の台風19号では、近くの神奈川県箱根町で48時間に1千ミリを超える雨が降ったが、この時は大きな土砂災害はなかったという。安田さんは「2年前に起こらず、なぜ今回発生したのかはまだ分からないが、雨の降り方が影響したのかも知れない」と話す。
( → 激しさなく「だらだら」の雨 土石流が起きた背景は:朝日新聞 )
「2年前に起こらず、なぜ今回発生したのかはまだ分からない」という。これを読んだときは、「2年前には、まだ伐採されていなかったからでは?」と思ったのだが、すぐ上の Google Earth の写真から、そうではないと判明する。(2年前に、すでに伐採は完了していた。)
ではなぜ、2年前と今回とは違うのか?
それは簡単だ。2年前に豪雨が降ったのは、熱海ではなく、箱根だったからだ。そして、箱根にはソーラーパネルによる伐採はなかった。(このあたりは富士箱根国立公園なので、ソーラーパネルの設置は認められないせいだろう。)
だから箱根では、大量の降雨があっても、崩落は起こらなかったのだ。
ソーラー施設は違法?
この目がソーラーは、人々は「メガソーラー」と呼んでいるが、法的にはメガソーラーではないそうだ。
・ 低圧分割ソーラー
・ メガソーラー(高圧ソーラー)
今回のは、前者であって、後者ではないそうだ。
低圧分割ソーラーとメガソーラー(高圧ソーラー)の違いは、細かく区切られているという点です。
引用元:新電力比較サイト
細かく区切られていることにより、「低圧」に分類され、消防署への保安規定の届け出が不要になったり、電気主任技術者を配置しなくていいなど様々な規制をパスでき、コストも低くなるようです。
ただ、低分割ソーラーは2014年に経産省で禁止しています。
( → 熱海メガソーラー説はデマ?会社は韓国のハンファエナジーだけど産業廃棄物や宅地開発にも問題あり?|はらぺこ )
今回の施設は、メガソーラーでないだけでなく、もはや違法であるようだ。(低圧のものは禁止されているので。)
ただし、「設置の許可を得たのは 2014年以前であるから、違法ではない」という可能性もある。詳細は不明。
土石流堆
現場の谷底は、地理院地図では、「土石流堆」であると示されているそうだ。
熱海で土石流が発生した場所を地理院地図の土地条件図で見たところ、ちょうど土石流堆のところだった。 pic.twitter.com/H1SCBzJBrt
— ひろみ (@hiromi_tr) July 3, 2021
土石流堆とは何か?
土石流堆
斜面上方の山崩れによって生じた土石あるいは渓床に堆積していた土石などが大量の水と一緒に渓流に沿って流下し(土石流),山麓に堆積して形成された地形.土石流堆の見られるところは,土石流による災害の危険性があります.
( → 山麓堆積地形 )
つまり、ここはもともと崩落しやすい危険な土地だったことになる。
それに加えて、さらに伐採による過剰な降水が注ぎ込んだ。
つまりは、ダブル・パンチである。複合的な理由だと言える。
かくて、空前とも言える大崩落が起こったわけだ。
参考: 地理院地図の土地条件図
ハザードマップ
この地域の危険性は、もともとハザードマップで警告されていた場所と同じであるそうだ。
静岡県熱海市で起きた土石流による災害について、ツイッターに投稿された複数の映像や画像の撮影場所を分析したところ、熱海市伊豆山地区の東西およそ600メートルの範囲で、ハザードマップ上の「土石流危険渓流」のエリアとほぼ重なる場所で撮影されていました。
撮影された場所を、国土交通省が公開しているハザードマップに重ねてみますと、今回発生した土石流は「土石流危険渓流」に重なるように起きたことがうかがえます。
( → 熱海 土石流 動画分析からみる被害範囲は | NHKニュース )
つまり、危険性はもともと警告されていた、というわけだ。
具体的な図は、下記で得られる。
→ 国土交通省の頁
→ 熱海市土砂災害ハザードマップ ( これの C : p40 )
盛り土
本項のコメント欄で教わったが、谷間の最上部(崩落の起点)は、伐採地で削った土砂を盛り土したものであるらしい。
静岡県は午後4時からの災害対策本部会議で、熱海市で発生した土石流の起点にあった盛り土がすべて崩壊し、流出したと発表した。
周辺には開発行為による盛り土があり、土石流との因果関係はわかっていないが、県はこの盛り土がすべて流れ出ていて、土石流による被害を甚大化させた可能性があるとしている。
( → 熱海・土石流災害 起点の盛り土がすべて流出 開発行為が被害を甚大化させたか 【ABEMA TIMES】 )
この盛り土の有無を、Google Earth で確認してみた。
上は 2018年8月、下は 2020年12月。
この二つの時期の間に、緑の斜面は埋め立てられて、平坦な土壌面となっていたようだ。
※ なお、「土石流の起点」という表現があるが、「起点」という言葉はよろしくない。これではまるで「起点」が押し下げたので崩落が起こった、という感じだ。事実はそうではない。谷間の部分が一挙に崩落したから、その上端も引きずられて崩落しただけだ。その意味では「起点」というよりは「終点」と言う方がまだマシである。(ただし、そういうニュアンスを込めないで、単に「上端」と表現するのが、最善だろう。)
本日(7/4)の夕方頃から報道されているようですね。(ABEMA TIMES が最初か?)
「土石流災害 起点の盛り土がすべて流出 開発行為が被害を甚大化させたか」
https://times.abema.tv/news-article/8664902
前稿(4)の新見解にもある山稜部=Bこの高い部分を何故か平坦にしなければならない「何らかの開発行為」があって、そのとき出た土砂を下まで運ぶのは大変なので、近くの谷間(谷口付近)に盛り土した(くぼみを埋めるようにした)のでは、ということを匂わせているようです。
これがそうかはわかりませんが、本稿図1〜3などの事故前の衛星画像。図1に示されている青い矢印の始点付近、細い道沿いに、廃土置き場?のようなもの(90度の扇形状)が見えます。
住宅造成地でも、切り土区画に比べて盛り土区画は、一般的に地盤の耐久性が弱いことがわかっていますからね。こんなところは、のり面などの「締め固め」処理もあまりしていないでしょうから、ひとたまりもありません。
https://www.ohta-geo.net/takuchi/kiken_map.html
大規模盛り土造成地については、例の国交省の「重ねるハザードマップ」への情報提供がされているようですが、今回のような場所は織り込まれていないでしょうね。確かなことは続報を待つしかないのかも。
この盛り土は、静岡県によると、ソーラー施設開発のかなり前、15年前の宅地造成で行われたものらしいです。その後、10年前に別業者が買い取り、植林などが行われたということなので、これ以降に何かあったのかもしれません(本稿で紹介された衛星画像でも、2018〜2020年の間に土地が荒れているように見える)。
ソーラー施設から目を逸らさせているようにも感じられますが……
https://news.yahoo.co.jp/articles/7f22c0a2f50212c503caae20e6516de4947e40f3