※ 後半に 【 追記 】 を加筆しました。「ホテルに滞在」という避難策の話。
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(1) 逃げ遅れの水死
逃げ遅れて、家族が死んでしまった……という後悔。
→ 助けられなかった父 募る無念、守る伝統 九州豪雨1年:朝日新聞
→ 九州豪雨1年、晴れない心 救えなかった父、味継いでいく:朝日新聞
(2) 避難は?
豪雨は予測されていた。ならば、事前に避難所に避難していれば、助かったのでは? そう思えるが。
実は、まさしくそうだった。なのに、実行しなかった。避難すればいいとわかっていたのに、避難しなかった。
→ 避難情報が出ても避難しない被災者が多数いた
→ 災害時、避難指示出ても鈍い動き 地域の「共助」がカギ:朝日新聞
(3) 行政の対策
避難すればいいとわかっていても、人々は避難しない。この問題を解決するために、行政の対策がある。人々の腰を軽くするような対策だ。
→ コロナ下の災害対策向上を 避難所運営、20年豪雨受け―防災白書:時事
→ 「行きたくなる避難所」完成 豪雨災害教訓に快適さ追求:朝日新聞
(4) 個人の対策
行政とは別に、個人でも対策できることがある。
→ 熊本豪雨後、防災意識が向上 「気象情報や避難所、こまめに確認」 | 熊本日日新聞社
(5) 正常性バイアス
実行されない。正常性バイアス。
→ 「あす熊本で大雨」の予報 その時どうする! | 熊本日日新聞社
→ 大震災 10周年: Open ブログ
(6) 避難警報を自動化
一方、本サイトでも、前に提案したことがある。次のことだ。
→ 避難警報を自動化せよ: Open ブログ
避難警報を出す時期を、人が判断すると、判断が遅れて、避難警報を出すのが遅れることがある。「遅きに失する」というやつだ。そのせいで、被害が無駄に増える。
これを避けるために、避難警報を出すのを自動化せよ、という提案。
これはこれで、「最悪の事態を防ぐ」方策の一つになる。
(7) 7月上旬に豪雨
近年は7月上旬に豪雨が起こるという異常気象があるそうだ。地球温暖化が影響する。
→ 7月上旬、大雨警戒 過去4年連続で災害発生中:朝日新聞
→ 豪雨、なぜ7月上旬に 専門家「研究上の災害が現実に」:朝日新聞
(8) 最新の被害
静岡県・熱海市で、豪雨にともなう土砂崩れによって大被害があった。この件は、次項で。
→ 土砂崩れはメガソーラーから: Open ブログ
【 追記 】
「災害時はホテルへ避難する。そのために自治体が資金援助する」
という方針があちこちで出ているそうだ。
相次ぐ豪雨災害で、いかに住民に早く避難してもらうかが課題になっている。コロナ禍を契機に広がりつつあるのがホテルや旅館に避難すれば宿泊費の一部を自治体が補助する制度だ。快適とは言いがたい従来の避難所より、避難しやすいのではと期待されている。
( → 災害時はホテルへ、広がる支援 コロナ禍、分散避難に自治体補助:朝日新聞 )
しかし難点もあるそうだ。
ただ、自治体の補助があったとしても、一定の自己負担は必要で、経済的に誰でも利用できるわけではない。また、雨が強くなってからではホテルまでの移動が難しくなる一方で、前もってチェックインしても補助の条件となる避難情報が出なければ「自腹」になる。「完璧な制度ではない」と、ある自治体担当者は認める。
空き部屋がないケースもあるだろう。……市の担当者は「観光シーズンは部屋が足りなくなる恐れがある」とみる。
良い案であると見えたのだが、難点がある。困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
まずは記事にある、次のことに着目する。
神戸市北区大沢(おおぞう)町では、住民組織が地元ホテルの運営会社と協定を結んだ。災害時、住民は「神戸ホテルフルーツ・フラワー」の空き室を通常の半額以下の1泊4千円で利用できる。
豪雨のときには、ホテルの旅行予約客がキャンセルして、大量の空き部屋が出る。その空き部屋を埋めるためであれば、ホテルとしては半額セールにしてもペイする。アパホテルは常に価格を変動させているが、それと同様だ。
このことを参考にして、次の方針を出す。
「自治体が避難情報を出して資金援助するのではなく、ホテルが自主的に気象情報から判断して、地元民向けに価格を割り引く。自治体は、ホテルが割り引いた分に応じて、一定額を資金援助する」
資金援助の額は、割引価格の半額〜同額が妥当だろう。参加するホテルの数に応じて、資金援助の額を変動させればいい。開始の当面は、同額にするといいだろう。(その後は減らす。)
事例:
・ 週末に豪雨が予想された。
・ ホテルでは週末の予約がキャンセルされて、大量の空き室が発生。
・ ホテルは地元民向けに、「半額割引セール」を告知する。
・ この際、自治体の避難命令は不要だ。気象庁の豪雨予想だけで足りる。
・ 自治体はあらかじめ「割引額の半額の負担」を告知していた。
・ 割引の負担は「ホテルが 25%、自治体が25%」で確定。
・ あとで清算して、自治体は指定額をホテルに支払う。
・ ホテルは事後、滞在者の名簿を自治体に提供する。
・ 住民は滞在の際に、身分証(保険証など)を提示するのが必須。
この方式のメリット。
・ 自治体の負担額は、割引額の半分で済む。
・ 住民は、避難命令よりもかなり早く、ホテルに入れる。
・ 空き室の量に応じて、ホテルの設定する割引額が変動する。
・ 観光シーズンでも、割引額を少なめにすれば、空き室は確保可能。
(豪雨なら必ずキャンセルが出るので、そのキャンセル分を無駄なく使えば足りる。)
・ 愛人との不倫のために利用する不正利用者は名簿で露見する。
なお、対象のホテルは、同じ自治体の内部であることを要件としない。近隣の自治体にあるホテルも、滞在可能とするべきだ。それなら、空き室を確保しやすい。
(今回の例で言えば、熱海市に限らず、小田原市や三島市のホテルも対象とするべきだ。これらは平野部にあるので、安全度も高い。一方、熱海市内だと、ほぼ全域が危険なので、熱海市内に限るべきではない。)