――
これは「ファスト映画」と呼ばれる。
映画を無断で短く編集した「ファスト映画」と呼ばれる動画を「YouTube」に投稿したとして、20〜40代の男女3人が著作権法違反容疑で逮捕された。昨春からネット上に広がったファスト映画。被害額は900億円超と推計される。
県警によると、3人の逮捕容疑は、昨年6〜7月、著作権者の許諾を得ずに、「冷たい熱帯魚」や「アイアムアヒーロー」などの邦画5作品をそれぞれ約10分に編集しナレーションをつけて投稿したというもの。
ファスト映画とは、映画の動画や静止画を無断で編集し、字幕やナレーションをつけ、あらすじを紹介する10分程度の動画だ。
たとえば、記者がユーチューブで見つけたのは、地球規模の災害を描いた「デイ・アフター・トゥモロー」のファスト映画。
CODAの今月の調査によると、少なくとも55アカウントがハリウッド映画や人気の邦画など計2100本の動画を投稿していた。合計の再生回数は約4億7700万回で、CODAは被害額を956億円と推計した。
( → 「ファスト映画」初の摘発 無断で短く、プロも雇って…:朝日新聞 )
記事によると、
「CODAの今月の調査によると、少なくとも55アカウントがハリウッド映画や人気の邦画など計2100本の動画を投稿していた。合計の再生回数は約4億7700万回で、CODAは被害額を956億円と推計した」
とのことなのだから、非常に多くの被害が出ていることになる。それでいて、逮捕されたのは、今回の3人だけ。被害規模に比べて、逮捕者があまりにも少なすぎる。
148円のクッキーを万引きして逮捕されたという事例もあるのに、956億円の著作権泥棒のほとんどが見逃されているというのは、バランスを失している。
――
これのどこが問題か? 最大の問題は、こうだ。
「末端の犯罪者だけが逮捕されて、この動画を公開するプラットフォームを提供している Google が罰されないこと」
つまり、Google も犯罪の片棒をかついでいる共犯者なのだから、共犯者として処罰されるべきなのだ。
その理由は、いくつかある。
(1) 利得
今回の犯罪行為で、逮捕された当人も利得を得たが、最大の利得を得たのは Google だ。ざっと見て、広告料収入の 97〜99.5%ぐらいを得ていると推定される。
根拠は次のことだ。( → 出典 )
・ 広告主が払う広告料は 1再生あたり3〜20円
・ YouTuber がもらえるのは1再生あたり0.1円
これほど圧倒的な比率なので、総額もすごい。
YouTubeの広告収入は、2019年度で150億ドル(約1兆6,000億円)
とのことだ。( → 出典 )
これほど圧倒的な額を Google が得ているのだから、この犯罪の(実質的な)主犯は Google だ、と言ってもいいだろう。
なるほど、犯罪の計画を立てたのは、当の犯罪者であって、Google は直接的には関与していない。しかし、そのための仕組み(プラットフォーム)を用意して、実行の手助けをしているのだから、まさしく犯罪に加担していることになる。
しかも、犯罪が行われていると知っておきながら、あえてそれを放置する。のみならず、次々と類似の「お薦めのファスト映画」を提示して、犯罪を拡大させている。
どう考えても、犯罪に加担してあるとしか思えない。しかも、それで最大の利益を得ているのである。
(2) 類例
実は、類例がある。Google と同様のことをやって逮捕された人がいる。
それは fc2 というホームページのサイトで、無料または有料のアダルトビデオを公開していた人たちだ。彼らは次のような仕組みを考えた。
・ 自分自身は、動画を公開しない。
・ アップローダーが、動画をアップロードする。
・ アップローダーは、他人の著作物であるアダルト動画を、違法にアップロードする。(著作権泥棒だ)
・ アップローダーは、サイトの運営者から、広告料収入の一部を得る。
・ サイトの運営者は、多額の広告料収入を得る。(9割ぐらい?)
これは、Google のやっていることと そっくりだ。
というか、Google は、違法なアダルトビデオの運営者のやっているのを、物真似でやっているだけだ、とも言える。
では、その違いは何か?
「違法なアダルトビデオの運営者は逮捕されたが、違法なファスト映画の運営者( Google )は逮捕されない」
ということだ。
まったく、けしからん。
というわけで、私としては、声を大にして叫びたい。
「 Google を処罰せよ。Google 社員を逮捕せよ。Google なんて、違法なアダルトビデオの運営者と同様の、ヤクザな商売をしている、あこぎな無法者だ」
と。
【 関連動画 】
【 関連サイト 】
違法なファスト映画らしきもののリスト。(詳細は未確認)
→ 鬼滅の刃 ダイジェスト - YouTube
・ファスト映画の製作者 ⇒「著作権料」泥棒(広告収入を得たこと自体は適法かもしれないが、著作権者に著作権使用料を払わなかった)
・Google ⇒「著作権」泥棒(「ファスト映画」ビジネス?というものが成り立つなら、それで儲ける機会・権利は著作権者に本来あるはずだが、それを断りもなく奪った・侵害した)
ということにもなりますか。