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記事はこうだ。
28日午後3時半ごろ、千葉県八街市の路上で、「小学生の列にトラックが突っ込んだ」と119番があった。県警によると、児童5人が事故に巻き込まれ、男児2人が死亡、1人が意識不明の重体。2人は重傷だが、命に別条はないという。県警は自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)容疑でトラック運転手の梅沢洋容疑者(60)=同市=を現行犯逮捕した。同容疑者の呼気からは基準値を超すアルコールが検出された。
( → 集団下校の小学生にトラック 2人死亡、60歳男逮捕―呼気からアルコール・千葉:時事ドットコム )
勤務先によると、同容疑者は事故直後の同社の聞き取りに「(現場近くの施設から)人が飛び出してきたのでよけたところ、電柱に衝突し、その反動で小学生の列に突っ込んだ」と説明したという。
一方、捜査関係者によると、現場付近の防犯カメラを確認したところ、事故直前に付近から人が飛び出してきた状況は現在までに確認できておらず、「人が飛び出してきた」と梅沢容疑者が説明した施設の関係者への聴取でも、飛び出しの事実は確認できていないという。
また、仮に急ハンドルを切って電柱に衝突した場合、トラックは電柱付近の畑に突っ込むのが自然だという。だが、トラックは衝突後も道路を走行。電柱から約40メートル先まで進んで道路脇にはみ出す形で止まった。現場に明確なブレーキ痕はなかったという。県警はこれらの状況などから、飲酒の影響による居眠り運転の可能性もあるとみて経緯を慎重に調べる。
( → 児童5人死傷、居眠り運転の可能性 現場ブレーキ痕なし:朝日新聞 )
人のせいにしているが、自分自身が飲酒運転をして、居眠り運転をしていたようだ。ひどいものだ。
現場はここだ。
これらの地図を見ながら、考察しよう。
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(1) 裏道は?
トラックが行き交うような危険な道は通らないで、細い裏道を通ればいいのに……という案が思い浮かぶ。しかしながら現実には、そうはうまく行かないことが多い。
今回もそうだ。Google マップで地図を見ると、この周辺には裏道がないことがわかる。
通り抜けることのできる道は、この太い道1本だけしかない。他の細い道は、袋小路のようになっていて、通り抜けることはできないのだ。
このことは、次の各項でも述べたことがある。
→ 集団登校は安全か?: Open ブログ(京都市亀岡)
→ 千葉県の集団登校事故: Open ブログ(千葉県八街)
根源的に言うと、田舎の道というのは、あまり整備されていない。都会ならば、人口が密集しているので、道は碁盤の目のようになっていることが多い。しかし田舎の道は、串のような形になっていることが多い。次のように。
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これはどうしてかというと、もともと人の通る道路があって、道路脇に人家ができたからだ。で、人の通る道路があれば、他に道路はいらないから、裏道なんてものは存在しない。単に田畑があるだけだ。
ところが、あとで自動車が通るようになると、この道を自動車がのさばるようになった。そのせいで、歩車道の分離していない狭い道を、自動車が我が物顔で通るようになった。「借りたあとで乗っ取る」ような形で。
こういう背景があるのだから、自動車の出した金で、人間のための裏道を新たに作るべきなのだ。
※ 前にも、千葉県八街の事故があったわけだ。そっちは集団登校。今回は集団下校。
※ 前回に引き続き、同じ地域でそっくりな交通事故があったことになる。
(2) どんな道か?
どんな道であるかは、Google マップで確認できる。
見ればわかるように、ガードレールもないし、歩道もないし、歩行者のための白線すらもない。まるで自動車専用道路みたいな扱いになっている。
( まっすぐな舗装路なので、自動車が吹っ飛ばしたい気持ちになるのはわかる。)
(3) 抜け道
こんな狭い道を、どうして大きなトラックが吹っ飛ばすのか?
事故現場の道路に歩道はなく、近所の人たちの話では地元の人が通勤や通学などに使っている道だという。一方、土地勘のある人には抜け道としても利用されていたという。この地区で30年以上暮らす山口明さん(67)は事故に遭った子どもたちと同じ市立朝陽(ちょうよう)小学校に通う孫と事故後に現場を訪れた。「この道は抜け道になっていて飛ばす車が多い」という。登下校でこの道を通る孫の小2の男児(8)は「車を飛ばす人が多く、怖い思いをしたことがあった」と話した。
( → 歩道のない狭い抜け道「飛ばす車多い」 児童5人死傷:朝日新聞デジタル )
抜け道として使う車が多い、ということだ。ここが核心なので、留意しておこう。
地図を見ればわかるが、そばには国道が通っている。本来ならば、国道を通るべきなのだろう。なのに、少しばかり時間を節約したいという理由で、2車線もないし歩道もないような、地元の人のための道路で、勝手に吹っ飛ばすわけだ。
※ ほとんど、よそ者のヤクザみたいなものである。「オラオラ、邪魔だからどけ!」といって、地元民を追い出す感じ。
(4) 車が奪った
以上のことから状況を評価すると、こうなる。
「この道はもともと地元民のための生活道路である。他に代替のない、串の柱のような道であって、昔からずっと使われていた。一方、自動車のための道は、そばに直線状の国道があって、自動車はそちらを使っていた。
ところが、国道が混雑してきたせいか、自動車が国道を離れて、こちらの道を抜け道として使うようになった。
しかもその道は、歩行者のための歩道もなくガードレールもない。歩行者は道の外に追い出されるか、やむなく車道を通るか、二者択一となった。
これはつまり、自動車が歩行者の道を奪った、ということだ。もともとあった地元の歩行者のための道を、外部の自動車が押し寄せて、道を奪ったのだ。そのせいで、道を奪われた歩行者は、車道を歩くしかなくなった。かくて、事故は必然的に起こった」
こうして事故の原因は判明した。
(5) 対策
では、対策はどうすればいいか? こうだ。
「神のものは神に。カエサルのものはカエサルに。歩行者のものは歩行者に」
この道は歩行者のための道なのだから、歩行者に返すべきなのだ。ま、自動車も通ってもいいが、優先権はあくまで歩行者にある。従って、次のことが必須だ。
・ 両脇または片脇に、丈夫なガードレールの付いた歩道を設置する。
・ 歩道をつくる分、道幅が狭くなるが、構わない。
・ 道幅が狭いので、自動車の制限速度を下げる。30km/h 。
・ 50メートルおきに、ガードレールを切って、車の退避帯とする。
(対面する自動車が、減速して、すれ違うために。)
さらには、自動車の速度を落とすために、次の措置を取ってもいい。
・ 凸状のバンプを作る。
・ 道をうねらすシケインを作る。
以上のことの目的は何か? 自動車に対する「いやがらせ」である。それによって、必要もない車がやたらと寄せてくることを避ける。その一方で、地元民にとっては、特に不便ということもない。(減速するだけで済むし、すぐに慣れてしまうから。)
こうして、うるさくて迷惑をかける よそ者を排除して、地元民の幸福な生活を守るのである。…… そのなかでも特に、子供の命を守る。
曲がりくねり はしゃいだ道……
[ 付記 ]
自動車が「道が足りない」と文句を言ったら、そのときは、自動車の側が自分たちのために、新たなバイパスをつくればいい。そのための予算は、潤沢な道路予算から出せばいい。
一方、自動車が「道がほしい」からといって、歩行者のための道を奪うというのは、泥棒も同然だ。「自分がほしいから、他人のものを奪う」という泥棒の原理が成立したら、世の中は壊れてしまう。
私は「歩行者のものは歩行者に」と言うが、一方、世の中には、こう唱える人もいる。
「オレのものはオレのもの。人のものもオレのもの。だから地球はオレのもの。何でもかんでもいただき」
→ グッバイジョウのテーマ by ひょうたんじま
道路族は常にこの方針を取ってきた。だから歩行者は追いやられ、今回のように子供が犠牲になる。
パプリカ(動画)の子供たちは、とても幸せに見えるが、実は死んだ子供たちの魂が、天国で歌っているのである。
【 参考 】
勤務先の画像と名称:
【 追記 】
新たな対策を考えたので、述べておこう。うまい案だ。
まず、本文中では、次の対策を示した。
・ 両脇または片脇に、丈夫なガードレールの付いた歩道を設置する。
・ 歩道をつくる分、道幅が狭くなるが、構わない。
かわりに、新たな案で、こう対策する。
・ 道路には歩道を設置する。幅1〜2メートル。
・ 道路を拡幅する。歩道の分だけ、1〜2メートル拡幅する。
・ 拡幅する側は、建物のない方の側。(右または左)
・ 場所によって、拡幅する側(右か左)が交替する。
・ そのせいで、車道は少しだけ、ジグザグする。
・ すると、車道はシケイン(クランク)が付いたのと同様になる。

出典:国土交通省道路局
以上のようにすれば、土地の買収費は、畑の代金ぐらいで済むから、ごく小額で済むだろう。歩道の設置費も、小額で済む。(段差のある歩道があれば、ガードレールはなくてもいい。)
ごく一部に、両側に家のある箇所もあるだろうが、そこでは、道路の幅を狭くすればいい。そのことで、シケインのような効果が生じる。

https://www.sankei.com/politics/news/210514/plt2105140064-n1.html
といっても、アメリカ式のでかい車じゃなく、普通免許でも乗れる10人定員のハイエースでいいと思います。朝の登校時など、全員対応が難しいとは思いますが、こういう危ない区間が分かっている一本道みたいなところでは、夕方の下校時にバスをぐるぐる往復させて、子どもたちを見付けたら適宜に乗せて降ろす、というやり方でもいいでしょう。今回の事故も下校時ですし、この場合のリスクはかなり下がると思います。枝道や袋小路のところは、確かに交通量が少なくリスクも低いはずなので、まずは事故が起こった道だけでも。
※「目には目を、歯には歯を、車には車を」
市の方で送迎バスの運行をさせていただきたいと思っております。
https://www.fnn.jp/articles/-/203427
学校の教室数からすると、生徒数は 500人を超えると思える。
→ https://yachimata-tyoyo.jimdofree.com/
40人乗りのバスを十数台も用意できるんだろうか? そもそも、細い道で、対向車(トラック)とすれ違うことができるのか?
⇒ 下の記事によると、「現場を通学路とする小中学生の心理的負担の軽減のため、当面、臨時送迎バスを運行する」なので、全校生徒を送迎するわけではなく、従来この道を通らざるを得ない地区の子どもたちだけが対象ではないでしょうか? また、マイクロバスを使うのではないでしょうか?
https://www.tokyo-np.co.jp/article/113796?rct=national
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000221077.html
それが無理なら、すぐにできる対策として、学童の登校時間帯と下校時間帯だけ通行止めにするとか。
※都内で普通にやってますね。私の自宅周辺では、登校時間帯(07:30〜09:00くらいだったかな?)のみですが、学校周辺の道路が通行止めになります。(簡易的なガードが置かれるため、物理的に自動車をシャットアウト)
その道だけを車両通行止めにしても、他の道は車が通って歩けないので、意味がない。どうせ歩けるようにするなら、あちこちを全面的に車両通行止めにするしかない。だけど、無理。
※ 抜け道だけでなく、地元民も使っているので。