2021年06月28日

◆ 原子力推進と東芝衰退

 東芝の衰退の根源には、国の原子力推進政策がある。

 ―― 

 小泉進次郎環境相が「脱原発」の姿勢を鮮明にしているが、経産省は「原子力推進政策」を取って対立しているそうだ。
 政府の中長期的なエネルギー政策の指針「エネルギー基本計画」の改定を前に、小泉進次郎環境相が脱原発の姿勢を鮮明にしている。菅義偉(すが・よしひで)首相とのパイプも使い、エネルギー関連の政府方針で原発の活用に関わる表現ぶりを弱めることに成功した。ただ、温室効果ガスの削減を訴えながら、二酸化炭素(CO2)を排出しない原発の活用に否定的な小泉氏に対しては、自民党から「現実を見ていない」との不満も強まっている。
 経済産業省などが18日に決定した温室効果ガス削減に向けた「グリーン成長戦略」の改定をめぐっては、昨年12月時点では入っていた「(原発を)最大限活用していく」との表現が削除された。18日に閣議決定された経済財政運営の指針「骨太の方針」でも、電力部門の脱炭素化に関し「再エネ最優先」との文言が盛り込まれた一方、原発は「可能な限り依存度を低減」するとされた。
 いずれも小泉氏が首相らに働きかけた方針に一致する

 とはいえ、エネルギー政策はもともと経産省の所管であり、自民党内には小泉氏への不満も募る。
 党内の原発推進派が勢いを盛り返しかねない。
( → 小泉環境相、脱原発鮮明に 自民党内から不満も - 産経ニュース

 これは自民党内の話だが、経産省も、もともと原発推進という方針を取っていた。

 ――

 その方針がとりわけ影響を及ぼしたのは、東芝の巨額損失だ。朝日の社説にある。
 経産省は06年に原子力立国計画を打ち出し、原子力産業の国際展開支援も掲げた。同時期に東芝は米国の原発企業を買収、後の巨額損失に至る。

 16年末に米国原発事業で巨額損失が露見し、債務超過に転落する。半導体事業の売却を余儀なくされ、企業規模は半減した。
( → (社説)東芝の蹉跌 「敗北」の根源直視せよ:朝日新聞

 経産省が「原発推進」の旗を振ったら、東芝と三菱がその旗に従って、巨額の金を出して米国の原発会社「ウェスチングハウス(WH)」を買収しようとした。買収額の上乗せ合戦をしたあとで、東芝が勝ちを制して、買収に成功したが、それはすなわち、ババを引いたということだった。ゴミ同然の原発会社を、巨額の金で買収したことで、巨額の損失が発生した。そのせいで東芝はバラバラに解体されてしまった。(今も残っているのは、残りカスのカス会社だ。本体部分は、巨額の赤字の穴埋めのために、売り払われてしまった。)

 で、そういう結果になったのは、経産省のせいだったのだ。

 ――

 思えば、経産省の旗振りは、ことごとく失敗している。その代表例は、MRJ だが、原発推進もまた、この一例であったわけだ。



 [ 付記 ]
 上記以外にも、経産省はあれこれと旗振りをしているようだが、どれもこれも日本の企業の方針を間違えさせて、企業の衰退をもたらしている。
 たとえば、「燃料電池車の推進」もそうだ。ホンダとトヨタがこれに熱中したあげく、電気自動車の分野では大きく出遅れた。
 特にホンダは料電池車の生産中止を決めたが、かわりとなる電気自動車の生産のメドは立っていない。ホンダe というのを少数だけ赤字生産しているだけだ。
  → ホンダ撤退で燃料電池車(FCV)の未来に「赤信号」 - M&A Online
  → ホンダ量産EV「Honda e」、「開発費は回収できない」の真意 | 日経





 政府が「燃料電池車の推進」なんかをしなければ、こんなひどい目には遭わなかったかもしれないのに。

posted by 管理人 at 20:31| Comment(4) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>[ 付記 ]
>上記以外にも、経産省はあれこれと旗振りをしているようだが、どれもこれも日本の企業の方針を間違えさせて、企業の衰退をもたらしている。

⇒ 「空飛ぶクルマ(空の移動革命)」については、どうお考えでしょうか? こちらは、経産省+国交省が旗振りで、だいぶ前から「官民協議会」が立ち上がっています。当面の目標は、2025年大阪・関西万博のタイミングで、空飛ぶクルマの実装(社会実験みたいなもの)をすることみたいですが。
 私のまわりでも結構これに係わっている人がいますが、私自身は魅力も将来性もあまり感じません。

 https://www.meti.go.jp/press/2021/05/20210521001/20210521001.html
Posted by かわっこだっこ at 2021年06月28日 21:06
 空飛ぶクルマというのは、名前だけはそうだけど、実際にはただのドローンのことです。地上を走ることはなく、回転ローターで飛ぶだけ。
 燃費の点ではものすごく悪いのだが、小型物品の緊急輸送には用途があるかもしれない。
 無人ドローンから有人ドローンへ、という流れ。

 はっきりしているのは、大量輸送は無理っぽいということ。ただし自動運転で、全個体を集中制御すれば、原理的には衝突は起こらない。分散制御だと、事故は起こりそうですね。

 近い将来に、利益を生むことはなさそうだ。確かに、筋が悪いですね。私も漠然とそう感じていた。
 仮に私がこんな部局に回されたら、「閑職に回された」と思って、辞表を書くね。


Posted by 管理人 at 2021年06月28日 21:43

> 2030年“空飛ぶクルマ”がマイカーに…「電動」「自動操縦」政府が実用化へ工程表作成
https://www.fnn.jp/articles/-/203357
Posted by 管理人 at 2021年06月30日 21:32
 まずは、2024年パリ五輪での、ベロコプターによる空港送迎がどうなるか、また、2025年の大阪・関西万博で、同じく送迎実験ができるかどうか、ですね。

 https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000220065.html

 https://www.travelvoice.jp/20210521-148841
Posted by かわっこだっこ at 2021年06月30日 22:15
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