2021年06月19日

◆ 石炭発電を認めてもいいか?

 温暖化阻止のために石炭発電を禁止しよう、という方針があるが、新型の石炭発電に限り認めよう、という方針もある。どうすべきか?

 ――

 これは、どちらにも、それなりの理屈がある。

 《 廃止論 》
 「新型の石炭発電は、従来型の石炭発電に比べればマシだが、LNG 発電 や再生エネ発電よりは劣る。LNG 発電や再生エネ発電を推進するために、新型の石炭発電も禁止するべきだ」

 《 擁護論 》
 「新型の石炭発電は、従来型の石炭発電に比べて大幅に改善しているので、そんなに悪くはない。何より、コストが非常に安いので、コスト面で有利だ。電気代を下げることもできる。特に、途上国では産業が未発達なせいで、LNG を輸入できないことが多い。その点、石炭ならば、たいていの国で自国内にあるから、輸入しなくて済むことが多い。途上国ならば、旧型の石炭発電を新型の石炭発電にするだけで、従来よりも大幅に炭酸ガス排出量を減らせる」

 ――

 以上は、「最善か、次善か」というような話だ。たしかに最善が好ましいのだが、最善には別の面で大きなデメリットがある。だったらデメリットの少ない次善の方が総合的には好ましい……という話だ。

 比喩で言うと「最高の美女を取るか、2番目の美女を取るか」というような二者択一だ。「最高の美女の方がいいに決まっている」と思いそうだが、最高の美女の方は、やたらと金食い虫で、金がかかる。その分、こちらの生活が苦しくなってしまう。下手をすると、残業のしすぎで過労死しかねない。だったら、次善の美女と幸福に暮らす方がいいだろう。……という判断もありそうだ。

 一方で、「金の問題は、苦しくても我慢しろ。それよりは地球環境の安定の方が大切だ。環境が破壊されたら、困るだろ。高給をもらえても、家が台風で破壊されたら、元も子もないぞ。物事は目先の金より、根源が大事だ」という判断もあるだろう。

 というわけで、どっちにもそれなりの理屈があるので、簡単には軍配を上げにくい。判断に迷う。どうする? 

 ――

 そこで、困ったときの Openブログ …… と言いたいところだが、こればかりは、簡単には「うまい案」などは出せない。どっちもどっちだからだ。
 最終的には、両者の間のどこかで、折衷案を採って妥協するしかないだろう。では、どこが最適な解か? 
 いろいろ考えたすえに、私としては、次の案を提出する。

  ・ 新型の石炭発電の導入については、一律には決めない。
  ・ 導入を、可の国と不可の国とで分ける。
  ・ 貧しい途上国では可で、豊かな先進国では不可とする。
  ・ 両グループの区別は、所得ではなく、炭酸ガス排出量で決める。
  ・ 炭酸ガス排出量の少ない国では可、多い国では不可。


 わかりやすく言うと、こうだ。
 「途上国では、石炭をやめて LNG を使いたくても、金がないことが多い。一方で、途上国では、炭酸ガス排出量が少ない。だから、炭酸ガス排出量が少ないことを免罪符として、新型の石炭発電の利用を認める」
 「先進国では、石炭をやめて LNG を使いたいなら、その金があることが多い。一方で、先進国では、炭酸ガス排出量が多い。だから、炭酸ガス排出量が多いことの懲罰として、新型の石炭発電の利用を禁止する」

 ――

 この方針が成立するためには、次の事実が必要だ。
 「途上国では炭酸ガス排出量が少ないが、先進国では炭酸ガス排出量が多い」

 では、この事実はあるか? 調べてみよう。2016年のデータだが、「一人あたり炭酸ガス排出量」の国別グラフがある。


co2graph.gif
出典:資源エネルギー庁


 これを見ると、やや意外な感じがする。「一人あたり炭酸ガス排出量」は、ひところは日本が優等生だったのだが、いつのまにか日本は劣等生のグループに入っている。かわりに、原子力発電のあるフランスや、風力発電のあるイギリス・スウェーデンなどが優等生となっている。

 途上国はどうかというと、別の統計データで、途上国の数値は低いとわかっている。
  → 世界の1人当たりCO2排出量 国別ランキング・推移 Global Note

 ――

 というわけで、先の方針(排出量の少ない途上国には新型の石炭発電を認める)は、それなりに妥当性があるとわかった。
 一方で、排出量の少ない先進国も、チラホラと見受けられる。これらの国についても、新型の石炭発電を認めてよさそうだが、これらの国は、再生エネや原子力エネがもともとたくさんあるので、「新型の石炭発電を認める」と言われても、たぶん利用しないだろう。とはいえ、原理的には、これらの国には認めてもよさそうだ。
 その一方で、日本は炭酸ガス排出量がかなり多いので、「新型の石炭発電を認めてもらう」のは、原理的にありえない。北海道電力あたりは、「新型の石炭発電を認めてくれ」と要求しそうだが、許されないというのが本項の結論となる。「寒くて暖房の電気代がかかるから、石炭で安く発電したいんだ」と言っても、駄目である。北海道で暖房をするなら、ガスか石油にするべきだ。(新型の)石炭発電で電力暖房したいというのは、認められない。それが結論だ。
 
 ※ 自民党や経産省あたりは、新型の石炭発電について、途上国への輸出だけでなく、日本国内でも許可しようとしている。しかし、それは駄目だ、というのが結論となる。
 
posted by 管理人 at 22:41| Comment(0) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
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