2021年06月17日

◆ ITで発見 / 法律で規制

 IT技術を使って、水道の漏水を衛星から発見する、という方針がある。法律を使って、敵の攻撃を法律で阻止しよう、という方針もある。

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 ITで発見


 IT技術を使って、水道の漏水を衛星から発見する、という方針がある。


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 《 衛星データ+AIで水道管の漏水検出 5年かかる調査が約7カ月で 豊田市で実施 》
 愛知県豊田市は2020年9月から21年4月にかけて、衛星データをAIで解析するシステムを活用した水道管の漏水調査を行った。市内の556区域を調査したところ、154区域の259カ所で漏水を発見。従来の調査方法だと約5年かかる作業を7カ月程度で完了できたという。システムを提供したイスラエルのITベンチャー・Utilisの代理店であるジャパン・トゥエンティワン(愛知県豊橋市)が6月16日に発表した。
 調査では、まず人工衛星から地下1〜2mまで届くマイクロ波を照射し、対象地域の画像データを取得。次に反射されたマイクロ波の特徴と、取得した画像をUtilisが独自開発したAIで分析し、半径100mの範囲で漏水のある場所を特定。最後に水道管の敷設データと照合して人間が現地調査した。水道水とそうでない水はマイクロ波の反射の仕方が異なることを利用した手法という。
( → ITmedia NEWS

 独創的な技術である。「こんなとっぴもない発想を、よくもまあ考えついたな」と感嘆する人もいそうだ。
 ただ、イスラエルの企業の技術だということから、軍事技術の転用・応用であると私は推定する。たぶん、衛星で地雷を探す技術を研究していたら、その副産物で見つかったのだろう。そう考えれば、不思議ではない。
 ま、軍事技術の民生転用というのは、珍しくもないから、それはそれでいい。
 実は、本項のテーマは、上記のことではない。ここまでは、前振りだ。

 土地規制法の成立


 土地規制法が成立した。これは次のような法律だ。
 自衛隊基地や原子力発電所の周辺、国境離島などの土地の利用を規制する法(土地規制法)が16日未明の参院本会議で、自民、公明、日本維新の会、国民民主各党の賛成多数で可決し、成立した。
 同法は、重要施設の周囲1キロや国境離島を「注視区域」に指定し、土地や建物の所有者の氏名・住所、利用実態などを政府が調べることができる。特に重要な施設については周辺を「特別注視区域」とし、一定面積以上の土地や建物の売買には事前の届け出が必要となる。
( → 土地規制法が成立 国会閉会直前、与党押し切る:朝日新聞

 しかしこれは、異常な形で成立した。
  ・ 16日午前2時28分という深夜に成立した(読売新聞
  ・ 十分な審議を尽くさなかった(信濃毎日新聞東京新聞


 この法は、内容が曖昧で、ろくに明文化がされていない。
 政府は、基地周辺や国境付近の離島などの土地が外国人らに買収される事例を念頭に「安全保障上のリスクがある」と同法の必要性を主張している。しかし、調査範囲や罰則の対象行為などがあいまいで、政令や閣議決定に委ねられている。このため、米軍基地が集中する沖縄などから私権制限の懸念が出ている。
 政府は、規制対象区域に想定する国境離島が484カ所、防衛関係施設が500カ所以上としているが、具体的なリストを示さなかった。
( → 土地規制法が成立 国会閉会直前、与党押し切る:朝日新聞

 そもそも、法が必要だという根拠も不明確だった。
 防衛省が8年をかけて施設の隣接地を調べても、外国人の所有と思われるのは全国で7筆にとどまった。
 隣接する6万筆のうちわずか7。
( → 防衛施設の隣接地、外国人所有は7筆のみ 土地規制法案:朝日新聞

 「筆」というのは「区画」というのと、実質的にはほぼ同じだ。6万区画のうちの7区画だけが外国人の所有になる。これっぽっちのために、わざわざ面倒な法律を作るというのは、実に馬鹿げている。

 それでも反論がありそうだ。
 「たとえ今は少数でも、今後はもっと増えるかもしれない。また、数が少なくとも、基地攻撃の危険があるのなら、対処するべきだ」
 しかし、それはまったく正しくない。なぜなら、それはただの妄想だからである。

 ――

 詳しく説明しよう。
「外国人の所有する土地が基地攻撃の場となる」という可能性を、自民党は懸念している。しかし、その可能性は、完全なゼロだ。なぜなら軍事的に言って、ありえないからだ。

 仮に敵のスパイ(工作員)がいるとして、自衛隊の基地を攻撃するとしたら、どうするか? まず基地のそばの土地を購入するか? まさか。そんな無駄な手間をかけるはずがない。時間が余計にかかるし、金もかかる。何より、そんなことを手続きすることで、機密が暴露される危険が高まる。そんなことをするはずがない。





 ちなみに、皇居を攻撃するテロリストを想定するといい。そのテロリストは、どうするか? 皇居の隣の土地を購入するか? そこにせっせと通い詰めて、そこにミサイルを運搬するか? 仮にそんなことをしたら、すぐに公安の検査網に引っかかって、あっさり逮捕されてしまうだろう。そんな無駄な手間や金をかけるはずがない。むしろ、自動車の荷台にミサイルを搭載して、そこらの空地か路上に停車した自動車の荷台から、こっそりとミサイルを発射するだろう。……こういう方法が最も合理的だし、実際にそういうこともあった。
  → 皇居に火薬入り消火器発射、元自衛官を逮捕

 ひるがえって、皇居の隣に土地を購入するという手間暇をかけるはずがない。そんな馬鹿げたことをするはずがない。
 同様に、自衛隊の基地を攻撃するなら、自衛隊の基地のそばに土地を購入するという手間暇をかけるはずがない。そんな馬鹿げたことをするはずがない。そういうことをするのは、「自分はこれから攻撃しますよ」と事前通知するのも同然だ。わざと失敗するようなものである。そんなことをする馬鹿はいない。

 なのに、そういうことをする馬鹿がいると思って、法律で規制しようとするのが、日本政府(自民党)だ。
 これは、「敵スパイはみんな馬鹿だ。攻撃をするときには、わざわざ土地を購入することで、攻撃を事前通知してくれる」ということを前提としているわけだ。
 こういうふうに「敵は馬鹿ばかりだ」ということを前提として対処するのは、それこそ自分が馬鹿丸出しだというしかない。

 イスラエルと日本


 イスラエルと日本では、軍事的な方針が正反対である。

 イスラエルは、「敵は攻撃の前に事前通知なんかしない」と考える。その上で、隠れた敵の攻撃を探ろうとして、敵の隠した兵器や地雷などを電子的に探知しようとする。そのために「衛星の電波で探知する」というIT技術を開発した。すると、それが民生分野では、「漏水を発見する」という技術に結びついた。……要するに、すべてを科学技術で対処しようとした。

 日本は、「敵は攻撃の前に事前通知する」と考える。たとえば、自衛隊の基地を攻撃するときには、わざわざ土地を購入して、攻撃の意図がバレるのを覚悟して、さらには身元まで明かす。こういうふうに馬鹿げたことをする敵を前提とした上で、馬鹿な敵を監視するために法律を成立させる。さらには、莫大な人員を敵の監視のために投入する。「6万筆の土地の7筆が外国人の所有になる」という無駄情報を得るために、せっせと大量の人員と金を投入する。そして、それで得た情報は「敵スパイは一人もいませんでした」ということだけだ。(当り前だ。そんな馬鹿な敵スパイがいるわけがない。いないのは最初から判明している。)

 イスラエルはIT技術で一挙に発見する。
 日本は法律を成立させてから、無駄な大量の人員で調査する。しかも、調査する対象は、「初めからゼロだ」とわかっているところばかりだ。「攻撃を事前通知する敵」という、ありもしないものを、しきりに探そうとしているわけだ。

 ――

 「鏡の国のアリス」では、「 nobody 」というものを見ようとする。しかし「 nobody を見る」というのは、「誰も見えない」ということなのだって、「 nobody とされる何かを見る」という意味ではない。
 日本政府は、「攻撃を事前通知する敵」という、ありもしないものを探そうとする。だが、いくら法律を成立させて、多大な人員と金を投入しようとも、「攻撃を事前通知する敵」「攻撃の前にわざわざ土地を買って攻撃を教えてくれる敵」というものを見ることはできないのだ。それは nobody であるがゆえに。

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posted by 管理人 at 22:59| Comment(5) |  戦争・軍備 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
たぶん本当のところは、普天間とか米軍基地反対派が土地購入して監視小屋を建てることを監視したいとかではないかと思っています。
Posted by 権兵衛 at 2021年06月18日 09:00
離島については必要なのでは?離島の地主様が勝手に隣国に土地売っちゃわないように。対馬とか、韓国に二束三文で買い漁られて大変なことになってるっていうじゃないですか。
Posted by バウンダリー at 2021年06月18日 13:40
 日本には離島がありあまっていて、どこも過疎に悩んでいます。外国人が買ってくれるなら、かえってありがたい。それで地方振興になる。
 対馬もそうで、韓国人のおかげで経済が成り立っている。
  → https://biz-journal.jp/2018/11/post_25351.html

 買い占められて大変だあ……と騒ぐ人が多いが、韓国人がいなくなる方がずっと大変だ。韓国人が来なくなったら、対馬経済は崩壊する。
 その一番ひどい例は、大阪だ。韓国人と中国人があふれていたのに、コロナで全然来なくなったから、経済が崩壊してしまった。
 たとえば、ホテルは次々と経営破綻している。
  → https://www.sankeibiz.jp/business/news/200529/bsm2005290700001-n1.htm

 爆買いのなくなった観光業もまた同じ。

 離島なんか、どんどん買ってもらった方がいい。ゴミを買ってもらえるようなものだ。ありがたいばかり。危険性もないし。
 今の日本は、地方の過疎化がひどいので、田舎や離島は買ってもらえる方が嬉しい。わざわざ買ってくれる、物好きな日本人はいないしね。

 なお、心配ならば、あなたが買えば? 300万円ぐらいで買える離島は、いっぱいある。ただし、売りたくなっても、売れる保証は皆無だ。300万円をドブに捨てる覚悟がいる。
 そういう(ゴミを買う)物好きな外国人なんか、いるわけがないが、いるとすれば、かえってありがたい。
Posted by 管理人 at 2021年06月18日 15:52
異様な採決になったのは、特定野党の執拗な反対があったからのようです。
なんで反対したんでしょうね。
Posted by うっず at 2021年06月19日 12:43
 参考記事:
 「暴走、目に見えている」 土地規制法成立、地元で懸念:朝日新聞
 https://digital.asahi.com/articles/ASP6J7FMHP6JUTIL046.html

 与党推薦の参考人が「懸念」 土地規制法、強引に成立:朝日新聞
 https://digital.asahi.com/articles/ASP6J61S3P6JUTFK00B.html


 防衛名目の土地規制法が成立「あまりに内容すかすか」 私権制限の懸念ぬぐえず:東京新聞  
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/110759
Posted by 管理人 at 2021年06月19日 14:49
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