2021年06月16日

◆ 名ばかりの発送電分離

 この夏と冬の電力不足が懸念されていたが、何とか対処できるようになったそうだ。しかしその根源では……という話。

 ――

 この夏と冬の電力不足が懸念されていた。前にも述べたとおり。
  → 電力自由化で電力不足?: Open ブログ
  → 電力の安定化のためには?: Open ブログ

 その後、経産省の指導により、停止中・休止中の(古い)発電所を稼働させることで、3%の予備率を確保できるようになったそうだ。
 経済産業省は15日、東京電力管内でこの冬に懸念される電力不足への対策を決めた。必要な供給力を確保するため、発電所の修繕を別の時期にずらすほか、休止中の火力発電所を再稼働させて乗り切る方針だ。
( → 東電管内で休止火力を再稼働へ 電力不足で経産省が対策:朝日新聞

 コストダウンによる利益増加ばかりを狙う電力会社が悪い……と私は前に述べたが、今回は県参照の指導により、コストアップの分を電気料金の値上げに転嫁できることになったので、解決できたようだ。(行政指導というやつだ。)

 ――

 さて。私は前にこの件で、「根源は発送電分離がなされていないことだ」と主張した。
  → 電力安定供給には発送電分離: Open ブログ
  → 電力自由化で電力不足?: Open ブログ
  → 電力の安定化のためには?: Open ブログ

 今回は、特に「発送電分離」という政策は取られていないようだが、この点はどうなのか? そこで、考え直してみよう。

 ――

 実は、冒頭の記事には、次の話もある。
 対象施設は、送配電事業を手がける東京電力パワーグリッドが発電事業者などから公募して決める。経産省は、東京、中部両電力の火力部門を統合した発電会社JERAが今年4月に休止した千葉県の姉崎火力発電所を想定している。

 この文章を見ると、発送電は分離されていることになる。
  ・ 東京電力パワーグリッド
  ・ (中部両電力の火力部門を統合した)発電会社JERA」

 つまり、「発送電分離」はすでに実現済みだということになる。
 しかし、そうだとすれば、「電力不足の解消には発送電分離を」という私の主張は成立しないことになる。なぜなら、すでに発送電分離がなされていて、それにもかかわらず、今年の年初には電力逼迫(もしくは電力不足)が起こったからだ。
  → 電力の需給逼迫が続く: Open ブログ
 これをどう考えるべきか? 

 ――

 この件で詳しく調べてみる。すると、「法的には発送電分離がすでに実施されている」とわかる。
  → 電力大手が4月に発送電の法的分離、電力システム改革は総仕上げに

 では、法的にはともかく、実質ではどうか? 株式の持ち合いで実質的には深い関係にあるのではないか? ……そう疑ったのだが、調べてびっくり。発送電で分離された2社(上記)は、法的には別々の会社であるのだが、実質的には同一の会社であると判明した。(くちあんぐりだ。)
 具体的にはどうかというと、双方はどちらも同一の持株会社の傘下にある。これは、形の上では別の会社だが、実質的には一つの会社の別の部門であるのと同じだ。部門を分ける単位を「会社」にしただけであって、実質的には同一の会社の別部門であるにすぎない。


tepco3.png
出典:分社後の東京電力グループ



 上の図を簡略化すると、下のようになる。



┏━╋━┓
■ ■ ■


 つまり、持株会社の下に、三つの事業会社がぶら下がっているわけだ。(発電会社・送配電会社・小売り会社)
 この三つの会社は、形式的・法的には、別々の会社であるが、共通した(ひとつの)持株会社の支配下にあるので、実質的には、同一の会社の三つの部門であるにすぎない。
 なのに、これをもって「発送電分離」と呼ぶのでは、見せかけだけでゴマ化しているわけだ。もはやペテンも同然だ。
 こんなペテンに引っかかって「発送電分離」と思うのは、ナンセンスだろう。

 ――

 というわけで「発送電はすでに実現済み」という認識は成立しない。当然ながら、「電力の安定供給のためには、発送電を分離すべし」という私の主張は、従来通りに維持される。

 それにしても、「形だけの発送電を実現して事足れり」と見なす政府は、頭がどうかしているとしか思えないね。形だけ分離しても、結局は同一の財布をもっているのだから、形だけで分離しても何の意味もないのだが。そんなこともわからないのだろうか? 頭がイカレているとしか思えないね。



 【 関連サイト 】

 → 持株会社制度の「発送電分離」は名ばかりの"分離"? 見えてきた課題とは

  ※ ここでは、解説している人も、何が問題なのか、わかっていないようだ。特に、「形だけの分離」(財布は同一であること)がどうして問題なのか、わかっていないようだ。

 → 東京電力フュエル&パワー - Wikipedia

  ※ 東京電力の発電部門である「東京電力フュエル&パワー」は、中部電力の発電部門と統合されて、JERA となった。事業部門はすべて JERA に移管された。現在の「東京電力フュエル&パワー」は、JERA の株式保有だけをする。(ペーパーカンパニーみたいなものだ。)

posted by 管理人 at 21:40| Comment(0) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
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