2021年06月15日

◆ 戦うか逃げるか反応

 危機的状況において、戦うか逃げるかを迫られるとき、アドレナリンが分泌され、強いストレスにさらされる。……これは「笑い」の逆だ。

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 前日の項目では「笑い」を説明した。この逆の反応は何か……と考えると、「戦うか逃げるか反応」というものが思い浮かぶ。

 これについては、Wikipedia の記述を引用しよう。
 戦うか逃げるか反応または闘争反応・逃走反応は、動物の恐怖への反応で、差し迫った危機的状況において、戦うか逃げるか身動きを止める(擬死)方法で生き延びてきたため備わったと考えられている。通常は発揮できない怪力を発揮できる反面、緊急時に使用しない内臓への血流が絞られたり判断力が低下するため、長期的にストレスを受けると体や精神に悪影響が出る。

 1929年にウォルター・B・キャノンによって初めて提唱された。キャノンの説によると、動物は恐怖に反応して交感神経系の神経インパルスを発し、自身に戦うか逃げるかを差し迫るという。この反応は、脊椎動物あるいはその他の生物でストレス反応を引き起こす一般適応症候群の初期段階として後に知られるようになった。
( → 危機的状況において、戦うか逃げるか

 関連ホルモンとしては、アドレナリンのほか、オステオカルシンがあるそうだ。後者は、
 ストレスを受けた後、数分以内に骨から放出され、副交感神経系の活動を阻害する。また、副腎が機能不全になり、オステオカルシンが増加すると急性ストレス障害を起こす。

 とのことだ。

 ――

 オステオカルシンについては、次の説明もある。
 《 生物を危険から守る「闘争・逃走反応」は、骨から放出される物質が引き起こしていた 》
 生物が恐怖や危険の生理学的反応として、生存のために戦うか逃げるかの準備を整える「闘争・逃走反応」。これまでアドレナリンの作用で引き起こされると考えられてきたが、実は骨から放出されるたんぱく質が原因で起きているという研究結果が、このほど発表された。どうやら脊椎動物の「骨」は、ストレスを生み出す器官でもあるということらしい。
 恐怖や危険の生理学的反応として、生存のために戦うか逃げるかの準備を整える「闘争・逃走反応」は、これまでアドレナリンの作用によって引き起こされると考えられてきた。ところが、このほど『Cell Metabolism』で発表された新たな研究によると、闘争・逃走反応を促すのは骨から放出される「オステオカルシン」と呼ばれるたんぱく質なのだという。

 研究チームは、マウスを使ってこれを実験した。マウスが本能的に恐れる捕食動物(キツネ)の尿や、電気ショックなどのストレスを与えて、生理学的変化および血液を分析したのだ。 すると数分以内に、血中オステオカルシン濃度が急上昇することが明らかになった。

 興味深いことに、アドレナリンを生成する副腎を切除したマウスや副腎不全患者でも、急性ストレス反応は“正常に”機能した。これとは対照的に、オステオカルシンやその受容体がつくられないように遺伝子操作されたマウスは、これらのストレスにおいて無関心だったという。
 研究チームは最終的に、恐怖に晒されていないマウスに大量のオステオカルシンを注射することで、急性ストレス反応を促すことに成功している。つまり、骨から放出されるオステオカルシンこそが、危険を知覚したときに起こる「闘争・逃走反応」に関与しているという証拠というわけだ。
( → 研究結果 | WIRED.jp

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 さて。このような事実があることがわかったが、そのことを紹介したいわけではない。
 生物にこのような働きがある一方で、それを緩和させる逆作用としての「笑い」というものが人間には備わっている、と示したいのだ。(前項の関連で。)

 ではなぜ、人間だけに「笑い」があるのか? たぶん人間だけが、特別に大きなストレスにさらされらだろう。
 それはまた、人間だけが巨大なストレスに耐える行動力を持つからでもある。人類の歴史上で、偉大なる成果は、いずれも大きなストレスを越えてなし遂げられてきたのだ。……冒険や戦争もそうだし、科学的な発見や芸術的な成果もそうだ。
 人間の脳には、あえて無理をする能力と、無理を回避する安全装置との、双方が備わっているのだ。
 
posted by 管理人 at 23:28| Comment(0) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
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