2021年06月11日

◆ 女の乳房はなぜ大きいのか?

 女の乳房が大きいのは、なぜだろう? 人間だけで、乳房がずっと大きいのだ。他の動物では、授乳期以後は縮小するのだが。

 ――

 人間の乳房はずっと大きいが、他の動物では違う。
 他の哺乳類は皆、排卵や授乳のときに一時的に乳房が発達する。基本的に、ミルクを出すためだが、授乳が終わり、ミルクが出なくなれば、乳房は消滅する。
 だが、これは人間のメスには当てはまらない。人間の乳房は、思春期に発達する。それは妊娠のためではない。人間の進化のある時点でなにかが変わったのだろうか? だとするとその理由はなんだろう? 
( → なぜ人間の女性の胸は他の動物に比べてずっと大きいままなのか? : カラパイア

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出典: Wikipedia


 このあと、デズモンド・モリスの説が出た。「性的魅力説」「性的アピール説」ともいう。
 もっとも一般的な考えは、チャールズ・ダーウィンが最初にとなえ、のちに動物学者のデズモンド・モリスが1967年の著書『裸のサル』で探究した説だ。
 モリスは、人間の乳房はメスの霊長類のお尻が排卵期に大きくなるのに代わって性的魅力として発達したと言っている。
 私たちの祖先は、二足直立歩行を始めたとき、生殖器がはっきり見えなくなった。オスはメスが性的に成熟しているのかどうかを確実に知る手段がなくなり、その結果、乳房が発達したのかもしれないというのだ。

 少なくともこの説なら、どうして女性の乳房が思春期に大きくなるのかについてはわかる。だが、なぜ、その乳房が閉経しても残っているのか、その説明にはなっていない。
( → なぜ人間の女性の胸は他の動物に比べてずっと大きいままなのか? : カラパイア


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 ここでは、乳房が大きいことの理由として、乳房が一種の記号であることが示されている。猿のお尻が赤くなると、妊娠可能な発情期であることがわかるように、人間の乳房は大きくなると、人間が妊娠可能であることがわかる。ただ、人間は常に発情期(妊娠可能期)にあるから、常に乳房は大きくなっていていいわけだ。
 これはもっともらしい理由だ。特に、初期の人類はもともと(黒人なので)真っ黒だから、オスかメスか区別が付きにくい。そこで、乳房があれば、メスだとわかる。相手がメスだとわかると、オスは探す手間が省けて便利だから、そういうメスは繁殖上で有利になる。(乳房があると有利)
 また、乳房が大きいと、明らかにメスだとわかるし、メスっぽい魅力が感じられるだろうから、そういうメスは繁殖上で有利になる。(乳房が大きいと有利)

 いかにももっともらしいが、この説は成立しない。なぜなら、ペチャパイの女性も十分に存在できて、淘汰されなかったからである。仮に「巨乳が有利」なら、みんな巨乳になっていたはずだし、ペチャパイは滅びていたはずだが、現実にはペチャパイがいっぱい残っている。

 ※ なお、個人的な嗜好で恐縮だが、私は巨乳よりもペチャパイの方が好きだ。体型も、痩せた体の方が好きだ。「男はみんな巨乳のグラマーが好き」というのは、誤った認識である。

 ――
 
 さて。このあと、デズモンド・モリスの説をさらに発展させた説が出た。

 話の基本となるのは、古くからある「残存生殖価」という概念だ。
 ギリスの進化生物学者ロナルド・エイルマー・フィッシャーは「残存生殖価 (RRV)」という概念を提唱した。これはある個体が将来どれだけ子孫を残せるかを表すものである。これが一夫一婦制を採用したヒトのオスにとって、配偶者を選ぶ上で重要な指標となる。 多く子孫を残すためには、RRVが多いメスを選ぶ必要がある。つまり若いメスだ。
 だからといって、若ければ若いほどいいわけでもない。若すぎれば妊娠することはできないからだ。
 従ってRRV観点による最優のメスとは、RRVが最大であるほどに若いが、すぐに妊娠できるほどに成長している、そんな適齢期のメスであると言える。
 ではどうしたらそのメスが適齢期だと分かるだろうか。ようやく乳房の出番だ。
 初期人類においては、初経年齢は早くても16歳付近、実際はさらに遅かったと推察される。したがって更に1,2年後となる乳房の成長の完了は、適齢期を表すと言って問題なかったのだろう。
 さらに乳房が示すのは、成熟具合だけでない。乳房は垂れ下がることで老化も示す。これは乳腺と脂肪の構成比の変化、クーパー靭帯の変形、皮膚の劣化が主な要因とされる。

 以上のように、乳房を見れば成熟と老化を一度に確認することが可能であり、残存生殖価 (RRV) の指標としてふさわしい。そのためヒトのオスはメスの乳房に関心を持つようになり、乳房は性淘汰によって恒常的に膨らんだ。これが人類学者フランク・マーロウの提唱した「適齢期仮説」である。
 この仮説の優れた点は、時代や地域によっては小さい胸が好まれたことも説明できることにある。
( → オッパイは尻の代替品という解像度の低い説 - 本しゃぶり

 この説は、乳房を女性の「記号」「シンボル」と見なす点では、先の節と同様だが、乳房の有無や大小だけでなく、形状まで見るという点が違う。形状を見ると、垂れ下がった乳房は「老化」を意味するから、適齢期でないことが判明する……というわけだ。
 これはこれでもっともらしい。

 ――

 一方、私は前に「乳房は母乳の容器である」という説を出した。
  → 女性の乳房は何のため?: Open ブログ
 結論部を抜粋しよう。

 「乳房の役割は授乳であるが、それは母乳を形成するためにあるのではなく、母乳を入れる容器としてある」

 
 母乳を形成するのは乳腺組織だが、乳腺組織は 10%程度にすぎないので、あまり意味はない。残りの 90%程度は脂肪だが、この脂肪は普段は何の意味もない。単に「空隙を埋める充填物」としてあるだけだ。
 しかし、いったん授乳期に母乳が形成されると、乳管洞(という空隙)が母乳でふくらむ。こうして乳房は「母乳タンク(母乳容器)」として役立つ。乳房が大きい人ほど、多くの母乳を溜め込むことができる。乳房が小さい人は、少ししか溜め込むことができないので、すぐに乳房が張ってしまい、苦しくなる。ひんぱんに乳を搾る必要がある。とはいえ、それは非常に不利というほどでもないから、乳房が小さい女性が淘汰されてしまうということはない。また、普段は乳房が小さくても、授乳期には乳房が大きくふくらむこともある。(伸縮性が高いわけだ。)

 結局、乳房というのは、あとで授乳するときのために、あらかじめ大きな容器を用意しているのだ。ただし、その容器は、からっぽのスカスカであるわけには行かないから、普段は充填物(脂肪)で満たされているわけだ。この充填物は、容器を大きくするためにある。それだけだ。
 
 ここでは、「充填物は何のためにあるのか?」と考えるのは、馬鹿げている。充填物は、それ自体には、たいして意味はないのだ。充填物の役割は、単に「隙間を埋める」「容積を維持する」というだけのことだ。それ以上の特別な意味はない。ここで「大きな容積があるのは、授乳期以外に性的アピールのため」なんて主張しても、見当違いにしかならない。(正しくは、授乳期に母乳を収めるため。)

 これはこれでもっともなのだが、それにしては、一部の女性はあまりにも巨乳過ぎて、ホルスタイン級だ。これほどにも巨乳である必要はないはずだ。
 上の説は、「乳房が大きいこと」を説明するが、「特別に大きい巨乳の持ち主がいること」までは説明しきれていない。

  ※ 大きなスイカみたいにデカい乳房の持ち主がいる。画像検索するとわかる。

 ――

 さて。ここで私は新たに、まったく別の説を出すことにしよう。それは従来の学説の枠組みをまったく逸脱する説だ。
 従来の説はすべて、進化論的に説明しようとした。「乳房が大きいのは、乳房が大きい方が有利だからだ」と。
 しかし、そういう説だと、ペチャパイの人がたくさんいることを説明できない。上の「適齢期仮説」は、「大きくなくても形が良ければいい」という説を出したので、巨乳でなくてもいいことを説明できたが、ペチャパイでもいいことを説明できていない。

 これまでの説はすべて、オッパイ・フェチの説であった。しかし世の中の男性がすべてオッパイ・フェチであるわけではない。私みたいに、微乳の好きな男性もいるのだ。そういう男性をも満たす説が必要だ。(つまり、ペチャパイの女性がたくさんいることを説明できる説が必要だ。)
 そして、それは、進化論的な説(選別による進化)とは異なる説であるべきだ。

 では、いよいよ、その新説を述べよう。その新説とは? それは、実は、前項で述べたこと、そのまんまである。


 では、前項で述べた節とは、何か? それは……


         



         



         



         
  
 それは、こうだ。
 「女性の乳房が大きくなったのは、食生活の変化のせいである」


 これはどういうことか? 
 人々は「人間の女性の乳房は大きい」と思い込んでいる。しかしそれは事実ではないのだ。実際、昔の日本人女性の乳房はみんな小さかった。

 仮に、進化論的な説が正しいのなら、
 「女性の乳房は大きい方が有利だから、乳房は大きくなった」
 ということなのだから、昔の日本人女性の乳房も大きかったはずだ。しかし現実には、そうではなかった。
 「戦争中は食糧不足だったからだよ」
 という反論もありそうだが、戦前だって、明治時代だって、江戸時代だって、日本人女性の乳房は小さかった。日本人女性の乳房が大きくなったのは、ここ三十年ほどのことにすぎないのである。( → 前項:乳房のサイズの年次変化
 日本人女性の乳房は、もともとみんな小さかった。かくて、「人間の女性の乳房はなぜ大きいのか?」という質問は、その質問自体が間違った認識の上に立っていることがわかる。

 正しくは?
 人間の女性の乳房は、大きくはないのだ。もともとは、ずっと小さなサイズなのである。なのに、食生活で肉類を食べるようになると、どんどん巨乳化していったのだ。

 ――

 以上のことから、私としては、次のように考える。
 「人間の女性の乳房のサイズは、もともとは植物食をしていた当時に、遺伝子的に決まっていた。ところがその後、遺伝子は変わらないまま、食生活だけが肉食化するようになった。そうなると、アミノ酸や脂肪を過剰に蓄える結果になったので、乳房は巨乳化していった。
 とはいえそれは、本来は必要のないことだった。だから、巨乳化が極端に進んだ人もいるし、微乳のままの人もいる。そのように多様な乳房が存在するのは、乳房のサイズが、生存( or 繁殖)には何ら影響しないからである。乳房は大きくても小さくても、どちらでもいいのだ。どっちであっても、有利さは特に関係ないのだ。
 乳房のサイズは、基本的には、食生活の影響による。さらに、個体差では非常に大きなバラツキがある。そのいずれも、種としての遺伝子に『乳房が大きい』という形質の遺伝子があったわけではない。乳房の大きさを遺伝子によって説明しようとするのは、間違ったことなのである」

 要するに、「人類の乳房が大きいのは、乳房が大きい方が有利だ」というのは、巨乳フェチによる発想だった。これまでの進化論学者は、みんな巨乳フェチだったのだ。
 しかし微乳フェチの私は、それを否定する。「おっぱいが大きい方がいいというのは間違いだ。おっぱいは小さい方がいいのだ」と。
 ( ※ それが結論なのではないが。)

 ――

 結論。

 「人類の乳房が大きいのは、大きい方が有利だから遺伝子的にそうなった」という進化論的な説明は、成立しない。
 「人類の乳房が大きいのは、食生活が植物食から肉食になったからだ」という栄養学的な説明が、成立する。

 ※ 巨乳と微乳が併存するのは、(種としての)遺伝子的な形質によるのではなく、ただの個体差(バラツキ)があるだけだ。



 [ 付記 ]
 もう少し生理学的に言おう。
 乳房を大きくするホルモンは、女性ホルモンのエストロゲンだ。このエストロゲンの分泌量や、それに作用する乳房の細胞の働きなどは、太古の昔の、人類がまだ植物食であったころに定まった。そのときは、肉類も脂肪類もあまり摂取しなかったので、わずかなタンパク質や脂肪類をうまく利用するように、エストロゲンが多めに分泌された。
 その後、近代になると、肉食や脂肪食が(欧州では)盛んになったので、女性の乳房も巨大化していった。ここでは、エストロゲンはあまり分泌される必要がなかったのだが、大昔の遺伝子の状態がそのまま維持されたので、タンパク質や脂肪類から巨大な乳房が作られるようになった。
 人類の食生活の変化に、遺伝子の変化が追いつかなかったのである。かくて過剰なほどデカい巨乳というものが増えていった。

 


 【 追記 】
 現代の若いアフリカ人女性のヌード動画。
  → https://bit.ly/3gdTeVG
 いくらか肉食をしているはずだが、それでも胸のサイズは小さいとわかる。乳房の大きい女性が多いのは、文明国に限られた事象だと考えていいだろう。

 ちなみに、白人の乳房はずっと大きい。下記はヌード写真。
  → https://bit.ly/2SjQT2x



 【 関連サイト 】
 おまけ の画像。



拡大画像


 これから明らかにわかるように、巨乳というものは不利である。人類以外の動物で、巨乳になるメスがいるとしたら、生存に不利なせいで、さっさと淘汰されてしまうだろう。

 比喩的に言えば、女の巨乳というのは、男の巨根と同様で、デカければデカいほど 邪魔なのである。
 
 なのに、そのことに気づかないとしたら、進化論学者が、巨乳フェチばかりであるせいだ。
 
 なお、中世の欧州では、貧乳が「良い」とされてきたそうだ。
  → 貧乳が美徳とされた時代


 ちなみに、私にとって理想の微乳とは、こんな感じ。
  → 吉永小百合の水着画像




     [ 余談 ]
     デズモンド・モリスの「裸の猿」は、原題が Naked Ape だ。これは、正確に訳せば、「無毛の類人猿」である。
     「裸の猿」だと、「衣服を着ていない(衣服を脱いだ)猿」みたいな印象だが、 Naked Ape とは、「毛むくじゃらの毛をなくして、つるんとした肌を出している、毛のない類人猿」という意味である。
     「裸の猿」というのは、ほとんど誤訳だね。

posted by 管理人 at 22:36 | Comment(7) | 生物・進化 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
興味深い論考です・・・

遺伝の要素が強いような?

でも、肥満要素が集中すると、巨乳の家系が生まれるのかな?

ということは、食生活と運動バランスが、おっぱいの発育を決めている訳だけど、

ヒトは、年中発情してるので、成熟したサインと、SEXアピールに違いないと思います!

経験上、それに興味が薄いのは貧乳、濃いのは豊乳・・・

興味は薄いけど、顔が好みの隣人がもってる、色と形を想像して、妄想にふけるのが今の日常o(^-^o)(o^-^)o
Posted by Hidari_uma at 2021年06月12日 16:49
 個人差は遺伝の影響がありますが、国民全体で遺伝子集団を見ると、世代が代わっても遺伝子集団の全体は同じです。これを、ハーディー・ワインベルクの法則といいます。
 → https://bit.ly/3wiSpRa

 ※ 自然淘汰による増減がないと仮定する。

 日本人女性全体を見ると、遺伝子集団は同じなのに、乳房は急激に大きくなってきました。(前項)
Posted by 管理人 at 2021年06月12日 16:57
日本人の平均身長は低下傾向、というのと逆なように思いましたが、乳房の大小はその時点の栄養状態の影響が大きいのでしょうね。

【日本人の平均身長は低下傾向。低出生体重児増加が影響している可能性あり】
https://www.ncchd.go.jp/press/2017/adultheight.html
Posted by XFER at 2021年06月12日 17:10
> 日本人の平均身長は低下傾向

 情報ありがとうございました。

 なるほど。ちょっと不思議ですが、理由は見当がつく。高齢出産の増加だ。
 統計では、初婚年齢が急激に上昇しつつある。
  https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h23honpenhtml/html/zuhyo/zu1103.html

 赤ん坊の健康は、母胎の年齢に大きく影響されるので、高齢出産が増えると、赤ん坊の状況は悪化する。
Posted by 管理人 at 2021年06月12日 18:57
なるほど!、日本の女性は、遺伝の法則を上回る勢いで、全体に乳が発育しているということでしょうか?

衣服の膨らみは、想像を掻き立てて、チラリズムは理性を爆発させる・・・、これが2人の世界になれば、抑えきれる男は居ないでしょう(笑)
Posted by Hidari_uma at 2021年06月12日 22:11
 デート中には、彼女と自動車の車内に二人きりになるということは普通にあるけれど、別に、おっぱいのことばかり考えているわけじゃありません。普通に会話をしますよ。
 おっぱいに触るのは、また別のときにすればいいのであって、車に乗っているときに焦る必要はありません。中学生のガキじゃないんだし。



 ちなみに、沢村一樹(エロ男爵)によると、おっぱいで大切なものは、大きさでもなく、形でもなく、味だそうです。

   https://www.excite.co.jp/news/article/Sirabee_20161553061/
Posted by 管理人 at 2021年06月12日 23:18
男の本能は、中坊から何も変わっていないんですよ・・・

味?

何のことやら理解不能です(笑)
Posted by Hidari_uma at 2021年06月13日 16:16
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