2021年06月04日

◆ 縄文の土偶の奇妙さ

dogu1b.jpg 縄文時代の土偶は、およそ人間とは思えない奇妙な姿をしているが、それはどうしてか?


 ――

 土偶の意味


 前々項の朝日の記事では、(環状列石だけでなく)土器と土偶についても言及されている。
 私が考える縄文文化の最大の特色はまず、極めて多彩な土器文化を有していること。これほど多様な土器型式がある文化を私はほかに知りません。器の形なども多彩で、これらは縄文の人々が、土器を使った調理などの行為にこだわりを持っていたことを示唆しているのかもしれません。ヨーロッパの研究者や市民が最も関心を抱くのは、その多彩な土器や土偶の持つ優れた造形性なのです。
( → ストーンヘンジと共通点?英国の研究者が語るJOMON:朝日新聞

 さて。土偶については、「どうしてこんな奇妙な形状になったのか?」という疑問がある。およそ人間らしくない奇妙な姿をしているからだ。
 

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 これに対する新たな解釈が出た。「土偶が示しているのは、人間ではなく、植物の精(精霊)である」という説だ。
 ここでいう植物とは、堅果類などの食用植物だ。それが豊かに実ることを願って、神様に祈るように、土偶に祈った、というわけだ。
  → 日本考古学史上最大の謎「土偶の正体」がついに解明 「土偶は女性モチーフ」の認識が覆った!驚きの新説
  → 土偶の正体、ひらめきを得た森での「事件」 「土偶は女性モチーフ」の認識が覆った!驚きの新説(後編)

 この説では、さまざまな土偶の形と食用植物との形に、類似点があることが指摘されている。
 たとえば、オニグルミの殻の断面 と ハート形土偶の顔面がそっくりだという。


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 さらに、両者の分布についても考える。
 ハート形土偶の出土分布を調べ、もしそこにオニグルミの生育分布との近接性がみられれば、両者の「見た目の類似」が偶然である可能性を低減させることができる。
( → 土偶の正体、ひらめきを得た森での「事件」 「土偶は女性モチーフ」の認識が覆った!驚きの新説(後編)

 こうして分布域を調べることで、両者の一致を見出したので、この説の妥当性が裏付けられたという。

 同様にして、他の形の土偶についても、植物のせいであると見なせるそうだ。
ハート形土偶はオニグルミ
中空土偶はシバグリ
椎塚土偶(山形土偶)はハマグリ
みみずく土偶はイタボガキ
星形土偶はオオツタノハ
縄文のビーナスはトチノミ
結髪土偶はイネ
刺突文土偶はヒエ
遮光器土偶はサトイモ
( → 土偶の正体、ひらめきを得た森での「事件」 「土偶は女性モチーフ」の認識が覆った!驚きの新説(後編)

 ここには、ハマグリのような貝類が含まれている。すると「貝類は植物じゃないぞ」という反論が出そうだが、「貝類は植物と同様だ」と解釈できるという。なぜなら、「ハマグリは、浜の栗だから」という理屈だ。
  → 土偶の正体、ひらめきを得た森での「事件」 「土偶は女性モチーフ」の認識が覆った!驚きの新説(後編)

 「ええーっ」と驚きそうになるが、今日のような生物学があったわけではないし、縄文時代には、木の実も、貝類も、どちらも「自然界にある食べ物」として、ひとくくりにされていたと思えば、不思議ではない。狩猟採集民ゆえの認識だ。


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 「遮光器土偶はサトイモ」
 という解釈については、次の説明がある。
遮光器土偶はその特徴的な目が注目されがちですが、手足に見られる独特なモチーフを中心によく観察すると遮光器土偶の多くの造形的な特徴は人類最古の栽培植物のひとつであるサトイモの特徴とピタリ一致します。

パプアニューギニアではヤムイモを擬人化した精霊像がありますが、遮光器土偶はサトイモの精霊像と考えられます。
( → 土偶は何をかたどっているのか 人類学がひらく縄文の神話世界 | MBA生活とその後

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 うーん。サトイモと言われると、確かにサトイモかも。言われてみれば、そんな気もしなくもない。

 ――

 この新説は、はてなブックーマークでは、評判が悪い。「トンデモ」が使いかもしれない。
  → はてなブックマーク

 だが、私としてはかなり信頼性が高いと思える。分布の一致度のところは、特にそう窺わせる。

 Wikipedia では、
 新石器時代の農耕社会において、乳房や臀部を誇張した女性像が多いことから、通常は農作物の豊饒を祈る地母神崇拝のための人形と解釈されることが多い。
( → 土偶 - Wikipedia

 と説明されているが、これは自己矛盾だ。縄文社会は、農耕社会ではないからだ。この点については、すぐ上の文章でも指摘されている。「世界史的には、狩猟・採集段階の時代のものとしての類例はあまりない」と。
 自分で自説を否定してどうするんだよ、という気もする。こんな自己矛盾に満ちた従来説に比べれば、はるかに妥当性は高いと言えるだろう。
 
 なお、女性か男性かは、あまり意味がないことだと思える。豊饒の神ならば、女性である女神像になることは自然だからだ。
 問題は、それが「人間らしいか否か」である。そして、「人間らしくない。人間とはまったく異なる形状である」ということをうまく説明できることから、上記の新説には十分な妥当性があると言えよう。

 ――

 なお、この新説を信じがたく思える人のために、私が新たに、補強・支持するための解釈を提出しよう。こうだ。
 「土偶は、ウマ娘・艦これ と同様である」

 ウマ娘 は、競争馬を女性に擬人化したものだ。
 艦これ は、艦船を女性に擬人化したものだ。
 土偶  は、植物を女性に擬人化したものだ。


 これらはいずれも、ある大切なものを擬人化して表現しているのである。一種のオタクだとも言える。つまり土偶とは、縄文時代のオタクが作ったフィギュアなのだ。



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posted by 管理人 at 21:36| Comment(2) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 「竹倉土偶研究所」サイト内の解説(下のURL)には、「さらに驚くべきことに、土偶は現代のゆるキャラ≠ニ同じ原理によって造形されていると竹倉は言います。これは植物の人体化(アンソロポモファイゼーション)≠ニ竹倉が呼ぶもので、古代に製作された先史時代フィギュア prehistoric figurines の造形原理としては、まだ世界的に誰も注目していない新しい概念です」との記載があるので、類似の解釈はご本人もされているようです。しかし、その「擬人化表現」が行われた動機についての考察が不十分であるようにも感じられます(他で考察されているのかもしれませんが)。
 
 https://www.dogulab.tokyo/

 これに対して、本稿では、

>「土偶は、ウマ娘・艦これ と同様である」(中略)
> これらはいずれも、ある大切なものを擬人化して表現しているのである。一種のオタクだとも言える。つまり土偶とは、縄文時代のオタクが作ったフィギュアなのだ。

 のように、「ある大切なものを擬人化して表現している」との解釈が加えられていますので、より本質を突いているように感じられます。
Posted by かわっこだっこ at 2021年06月05日 11:17
 上の私のコメントのリンク(土偶研究所サイト内の解説)ですが、うまく貼れていなかったようなので、別のURLで貼りなおします。失礼しました。

 https://www.dogulab.tokyo/%E7%AB%B9%E5%80%89%E5%9C%9F%E5%81%B6%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6
Posted by かわっこだっこ at 2021年06月05日 11:28
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