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コロナは変異型ウイルスが猛威を振るっているが、一方で、従来型のタイプは急激に数を減らしているようだ。
国立感染症研究所(感染研)の推計では、4月前半には大阪の感染の7〜8割が変異株になり、5月9日時点で99%に達した。
( → 若いから大丈夫は誤り 自宅療養1万人超の大阪から警告:朝日新聞 )
国立感染症研究所によると、全国の大半の地域で、5月9日には感染の90%以上が変異株に置き換わったとみられる。北海道は99%と推計されている。多くはいわゆる「英国型」で、従来と比べて感染力が 1.3〜1.5倍ほど高く、重症化リスクも 1.4倍ほど高い可能性がある。高齢ではない人も重症化しやすいというデータもある。
( → 宣言拡大、変異株に危機感 人出減でも感染減らない恐れ :朝日新聞 )
比率ではわかりにくいので、絶対数で比較したグラフもある。

出典:はてな
ここでは、「変異株(変異型ウイルス)が増えているから、従来株は減っているのだ」という見方もできなくはないが、「変異型は急増しているが、一方、従来株は順調に減ってきている」という見方もできるだろう。
私としては、後者の見方を重視したい。(1:3ぐらいの割合で後者を重視する。前者も無視できないが。)
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変異株については、今後の対策が必要なことは言うまでもないが、それはそれとして、「従来株が減っている」ということに着目しよう。
変異株については、「もはやこれは別のウイルスだ」という見方もあるぐらいだ。だから、変異株については別に考えることにして、従来株については「順調に減ってきている」と言えるわけだ。
そして、このことは、昔のスペイン風邪についても当てはまりそうだ。
そもそもスペイン風邪には、次のような事実があった。
「スペイン風邪は、1年目に猛威を振るって、2年目もかなりの死者を出した。しかし3年目以後には、すっかり規模が衰えた」
このことから「3年目に急減したのはどうしてか? 何か特別な理由があったのか?」という疑問も湧いた。
しかし、特別な理由などはなかったのだ、と推定できる。つまり、こうだ。
(i) 感染して死にやすい人(特に高齢者で免疫力の弱い人)は、1年目と2年目にどんどん死んでいった。そのあとで生き残った人は、比較的免疫力の高い人が多かったので、3年目以後には特に感染しないで済んだ。
(ii) 感染する人の割合がある程度以下に下がると、社会的な大流行はなくなるので、市中にあふれるウイルスの量も減って、感染者も減る。そういう《 縮小均衡のスパイラル 》 が起こって、累乗的に感染者が減っていった。
後者の (ii) については、アメリカやイスラエルの現状から推定できる。ワクチンの接種者が増えると、感染者数が急激に減っていくのだ。この件は、前にも言及した。
→ ワクチンの早期実施は?: Open ブログ
ここでは、米国とイスラエルの感染者数の激減を示した。再掲しよう。
米国

イスラエル

それから半月ほどを経て、本日までの米国のグラフを示すと、こうだ。

順調に減ってきていると言えるだろう。このことからも、 (ii) は裏付けられる( or 論拠が補強される)。
結局、(i)(ii) のことゆえに、スペイン風邪ぐらいのウイルスならば、大規模に感染が起こって、パンデミックが起こっても、3年目ぐらいには自然に収束するものなのだ……と言えそうだ。
新型コロナの従来株についても、同様だと見なせそうだ。
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ただし、変異株については、その限りではない。非常に感染力の強いウイルスであり、「放置しても3年目には収まる」とは言い切れない。
ここはやはり、ワクチンに期待するしかないだろう。
そして、ワクチンがかろうじてコロナの流行に間に合ったということで、人類は非常にラッキーだったと言える。この大流行が5年前だったら、RNAワクチンの研究も進んでいなかったので、ワクチン開発が間に合わなかったかもしれない。場合によっては人類人口が大幅に減っていたかもしれない。ちょうど、ペストのときに大規模な人口減が起こったように。
そうならなかったという点で、人類の叡智と幸運さに、感謝したいところだ。
( と書いたあとで、Open ブログの著者は不運にも、変異株に感染して、お亡くなりになりました。遺族記。……とならなければいいけどね。 (^^); )
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なお、将来については、いくらか楽観できそうだ。
・ 人類は誰しも、若い時期に、変異株に感染する。
・ 若い時期には、免疫力が強いので、感染しても軽症で済む。
・ 誰もが若い時期に免疫を受けるので、以後もある程度の免疫を持つ。
・ 大流行は起こらないので、市中のウイルス量も少なめで済む。
こういう形で、変異型のコロナは、「ただの風邪」になるだろう。現状のような惨状が起こるのは、まったく免疫がないまま感染した、現在の人類だけのことだと言えるだろう。
【 関連項目 】
スペイン風邪についての過去記事。
→ スペインかぜの謎: Open ブログ
→ スペイン風邪の教訓(コロナ): Open ブログ
【 関連サイト 】
変異株については、朝日新聞の特集記事がある。
→ (新型コロナ)変異株、新たな危機:朝日新聞
分量が多い割には、新しい情報はろくにない。一種の「まとめ」ふうだ。
ただし一つだけ、次の情報は興味深い。
ブラジル・アマゾナス州の州都マナウスでは、昨年10月までに住民の4分の3が従来株に感染したと推計されていた。だが、昨年末から再び感染が拡大した。従来株に感染してから時間が経って免疫のはたらきが落ちていた可能性がある一方で、変異株の免疫逃避も影響したとみられている。
前にペルーの話を記した。イベルメクチンで感染者が激減したのに、その後に感染者が急増した、という話。
いったん減少したあとで、急増している。ぶり返している。
前に、「ペルーではイベルメクチンで感染者数を激減させた」と述べた。
→ イベルメクチンが有効: Open ブログ
しかし、今ではその成功は消えてしまったようだ。
イベルメクチンには、何らかの効果の限界があるのだろうか?
それとも、ペルー政府が何らかの失敗をして、有効な薬を無効にしてしまったのだろうか?
詳細は不明だ。
( → 新型コロナウイルスの話題 37: Open ブログ )
これについては、「変異型ウイルスが、(ペルーの隣の)ブラジルから来たから」というふうに説明できそうだ。
https://pbs.twimg.com/media/E0xlh02WQAM5i6m.png
https://mobile.twitter.com/You3_JP/status/1395381500074369027
BCG有効説を出したJ SATOさんもワクチン接種開始すると多くの国で感染者が増加する事を、各国のデータから指摘。そして日本も変異種が拡大。ブラジル、南アフリカ、イギリス。変異種で有名なこの国はいずれもアストラゼネカの治験を行なった国。ワクチン接種によって感染収束するのは国民の数割が接種を終えてから