マイナス × マイナス がプラスになるのは、どうしてか? 説明する。
――
これはよく聞く質問だが、説明は難しくない。
(1)
掛け算の基礎では、次のように教えられる。
問い: 10円玉を3個与えると、いくらになるでしょう?
答え: 10×3= 30 なので、30円です。
(2)
同様にして、借金の −10円 を考える。
問い: −10円玉を3個与えると、いくらになるでしょう?
答え: −10×3= −30 なので、 −30円です。
−10円玉 というのは、「10円の借金」という借用証のことだ。これが3個あると、 30円の借金をしたことになる。(そのことが上の計算式からわかる。)
(3)
同様にして、借金の −10円 を奪うことを考える。
問い: −10円玉を3個奪うと、どうなりますか?
答え: 30円増えます。
先の (2) では、「3個与える」ことを考えたが、(3) では、「3個奪う」ことを考える。奪うものが 10円玉であれば、手持ち金は減るが、奪うものが「−10円玉」(つまり借用証)であれば、借金が減るので、手持ち金は増えることになる。借金が減れば減るほど、手持ち金は増える。
そして、そのことが、
(−10)×(−3)= +30
という算式で説明される。つまり、
「マイナス × マイナス がプラスになる」
というわけだ。
Q.E.D.
[ 付記1 ]
上記はなるべく簡単に説明したが、これと本質的には同様である説明は、ネット上にもたくさん見つかる。
というわけで、本項の説明は、とくに私の独創ではない。よくある説明の一種である。
※ ただし、わかりやすい理屈で説明してある。
[ 付記2 ]
上記では「借金」という形でマイナスを表現したが、かわりに「マイナスの温度の氷」という形でマイナスを表現してもいい。
コップに水を入れたあとで、氷をいくつか入れる。さらに氷を減らす。
氷が増えれば増えるほど水は冷えるが、入れた氷を減らせば減らすほど氷は冷えなくなる。
マイナス温度が増えれば増えるほど水は冷えるが、マイナス温度が減れば減るほど水は冷えなくなる。
※ 以下は読まなくてもいい。
[ 余談 ]
朝日新聞では、別の説明をしている。
→ 分数の割り算、なぜひっくり返す? 分母をそろえて…:朝日新聞
これは
(水の流量)×(時間)
という量で、
「マイナス × マイナス がプラスになる」
ということを例示的に説明している。
しかしこれだと、前者が「体積/時間」という単位をもつので、かなりわかりにくい。どうせなら「距離/時間」という単位で、
(速度)×(時間)
という量で、
「マイナス × マイナス がプラスになる」
ということを例示的に説明する方がいいだろう。つまり、
「速度がマイナスで、時間がマイナスだと、プラスになる」
というふうに。
しかし、それでもやはり、「距離/時間」という単位をもつのは、わかりにくさがある。本項(上記)で述べたように、単位をもたない個数の方が、ずっとわかりやすいだろう。
( 「円」という単位をもつが、これは1円玉の個数と同じだと考えれば、単位なしと同等だ。)
2021年05月10日
この記事へのコメント
管理人さんのも良い感じだけど この方の説明はhttps://youtu.be/S9Gbi7OTBrg どうかな
Posted by k at 2021年05月16日 08:24
それは、分配法則を先に使ってしまっている。砂金を得るために金塊を崩すというような、本末転倒ふう。
Posted by 管理人 at 2021年05月16日 09:33
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