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東日本大震災のときに、首都圏では大量の帰宅困難者が発生した。そのときは、交通機関が停まっても、徒歩で帰ることができた。当時の事情を伝える項目もある。( 2011年03月11日 )
地震の後で、どうやって帰宅したか? twitter を検索すると、リアルタイム情報がわかった。
東京では電車も長らくストップした。JR はおおむね運行停止状態。つくばエクスプレスは駅が崩壊し、埼京線は橋脚が崩壊して、それぞれ復旧の見込みが立たず。東横線と京王線が運行開始したのが、23時ごろ。
で、どうしたか?
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一番多いらしいのは、徒歩帰宅。4時間ぐらい歩いた人が多い。距離的に当然か。職場が近い人だと、2時間ぐらい。ビッグサイトに出向いていた人では、8時間もかかった例もある。
他に多いのが、会社宿泊だ。自宅が遠い人だと、これが当然か。翌日の出社も考えるなら、翌日また自宅から出社する手間を考えて、合理的な判断だ。
( → 地震と帰宅方法: Open ブログ )
では、次に南海トラフ地震が起こったときにも、そうすればいいか? いや、それは成立しない。近場で大地震があると、建物が崩れたり、道路が通行禁止になったりして、帰宅不可能になることが多くなりそうなのだ。
帰宅困難者対策について十分に認知されているとはいえないと、東京大学大学院で都市防災を研究する廣井悠准教授は指摘します。
東日本大震災では、首都圏を中心に、多くの帰宅困難者が出ました。あのとき、家まで何十キロも歩いて帰れたのだから、次に震災が起きてもなんとかなると考える人は、少なくないのではないでしょうか。
しかしそれは誤解だと語る廣井氏。マグニチュード7を超えるような巨大地震下で、帰宅困難者は命に係わる問題だと警鐘を鳴らします。
■ 巨大地震で、帰宅困難者問題を甘く見てはいけない
震度6強を超える首都圏直下型地震や南海トラフ巨大地震が起きた場合、帰宅困難者をとりまく状況は全く異なるはずです。おそらく大きな建物が多数倒壊し、火災が多発するような事態が起きるでしょう。
( → 首都圏を襲う巨大地震、無理な帰宅が招く惨事とは(インタビュー) - honto+ )
こうして大量の帰宅困難者が発生したあと、どうなるか? 「食料備蓄の不足」という問題が発生する、と指摘する記事がある。
→ 帰宅困難者対策、進化したけれど…コロナ禍で新たな課題:朝日新聞
→ (社説)帰宅困難者 次への備え 企業も人も:朝日新聞デジタル
3月末ごろの記事で、ちょっと古い記事なのだが、ともあれ、そこで論じているように、「食料備蓄の不足」という問題が発生する。帰宅困難者は、ものすごく大量に発生するのに対して、避難所みたいなところに用意されている食料は、ごくわずかしかないからだ。
そもそも、公立体育館や大学講堂のようなホールに入れる人は限られている。そこに用意されている食料備蓄も限られている。
圧倒的に多くの人は、駅や大会社などで風雨をしのぐことになる。そこにもいくらかの食料備蓄はあるが、その数は限られている。当日の夜の1食ぐらいはまかなえるかもしれないが、早晩、それも尽きる。一方で、東京には、通勤・通学の人の他、観光客なども大量にいるので、それらのすべてをさばくことはできない。
困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。
「そもそも、備蓄の食料(乾パンや保存食品など)は、必要ない。生ものがたくさんあるのだから、それをさっさと食べればいい。食べきれなかった分は、加熱調理してから、翌日・翌々日に食べればいい」
つまり、電気やガスが使える限りは、その場にある生ものの食品を食べればいいのだ。何もわざわざ、備蓄の食料(乾パンや保存食品など)を食べる必要はないのだ。
したがって、大事なのは、備蓄の食料を大量に保管しておくことではなく、熱源となるものを用意しておくことだ。簡易ガスコンロなど。
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実は、この件については、東日本大震災のときにすでに回答していた。次の通り。
首都圏直下地震への対策として、食糧の備蓄が必要だ、と言われている。
> 会合後、東京都の猪瀬直樹副知事は、企業などに食料など3日分の備蓄を求める条例案を来年2月の都議会に提出することを表明。
> ( → 毎日新聞 )
もっともらしい話だが、考えればわかるように、食糧はもともとある。飲食店やスーパーなどでは、普段から大量の食糧を用意している。
問題は、電気やガスが止まるせいで、調理ができなくなることだ。そのせいで、生ものを食べられないし、放置すれば腐ってしまう。どちらかというと、腐りそうな生ものが大量にあって、腐る心配がある。腐ると、不衛生になり、疫病などの問題が起こる。特に、ゴミ収集車が来ないから、この問題は大きい。
だから、生ゴミを出さないように、生ものをさっさと食べてしまうことが最優先となる。こういうときに「備蓄の乾パンを食おう」なんて考えていると、かえって状況は悪化する。
つまり、東京都のように「備蓄を用意しよう」というのは、状況を改善するよりも、状況を悪化させる。
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では、どうすればいいか? 生ものを食べるには、エネルギーが必要だ。では、どのエネルギーか?
第1に、電気があれば、特に問題はない。(中略)
第2に、電気がない場合はどうか? ガスが使えればいいが、電気が使えない場合は、都市ガスも駄目だろう。とすれば、対策はただ一つ。簡易式のガスコンロだ。つまり、カセットコンロだ。
( → ガスコンロの備蓄(地震): Open ブログ )
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さて。カセットコンロでもいいが、こいつを大量に備蓄するのも危険だろう。そこで、七輪が便利そうだ。七輪があれば、木材を燃料にして、鍋料理をすることができる。
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( ※ ただし戸外で使用すること。室内では不完全燃焼の危険がある。)
さらに、自家発電機を使うという手もある。
・ 家庭ならばともかく企業ではガスコンロでは火力不足。
(大量処理ができない。)
・ 冷蔵庫の中の生ものが腐ってしまう。
このような問題を一挙に解決する方法がある。こうだ。
「自家発電を設置する。それによって冷蔵庫を稼働して生ものの腐敗を防ぐ。さらに、電子レンジや湯沸かし器で簡単に調理する」
実は、電子レンジや湯沸かし器ぐらいなら、多くの職場にある。だから、電気さえあれば、あとは何とかなるのだ。
問題は、電気だ。地震のときには、停電になる可能性が高い。その場合、どうするかだが、自家発電があれば何とかなることも多い。(ざっと見て、半分ぐらいの自家発電が生き残る、と見ていいだろう。現実にはもっと多く生き残りそうだ。)
だから、食料の備蓄なんかよりは、自家発電の設備を普及させることの方が、ずっと有効だ。(小さな職場では無理だが、大きなビルならば可能だろう。)
( → 地震で必要なのは食料よりも 電気: Open ブログ )
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震災のとき、食料そのものは、まったく不足していない。店には大量の肉や野菜があるし、乾物もある。家庭でも冷蔵庫や冷凍庫に生ものがいっぱい入っているし、乾物もある。
そこでまずは、店や家庭にある生ものを、さっさと消費してしまうことだ。消費しきれなかった分は、加熱して、塩を振って、1日ぐらいは腐らずに食べることができるだろう。(夏場でなければ。)
→ 地震に備蓄食料は不要: Open ブログ
→ 災害時の食料備蓄: Open ブログ
その後は、即席ラーメンを水で戻して食べればいい。即席ラーメンは、ゆでなく水で戻して食べることができるのだ。袋のまま、袋に水を入れれば、ラーメンどんぶりも必要ない。
→ 警視庁「水でも作れますよ」災害時でもラーメンが食べられる方法、第3弾
炭水化物だけでは物足りないというのなら、缶詰を食べればいいだろう。
その意味でも、普段から缶詰をたくさん買い置きしておくことは、大切だ。特に、サバ缶がお薦めだ。
→ 災害時の食料備蓄: Open ブログ
→ 避難所では食事を出せ: Open ブログ
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ついでだが、「コンビニの食料(パンなど)を買う」というアイデアは駄目だ。地震のときには、あっという間に売り切れてしまうからだ。しかも、補充が利かないので、棚は空っぽのままとなる。
このことは、本項の初めのあたりにある「廣井悠准教授」の話(インタビュー)でも、指摘されている。
※ 以下は読まなくてもいいです。
[ 余談 ]
余談だが、3・11 の東日本大震災のころにあった震災ドラマ(再放送を含む)は、いずれも良かった。
(1) 時は立ちどまらない
「時は立ちどまらない」というドラマは、再放送。山田太一脚本。「数々の賞を受賞した感動の名作」ということだが、途中まではあまり感心しなかった。「いかにも昭和っぽいし、ドラマというよりはホームドラマだな。退屈すぎる」と思っていた。ただし最後のあたりになると、なぜだかよくわからないが、感動の涙が出た。
特に面白いストーリーがあるわけではないし、劇的なこともないのだが、震災の被災者の生活が等身大に描かれていて、「被災者の気持ちとはこういうものなのか」というのが、リアリティで迫ってきた。ただのドキュメンタリーでは得られない、生々しい(いかにも実感のある)リアリティがあった。
そういう人生を感じさせる点が良かった。
(2) 小さな神々の祭り
「小さな神たちの祭り」は、地方局の製作になる小品だが、これは多くの賞を受賞している。こちらは、タイムスリップに似ていて、「あの世へのスリップ」というものだが、内館牧子の脚本と、千葉雄大の演技が良くて、ドラマとしては秀逸な出来映えだ。
一種の夢物語なので、リアリティーはまったくないが、詩情のようなものを感じさせて、人間の悲しみや喜びを伝えている。私としては満足度が高かった。深夜の番組だというのが残念だ。「ゴールデンアワーに流して欲しかった」という声がツイッターに多かったが、私も同感だ。
(3) となりのマサラ
「となりのマサラ」というのは、震災ドラマではなくて、外国人技能研修生であるネパール人との交流を扱う異文化ドラマだが、震災ドラマに似たテイストがあった。
特に出来映えが良かったというわけではないが、ヒロイン役の大原梓という女優がやたらと魅力的だった。「こんな素敵な女優がいたのか」と気になった。
相当に美人だし、演技力もあるのだが、なかなか役には恵まれていないようだ。「ガールガンレディ」という番組に出演していて、多くの女性の中でピカイチの美人なのに、もっと平凡な顔の女性がヒロイン役となっていて、大原梓はチラリとしか放映されない。かわいそうに。
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