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シェイクスピアの肖像画としては、これが有名だ。

これはシェイクスピアの死後7年目に刊行された戯曲集(ファーストフォリオ)の表紙にあるもの。死後にデスマスクから推定されて描かれた。
これにかなりよく似た胸像が以前から知られていたが、別人であると思われて、「自己満足の豚肉屋」(self-satisfied pork butcher)などと呼ばれていた。ところが、この胸像がまさしくシェイクスピア自身であると、新たに認定された。(本年3月)
→ シェイクスピアの最も正確な肖像、認定される (2021年3月27日) - エキサイトニュース

ただし、認定されたといっても、学会で公式に認定されたわけではない。Lena Cowen Orlin という大学教授(女性)の個人的な見解だ。だから、大々的な世界的ニュースだというわけではない。
つまり、この説が正しいかどうかは、いまいち、不確かなところがある。
ただ、私の感想で言えば、ファーストフォリオの肖像に似ているので、「この胸像がシェイクスピアである可能性は十分にある」と思える。
ついでだが、これが豚肉屋である可能性はほとんどない。なぜなら、豚肉屋について、わざわざ胸像を建てるなんていう、酔狂なことをする人がいるはずがないからだ。
とはいえ、本当を言えば、私はこれがシェイクスピアである可能性は低い、と思う。顔がファーストフォリオに比べて太りすぎだし、明らかに別人だと思う。似ているのは、ヘアスタイルとヒゲぐらいだろう。そんなのは、当時の人には多く共通していただろうから、しょせんは「他人の空似」と言って差し支えないと思う。このころのヒゲのある男性ならば、たいていがこういう顔になっていただろう。
また、そもそもこれがシェイクスピアの像であるならば、当時からずっと有名であったはずであって、今になって急に認定されるとは思えない。
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ついでだが、別の肖像画もある。生前に描かれたもの。

2009年には、「これぞシェイクスピアの肖像画だ」という報道が多く出たものだ。
→ シェイクスピアの生前唯一の肖像画、ロンドンで初公開 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
しかし、ファーストフォリオの顔とはまったく違うし、別人である可能性が高い、と私は思う。私と同様に、懐疑的である人はかなり多いそうだ。
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結局、「シェイクスピアの本当の姿は、生前には何も残されていなかった」と見なすのが、最も妥当だと思える。
すべては霧のように謎のかなたに隠れてしまうのだ。
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