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黒川紀章の有名な建築物である、中銀カプセルタワーが話題になっている。解体されそうだが、保存するべきか否か、というふうに。
→ 中銀カプセルタワーの内側に迫る!20のストーリーを紹介する
→ 保存か? 解体か? 名建築「中銀カプセルタワー」 | ナショナルジオグラフィック
→ 保存か解体か 「中銀カプセルタワー」を中から撮った|NIKKEI STYLE
私の考えで言えば、「このままの形では保存は不可能だ」となる。カプセルタワーは、もともとはカプセルが大量生産されることを前提として、25年ごとに交換するはずのものだった。その前提となる大量生産ができなかったのだから、今後、永続的に交換することもできない。プロジェクトとしては失敗したと言える。
ただ、このままで形での保存は無理だとしても、なんらかの形で保存することはできそうだ。
そのための提案もある。解体して、地上にバラバラに設置して、集落を形成する、というものだ。
→ カプセル建築プロジェクト| 中銀その後 移設の提案
福島の仮設住宅に使うとか、地方の小さな集落を作るとか、そういう案があるが、ちょっと無理がある。建物は狭くて、単身者以外が住むには不便だ。そもそも、キッチンもないし、風呂は湯が出ない。(自分で電気給湯器でも付けるしかない。ガスはもともとない。)
→ 「中銀カプセルタワービル」の生活は不便だらけ?
──キッチンの設備って、もともとないんですよね。
前田さん「ないです、ここはそもそもビジネスカプセルって売られ方をしているので、洗濯機置き場とキッチンがないんですね、だからイメージとしては普通のホテルと同じなんですね」
このようなワンルームは、都会で最小限の寝る場所を用意するためだけにあるのであって、こういう部屋でまともに生活をするということは無理なのだ。
ゆえに、被災地の仮設住宅には向いていないし、田舎の集落を作るにも向いていない。そういう用途では使えないのだ。困った。どうする?
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そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
「キャンプ地で、テントをもってこなくてもキャンプできるように、カプセルルームをログハウスの代わりにして、貸し出す。炊事はカプセルルームの外の戸外で、自炊。水とトイレは、配管がないので、カプセルルーム内では使用禁止として、戸外の共同水場と共同トイレを使う」
これはどういうことかというと、ゆるキャン△ というドラマを見ている人ならわかるだろう。
ふもとっぱら
→ 広大なキャンプ場で仰ぐ富士 密回避、2年ぶりGW営業:朝日新聞
こういうふうに、広大な敷地のあるキャンプ場があるので、そこにポツンポツンとカプセルルームを置けばいいのだ。水やガスの配管もしなくていいので、簡単だ。
炊事も、キャンプ場ならば、もともと自炊が原則なので、何も問題がない。風呂はないが、自分の自動車やバイクで、近辺の風呂屋か温泉に行けば、何も問題はない。どうせ一日中、あちこちを動き回るはずだし。(そもそもキャンプ場のテント生活ならば、風呂はないのが当たり前だ。)
というわけで、「キャンプ場にカプセルルームを置く」という案ならば、万事がうまく行く。
防水処理(雨漏り対策)が問題なら、一番上だけ、簡単な屋根を乗せて補強すればいいだろう。それで夏の暑さ対策にもなる。
※ カプセルルームに、「志摩リンの部屋」「各務原なでしこの部屋」というふうな名前を付ければ、オタクがいっぱい押し寄せてくるだろう。
【 関連サイト 】
山間の別荘として個人住宅用に使う例もある。
→ 黒川紀章が1972年に完成させた「カプセルハウスK」を保存・公開するプロジェクトが発足
風呂も炊事場もないのだから、別荘として使うのには無理がある。どうしても使うなら、別途、キャンピングカーが必要だろう。寝るときだけ、大きなベッドを使うために、カプセルルームを使うわけだ。しかし、いかにも無理がある。

そもそも中銀カプセルタワー自体、メタボリズムを謳いながら構造上カプセルをひとつずつ取り外すことは技術上可能ではあるが、困難であるといった「ダメじゃん」案件なんで。
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Jordy: アスベストは撤去しましたか?建物内にはまだアスベストが残っているのでしょうか?建物内を歩き回るとしたら、例えばこの階段には残っていますか?
前田さん: アスベストは除去ではなく、封じ込めで対応しています。居住者が通る場所にアスベストはありませんので、安心してください。
https://bit.ly/3ukcwgM
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雨漏りや防水工事などの大規模修繕です。これでアスベストを封じ込めることができます。
https://yadokari.net/interview/23575/
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> カプセルをひとつずつ取り外すことは技術上可能ではあるが、困難である
そうだとしても、再利用の際には、まとめて一挙の取り外すので、本項の提案の方式で、特に問題はありません。(再建するわけじゃないので。)
そもそも保存する価値があるか?というところから検討すべき問題でしょう。
メタボリズムというのはおもしろい概念ですが、実現可能になっていなければ与太話に等しいものですよ。まあ与太話だから廃れたんでしょうが。
室内はすでにモデルルームが保存されているわけでこの上さらに保存する価値があるか疑問です。
保存したいかどうかは、金を出す人の好みの問題であって、他人が口出しをする必要はない。建築オタクの好みの問題なのだから、他人がオタクに向かって「そんな趣味はつまらない」と文句を言うのはナンセンス。粋じゃない。
> 黒川氏の思想を残そうと、取り外して国内外で再利用する計画が進んでいる。
> カプセルでの寝泊まりを体験できるように、ホテルやキャンプ場などに設置する計画。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/135361
⇒ なるほど、うまい提案だったのですね!
キャンプ場などに設置するときは、トレーラーハウスみたいにカプセルだけをポツポツと置くのではなく、できれば平屋〜2階くらいでもいいので数個組み合わせて、元々のタワーの全体デザイン性を再現してほしいです。
または、本稿の【関連サイト】にも紹介してありますが、風呂、トイレ、キッチンのユニットを組み合わせて、バンガローのようにしつらえるとか。若手建築家に、競作させるのも面白いかも。
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東京・銀座の「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」。老朽化などを理由に解体が決まり、12日朝から工事が始まった。
今後、数カ月をかけて解体されるが、二十数個のカプセルは壊さずに取り外す。国内外の有名美術館に寄贈したり、宿泊施設としての再利用をめざしたりしていて、問い合わせはすでに80件ほどあるという。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15263802.html
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参考:
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14879320.html