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医師会の通達
インフルエンザに簡易検査は不要だ、という医師会の通達が出た。
( → 日本医師会通達 (2020年10月14日) )
- 臨床所見や地域における感染の広がり等の疫学情報等から総合的に判断した上で、医師が抗インフルエンザウイルス薬による治療の開始が必要と認める場合には、治療開始にあたって簡易迅速検査やPCR検査の実施は必須ではないこと。
- 診療報酬上も、抗インフルエンザウイルス薬の投与にあたり簡易迅速検査の実施は必須でないこと。
これを受けて、各地の医師会では、「当地域では、簡易検査を実施しませんという告知を出す例が多く出た。
インフルエンザ簡易迅速検査は、発熱後6〜10時間以上を経ないと陽性に出ない場合や、インフルエンザに罹患した有症状の方でも陽性とならない場合があるなど、完全な検査ではありません。
また、インフルエンザの治療に必須のものではないことから簡易迅速検査は原則行いません。
( → 千葉市休日救急診療所を受診される方へ )
インフルエンザの診断は、インフルエンザ迅速検査で100%できるものではありません。インフルエンザの迅速検査は、十分なウイルス量がなければ検知できません。インフルエンザでも発熱後の時間が短いとウイルスがまだそれほど増えておらず、検査では陰性(マイナス)になってしまうことがあります。
( → インフルエンザの迅速検査について|松戸のホームドクター 松戸市医師会 )
これらの点については、私が前から強く指摘していた。
“ 感染初期には、ウイルスの量が多くないので、簡易検査では「陰性」になることが多い。高熱を発していても「陰性」になるので、検査するだけ有害である。むしろ、高熱などの症状を見て、医師が判定するべきだ。”
この趣旨で、前に詳しく述べことがある。
→ 簡易検査による死者増加: Open ブログ
この私の見解に沿った方針が取られるようになった、と言えるだろう。
※ ただしこれは今年と来年限りかもしれない。将来はまた簡易検査が復活するかもしれない。というのは、簡易検査をすると、その分、検査代の収入が得られるので、医師は儲かるからだ。また、患者の症状が悪化すれば、その分、病人が増えて医者は儲かるからだ。簡易検査は、患者の症状を悪化させて金儲けをする、という悪徳医にとっては、格好の道具なのである。
NATROM 医師の批判
さて。以上のような私の方針に対して、大々的に批判した医者がいる。それは NATROM という医師だ。
この件については、上記項目のコメント欄で紹介した。
→ 簡易検査による死者増加 …… コメント欄
彼の主張は長たらしくて面倒臭いのだが、要するに、モデル論で批判している。
「陽性なのに陰性だと誤判定する例と、陰性なのに陽性だと誤判定する例を考える。それぞれのデメリット(負の利得)を同等だと仮定すると、簡易検査をする方がいい。ゆえに、簡易検査をしない方がいいという Openブログは間違っている」
というふうにモデル論で論じている。(ゲーム理論を使っている。)
しかし、これが勝手な勘違いによる誤認識だということは、上記のコメント欄で解説している。要するに、「それぞれのデメリット(負の利得)を同等だと仮定する」という仮定が間違っている。なぜなら、それぞれのデメリットは大差があるからだ。
・ 陽性なのに陰性だと誤判定する → 感染しているのに無感染だと誤判定するので、薬をもらえずに、高熱が続く。下手をすると、死ぬ。
・ 陰性なのに陽性だと誤判定する → 無感染なのに感染していると誤判定するので、(健康なのに)薬を飲むので、副作用の危険がある。
前者では非常に重い症状が出て、下手をすると死ぬ。
後者では副作用が出ることはほとんどなく、出たとしても小さな症状で済む。
要するに、双方には、デメリットに大差がある。ゆえに、前者のデメリットを回避することが最優先であり、後者のデメリットを回避することはどうでもいい。(無視していい。)
にもかかわらず、NATROM という医師は、「両者のデメリットは同等であれば」という無効な仮定を取る。そういう無効な仮定に基づいて、「 Openブログ は間違っている」と結論する。自己流のゲーム理論を掲げて、鼻高々になって。
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この NATROM という医師は、医者らしくなくて、やたらと数理的な思考を取る。数字をいじることで科学的になると信じているようだ。
しかし私はそうは思わない。数字をいじるのは、基礎的な話であって、医者が特に心がけるようなことではない。医者が特に心がけるべきことは何か? それは、「病気を見るのでなく、人を見る」ということだ。検査がどうのこうのというのは、それはそれで大事だが、それよりも何よりも大事なのは、患者の訴える話を聞くこと(問診で聞くこと)だ。本人がろくに気づいていないことも上手に聞き出せるといい。
上記のコメント欄では、こう書いている。
だいたい、話の方向が、完全に狂っている。
・ 私の主張 …… いかにして死者を減らすか
・ NATROM氏 …… いかにして南堂の論理の穴を見つけるか
私の目的は、国民の生命を守ることだ。
NATROM氏 の目的は、誰かを「トンデモだ」とか何とか攻撃することだ。そのために、あえて物事の例外みたいな特別な例を持ち上げて、論理の穴を突つこうとする。しかし、そんなことをすればするほど、話の本筋から逸れてしまうのだ。
私は別に、NATROM氏を
しかし NATROM氏は違う。だから、他人を攻撃することに熱中して、「簡易検査をしなくてもいいというのは、間違いだ。そんなことを主張するやつは、トンデモだ」と声高に主張する。
そのあとで医師会から、「簡易検査をしなくてもいい」という通知を受け取るのである。