2021年04月08日

◆ 同性愛者の個人情報

 同性愛者の個人情報を政治家が勝手に暴露した、という問題があった。これを法的に扱うには、どうすればいいか? 法と論理の話。

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 この件では、問題の道徳的な面が話題になっているが、本項では法的論理に絞って扱う。同性愛のことには興味はないが、法的論理のことには興味があるので。
 ※ 世間で話題になっているのは、「こんなことをして良いのか悪いのか」だが、本項で話題にするのは「法的に処罰できるかできないか」だ。

 まず問題は、次のことだ。
  三重県伊賀市の男性の同性カップルが、3月に投稿された小林貴虎県議(47)のツイッターに、同性婚について「婚姻と同等の権利をよこせと言うことなら、同等の責任を果たさねば──」などと書かれてあるのを見て、同月14日に公開質問状を送った。すると県議は、同月30日に自身のブログで男性カップルの名前、住所、電話番号まで公開し、物議をかもした。
( → 住所と名前を三重県議に公表された同性カップルが激白「電話が鳴り続けて精神的に病んでしまった」(AERA dot.)

 さらに、実害もあったそうだ。
──公開されたことで、何か嫌がらせがありましたか?

「非通知の電話が鳴り続けて、誰の電話かもわからない。加納のほうは精神的に病んで不安定になりました」(嶋田さん)
「寝つけないし、動悸がすることがありました」(加納さん)
( → 同上

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 この件については、法的な対処ができると思っていたが、朝日新聞に解説記事が載った。
 政治家に個人情報を公開された時、個人情報保護法などの法令は当事者を守ってくれるのか。

 政治家は対象外

 一方、プライバシーに関する権利は憲法13条の幸福追求権を根拠とする「人格権」の一つであり、人格権侵害を根拠に民事訴訟を起こして損害賠償請求をすることは可能だ。だが、宮下教授は「個人の住所を公開しただけと判断された場合、賠償額は数千円程度に限られる恐れがある」と話す。
( → 議員が市民の住所を公開、違法? 「許されない」でも…:朝日新聞

 個人情報保護法は、企業を対象とした守秘義務を課すものであって、政治家は対象外だそうだ。しかも今回は、政治家が職務で得た情報ではなく、相手から送られた封筒などに記してあった情報を公開したものだ。個人情報保護法で言う「情報漏洩」とは違う。

 となると、プライバシー侵害で訴えたいところだが、「個人の住所を公開しただけと判断された場合、賠償額は数千円程度に限られる恐れがある」とのことだ。これではどうしようもない。
 困った。どうする?

 ――

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。こうだ。
 「個人の住所を公開しただけ」ではなく、「性的嗜好の情報とともに公開した」のだ。このことで、単に住所を公開したのとは異なり、プライバシーの侵害の度合いが高い。
 さらに、その不法行為によって、精神的な損害をこうむっている。発生した被害に対する賠償という意味で、高額の賠償金を請求できる。
 以上の二点を持って、高額の慰謝料を請求できるはずだ。

 これが、法的な論理となる。

 ――

 さらに、次のことを提案したい。
 上のことが法的に成立するとしても、今回の被害者は、いちいち裁判を起こす気力も資力もない。訴える気にはならないだろう。
 そこで、第三者である弁護士が、「着手金は無料で、高額の成功報酬だけ」という条件で、裁判を引き受ければいい。勝てる見込みがあるのなら、高額の成功報酬を得られる。それより何より、世間に大きく話題となることで、有名になれる。(記者会見を開いて、テレビに映ればいい。)
 これは、実績のない若手弁護士にとっては、大きな魅力だろう。だから、若手弁護士がその裁判を引き受ければいいのだ。
 お金をもらえて、有名になれて、正義を果たせる。一石三鳥だ。これぞ、うまい方法だ。


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posted by 管理人 at 22:00| Comment(0) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
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