2021年04月05日

◆ アドレナリンの注射剤

 ワクチンでアナフィラキシーショックが起こったときの治療薬であるアドレナリンの注射剤の問題。

 ――

 ワクチンでアナフィラキシーショックが起こったときの治療薬であるアドレナリンを注射するときに、問題がある。
 薬剤を瓶から吸い取って注射器に入れるのでは、手間と時間ががかかる。そこで、もともと薬剤が入った注射器を用いる。これがプレフィルドシリンジ製剤だ。
  ※ prefilled は「注入済み」
  ※ syringe は「注射筒」(注射針なし)



https://amzn.to/3dCNqT1

 ここで問題がある。プレフィルドシリンジ製剤は、アドレナリンの量が 1mL なのだが、これは心肺停止した患者向けの量だ。普通の患者には量が多すぎる。普通は 0.3mL でいい。しかし、売っているのは  1mL のものばかりで、 0.3mL のものがない。そこで、これに苦情を出す看護師の投書が朝日新聞・投書欄 2021-04-05 に掲載された。
 「1mL のものを、毎度毎度、0.3mL に減らして使うのでは、手間がかかる。だが、アナフィラキシーショックが起こるときには、一刻を争うので、手間と時間がかかるのは困る。だから、 0.3mL のプレフィルドシリンジ製剤も発売してくれ」
 という趣旨。

 ――

 これを聞いて私が思ったのは、こうだ。
 「アナフィラキシーショック用には、患者が自分で使う注射型のアドレナリンがある。いざというときに使うこととして、たいていの(重度アレルギー)患者が持っている。エピペンというやつだ。それを使えばいいのでは?」

 そう思って調べたら、この方法は駄目だとわかった。あまりにも高価すぎるのだ。
 プレフィルドシリンジは内容量が1mgなので1本でも追加投与が可能ですが,エピペンの場合は1回だけしか使用できない上に,投与量の調節や追加投与はできません。
 薬価もボスミン1A(薬価:92円)と比較して「エピペン(薬価:10,570)」とはるかに高くなります。(2018.04現在)

 100円以下と 10000円以上だから、100倍以上の価格差がある。これでは無理ですね。(価格の点で。)
 困った。どうする?

 ――

 そこで、困ったときの Openブログ ……と言いたいところだが、私が言うまでもなく、上記サイトに解決策が示されていた。うまい案がある。
 先に0.7ml破棄後に、残りの0.3mlを使用する
( → 医療施設でのエピペン使用中止。ボスミンからアドレナリンシリンジへ | 気ままな薬剤師〜サミーの役立つ体験記録〜

 1mL のものを全量使う必要はないわけだ。1mL のうち、あらかじめ 0.7mL を廃棄して、残りの 0.3mL だけを注射器に残しておけばいい。そうすれば、それはもはや 0.3mL のプレフィルドシリンジ製剤と同じである。

 というわけで、この方法で解決できるわけだ。
 ただし、この方法は周知されていない。だから冒頭の投書欄のような意見が出る。
 だから、この方法を周知することが必要だろう。

 コロナのワクチンの情報はいろいろと出回っているが、アナフィラキシーショックの治療の情報は、十分に出回っていないのである。
 ※ だから本サイトが注意喚起をするわけだ。




 [ 付記 ]
 このことの教訓は「大は小を兼ねる」ということだ。大と小の双方を用意しておく必要はなくて、すべて大だけでもいいのだ。(大のうちの一部をあらかじめ捨てておけば、残りは小になるからだ。)
 
 「一部を捨てるのはもったいない」と思う人もいるだろうが、そうではない。大量販売が見込める商品ならばともかく、あまりたくさん生産されない商品では、いちいち新規開発するよりは、1種類の製品だけを大量に生産する方がコストは安上がりになるのだ。
 なお、仮に 0.3mL のものを生産するとしたら、価格は1つ 200円ぐらいになって、 1mL のものの2倍になるだろう。そんなもの、誰が買うものか。
 
  ̄ ̄
 そもそも、容量が異なるものが2種類あると、混同しやすくて、事故が起きやすい。それはまずい。むしろ、容量は統一させておいて、使用時に容量を医者が確認する方が、安全度は高い。容量を少なくしたタイプ[一部廃棄]は、見た目で簡単に判別が付くからだ。(シリンジの状態で。)
  → シリンジの拡大画像


posted by 管理人 at 22:37| Comment(0) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
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