2021年04月01日

◆ 過密税を導入せよ

 東京一極集中を緩和して、人口を地方に分散したい。そのために、「過密税」というものを導入するべきだ。

 ――

 概念設計としては、「東京一極集中を緩和する」という目的・効果がある。では、そのために、どういう方法を取ればいいか? その方法が問題だ。

 すぐに思いつくのは、「企業の固定資産税を上げること」だ。これでいいと思ったのだが、よく考えると、駄目だとわかった。なぜなら、固定資産税は地方税だからだ。地方税としての固定資産税を引き上げることには、二つの難点がある。
 (1) 地方税であれば、課税主体は地方自治体であるから、その引き上げの裁量は地方自治体にあるべきだ。(ただし必須ではない。)
 (2) 地方税であれば、地方の取り分が 100% である。とすると、税額を引き上げた場合、その税収を多く得るのは大都会の自治体ばかりだ。特に、東京都だ。東京都ばかりが税収を得て得をするのでは、本来の狙いに逆行する。(政治のレベルでは、東京冷遇どころか、東京優遇となる。)

 特に、後者が問題だ。税率を上げるのはいいが、上がった税率によって増えた税収を、東京都ばかりがたくさん受け取るのでは、本末転倒である。これで得た税収は、東京都よりも地方が受け取るべきだからだ。
 このような問題があるがゆえに、「固定資産税の引き上げ」という方針は駄目だ。(それが地方税なので。)

 ――

 では、どうする? 当然、対案としては、地方税の代わりに国税とすればいい。それで得た税収は、国が適切に配分すればいい。(東京ばかりでなく地方にも配分する、ということ。東京を排除するわけではない。)
 こうして、「地方税でなく国税」という方針が立った。
 
 次に、税としての徴収の仕方は、どうするか? 固定資産税ならば地価に応じた課税となるが、それと同様でいいか? 
 それも悪くないが、それだと二重課税ふうになる。すでに応分の固定資産税を払っているのに、さらに払うという理屈が立ちにくい。また、固定資産税だと、土地に応じて収益を得ている「土地収益型」の企業の負担ばかりが高くなるので、公平性が保てない。
 たとえば、イベントホールや商業ビルや事業所ビルを所有している不動産業の負担ばかりがやたらと高くなる。ところが、これらのビルは、そこで働く人の数は少ないことが多いので、過密緩和の効果が少ない。
 要するに、「人よりも土地・建物に課税する」という方針が、根本的におかしい。そんなことでは「過密緩和」という目的に合致しない。

 そこで私が提案しよう。こうだ。
  ・ 企業の雇用する人の数に応じて課税する。(例。1人につき年1万円)
  ・ 過密度の高い地域では、係数で倍率を上げる。(例。都心では5倍)

 以上は企業への人頭税だが、別途、住民への人頭税を課してもいい。といっても、普通の住民は非課税で、超高層のタワマンだけを課税対象とする。超高層のタワマンは過密度が異常に高いからだ。武蔵小杉のようにタワマンが多いと、その地域では人口が過密になり、インフラの充実という行政費用が増えてしまう。(駅・道路補修・学校など。)また、道路の混雑と渋滞という社会的負担も生じる。これらは「社会への迷惑」であるから、迷惑料という形で、高額の「過密税」を徴収してもいいだろう。これも、年額1万円を基準として、過密地域では高額になるように係数で調節する。(例。都心のタワマンでは3倍)

 ――

 以上では(課税方法の)具体的な例を示した。
 金額は、年額1万円を基本としたが、これは導入時だけの話。将来的には、もっと大幅に高くしてもいいだろう。そのことで、東京集中を緩和する効果を高める。

 なお、税収の一部は、「法人税減税」で企業に還元してもいいだろう。そのことで、財界の「新税は企業活力をそぐので駄目だ」という反対論を抑止する。「法人税減税があるので、東京以外の地方の企業にとってはお得ですよ」というふうに。トヨタ・ホンダ・マツダあたりは、大喜びだろう。(日産自動車は渋い顔をしそうに思えるが、そうでもない。日産の事業所で都心にあるのは、銀座のショールームぐらいだ。ほとんどは神奈川県などの近郊にあるので、過密税の対象外だ。)

 現実的には、多額の金を払うのは、都心で大量の従業員をかかえている事業所となる。各社の本社部門や、IT技術者の多いIT産業などだ。これらが過密税をいやがると、都心を脱出して、山手線の外に移転するだろう。たとえば、楽天(二子玉川)や、アップル(横浜市港北区)などが、先例となる。このあたりの地域ならば、過密税は徴収されないか、徴収されても倍率は低くなるだろう。だから、このあたりへの移転が促進される。
 そして、そういうことこそ、過密税の狙いなのである。各社の本社部門や、IT技術者の多いIT産業などが、都心から近郊へと移転すれば、東京集中はかなり緩和されるだろう。東京の都心部という狭い地域から、東京の周辺部へと、過密地域が拡大して、同時に、過密は緩和される。

 これは、「東京から地方へ」という流れとは異なる。東北や北陸や四国や九州という地方が繁栄するのではなく、東京の周辺部である神奈川・埼玉・千葉などが繁栄することになるからだ。……だが、その方がかえって好ましい、とも言えるだろう。東北や北陸や四国や九州は、大きな平野部もないので、もともと多くの人口を受け入れる余地はないからだ。

 ただ、例外的に、濃尾平野のある名古屋のあたりだけは、多くの人員を受け入れることができる。名古屋のあたりは、移転先として有力な候補となる。この件は、前にも述べた。
  → 名古屋はなぜ発展しないのか?: Open ブログ
 一部抜粋。
 結局、東京には「一極集中」の強い力が働いているから、東京だけは大幅に発展する。他方、他の地方では、どこもそういうことはないのだ。むしろ、東京の「一極集中」の弊害を受けて、さびれる効果さえ出てしまう。

 とすれば、対策はただ一つ。
 「東京の一極集中の力を弱める。そのことで、地方の発展力を高める」

 ここで述べた「東京の一極集中の力を弱める」という原理が、本項では具体的な方法とともに示されている。

 「過密税」というものは、日本全体の(地理的な)構造改革をもたらすことのできるような、壮大なグランドデザインの一部であり、その核心でもあるのだ。



 [ 付記 ]
 過密税がかかるのは、あくまで過密な地域だけである。東京 23区はもちろん該当する。都心では、係数の倍率も高い。他の政令都市は、一応該当するが、係数の倍率は低い。政令都市以外の市は、おおむね対象外だ。町村は、もともと対象外だ。
 普通の国民への影響は何かというと、都心に勤務している人々は、勤務先が近郊に変わるということだ。これまでは霞ヶ関や渋谷のような都心に通勤していたのに、これからは大宮や横浜あたりに通勤することになる。その分、通勤時間は大幅に減る。(ただし会社のそばに引っ越しする必要がある。あるいは自宅のそばにある会社に転職する必要がある。)

 


 【 関連項目 】

 前項でも、生活保護について、「都会から地方へ」という移転を促していた。
 これは、方法や発想は本項とは異なるが、「都会から地方へ」という移転を促すという点では、本項とは目的が部分的に共通する。
 
posted by 管理人 at 23:33| Comment(1) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
東京から人口流出っていうけど、若者はいまでも東京に流入している
https://comemo.nikkei.com/n/n7e341acf6f7e
Posted by 名無し at 2021年04月05日 16:55
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