2021年03月22日

◆ 線状降水帯の予測

 2020年の熊本豪雨や、2018年の西日本豪雨では、線状降水帯があったが、それを予想しようという試みがある。

 ――

 朝日の記事が報じている。
  → 危険な積乱雲、見極めろ 「線状降水帯」の豪雨、予測の鍵は海上観測・スパコン:朝日新聞

 予測の方法は二つある。
  ・ 東シナ海の船の観測で、水蒸気の量をデータで示す。
  ・ スパコンでメッシュを細かくして、大量計算する。


 この方法は、目新しいものではなく、前にも報道された。
  → 水蒸気をとらえよ 雨・雪の正確な予測、レーザー・放送波で:朝日新聞(2018年2月18日)

 それから3年たって、その研究の成果が出たわけだ。すると、上記の二つの方法のうち、前者の方ではかなり精度の高い予想ができているらしい。
  → 解説図
    (左下の三つの図を参照)

 これは当然で、これまでは「数時間前の水蒸気の量」というデータがまったく得られなかったのだが、東シナ海に観測船を置くことで、その重要なデータを得ることができるようになったからだ。(気象は西から東に移動するので、九州の西側の地域に観測装置を置けば、必要なデータを得ることができるわけだ。これなしに予想をするのは、目が見えないまま予想するようなものだ。)
senjo-k.png  → 解説図
    (上の図を参照。九州の少し西側に観測船がある。そこで観測データを得ると、三つの図の3番目のようになる。)

 というわけで、結論としては、こうなる。
 「現場の少し西側に観測装置を置けば(観測船を置けば)、かなり精度の高い予想ができるようになっている。細かな水量まで一致するわけではないが、おおまかな傾向はかなり正確に一致するようになっている」

 では、これで済むか? いや、済まない。

 ――

 どれほど正確な予想ができたとしても、それがただちに被害の減少に結びつくわけではない。
 実際、東日本大震災では、「 30分後に巨大な津波が来ますよ」と正しく告知していたのに、多くの人は逃げずに、のほほんとしていた。そのせいで、大量の人々が死んでしまった。
 予測は被害減少と等価ではないのだ。

 熊本の水害ではどうか? ここでの被害の最大の要因は、こうだった。
 「金儲けのために、あえて危険な、川のほとりに施設を建築した。危険でも土地代が安ければ金が儲かるぞ、という発想。そのせいで、命を危険にさらした末に、大量の命が奪われた」

  → 水害の死者は金儲けのため: Open ブログ
  → 水害の死者は金儲けのため 2: Open ブログ

 だから、何よりも大切なことは、「川のすぐそばには住まない」ことだ。こんなところに介護施設を作るなんて、自殺行為だ。いや、大量虐殺行為だ。とんでもないことだ。(未必の故意による殺人予備に近い。)

 Google マップで見ればわかるが、ここは田舎であって、土地はありあまっている。あたりは田んぼや畑がいっぱいある。安全な土地は、いくらでもあるのだ。
 なのに、あえて川のそばという、最も危険な土地に悔悟施設を作った。なぜか? そこは土地が格安だからだ。危険な土地であるがゆえに、ゴミみたいな土地で会って、土地が格安だ。そして、そういうゴミみたいな土地に、あえて会議施設を作ったのが、悪徳業者だ。そして、その悪徳業者の申請をそのまま容認したのが、自治体だ。(殺人予備を許可したも同然だ。チャック機構がまったく働いていない。)

 そのすえに、どうなったか? 施設は事業停止となった。こんなところに二度と客が来るはずがないから、当然だが。
  → 豪雨被害の千寿園、事業再開断念 14人が犠牲、職員大半解雇へ

 だが、問題がある。この業者はたぶん、死者に対して何の補償もしていないだろう、ということだ。本来ならば、14人の死者に対して、1人あたり 5000蔓延ぐらいの死者補償をするべきなのだが、その金を払ったとは思えない。「払った」という報道もない。そもそも、払う崖の金があるとも思えない。(払うくらいならば、会社を倒産させて、トンズラするはずだ。)

 こういう悪徳業者を根絶することこそ、何よりも重要な施策となる。「スパコンで解決しよう」なんて思うのは、ただの学者のひとりよがりな思い上がりにすぎない。人の命を救うのは、学術的な研究なんかではなくて、人の命を奪う悪人を処罰することなのだ。この世で最も危険なのは、悪党なのである。

 ※ 東日本大震災でも、被害の最大の人的要因は、原発を暴走させた連中だ。つまり、東電の経営者と、安倍晋三だ。こういう悪党たちこそが、被害を最悪にした。
  → 安倍首相が原発の事故対策を拒否: Open ブログ
    ※ 2006年12月の、安倍首相(1期目)の国会答弁。
 
posted by 管理人 at 23:59 | Comment(1) |  地震・自然災害 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 本項で紹介した方法(東シナ海への観測船派遣とスパコンのシミュレーション)が、本格的に実用化されるそうだ。
 → https://www.asahi.com/articles/DA3S14858210.html

 ほんの少し前には、「実用化は困難だ」という記事が出たばかりなのだが。
 → https://www.asahi.com/articles/ASP3M6KNGP3HTIPE02D.html

Posted by 管理人 at 2021年04月03日 08:54
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