2021年03月17日

◆ ゼロエネルギーハウス(ZEH)

 太陽光発電を利用してエネルギー消費を実質ゼロにする住宅「ゼロエネルギーハウス(ZEH)」を普及させるべきか?

 ――

 朝日新聞が報道している。
 太陽光発電を利用してエネルギー消費を実質ゼロにする住宅「ゼロエネルギーハウス(ZEH(ゼッチ))」が賃貸物件にも広がっている。家賃は高めだが、光熱費は抑えられる。若者を中心に脱炭素への意識がさらに高まるとみて住宅メーカーも力を入れている。
 壁には断熱材、窓には複層ガラスを使い、冬でも室温が下がりにくい。備え付けのエアコンや浴室も省エネ効果が高いものを採用。屋根には太陽光パネルを設け、各部屋の蓄電池と組み合わせて電気をためたり使ったりできる。
( → 太陽光発電を利用してエネルギー消費を実質ゼロにする住宅「ゼロエネルギーハウス(ZEH(ゼッチ))」

  → ゼロエネルギー住宅 (ZEH) | 注文住宅のヤマト住建
  → 住宅:ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス) - 国土交通省
  → ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)全国版 | 日本ハウスHD


 省エネのためということであれば、なかなかよさそうなアイデアだと思える。なるほど、全体的な方向性としてはいいのだが、細かな点では、難点が二つある。私の観点から、指摘しておこう。

 (1) 蓄電池

 記事の最後にはこうある。
 「各部屋の蓄電池と組み合わせて電気をためたり使ったりできる」
 しかし、蓄電池というのは、コスパがとても悪い。とうてい、お勧めできない。
 別に、蓄電池なんかを使わなくても、系統電力に電気を流し込めば、同じ効果が得られるのだから、その方がコスパの上でずっと上だろう。わざわざ蓄電池を使うのは、単に金を無駄にするだけだ。無駄、無駄、無駄。

 ただし、次の反論があるかもしれない。
 「蓄電池があると、停電のときに便利だ。特に、太陽光発電と組み合わせると、停電のときに便利だ」
 まあ、それはそうなんだが、よほどの田舎でなければ、停電が長く続くことはない。都会ならば、停電の心配は少ないので、停電対策のために莫大な金を投入する必要はない。
 また、よほどの田舎であるなら、戸建てになるだろう。ならば、戸建て住宅に EV の蓄電池を組み合わせればいいのだ。これなら、(補助金込みで)ごく安価に蓄電池を用意できることになる。(自動車の電池を使う形で。)

 ※ 蓄電池でも、自動車の電池を使うタイプでも、どっちにしても多額の補助金(105万円)をもらえる制度ができている。(当然、後者の方がいいが。)
     → 2020ゼッチ(ZEH)補助金制度の早わかり解説 | ネット・ゼロ・エネルギーハウス支援事業の概要


 将来的には、CATL(世界一の電池会社)の新型リチウム電池がもうすぐ登場する。これだと、劇的にコスパが向上するので、こちらの新型リチウム電池を使うのなら、まだわかる。ただし、利用できるのは、ずっと後のことだ。
  ※ 電池寿命が大幅に伸びるので、これを利用した EV が廃車になったあとの電池を、二次利用できる。たとえば、今夏に日産アリアが登場してから、それが廃車になる 10年後に、その古くなった充電池を格安で二次利用できる。かくて 10年後には利用できる、という話。(今は無理。)


 (2) 給湯

 「ゼロエネルギーハウス(ZEH)」というが、暖房や冷房のエネルギーは減らせるにしても、給湯のエネルギーは減らせないだろう。風呂を沸かすには大量のエネルギーが必要なので、ゼロエネルギーというのは無理だ。
 ただしここで、うまい工夫ができる。
 「コジェネを使えば、燃料を発電に利用したあとの廃熱で、給湯ができる」

 これはうまい方法だ。
 そもそも、給湯のような熱利用では、エネルギー源をそのまま熱にしてしまうのでは、もったいない。エネルギー源をいったん発電のために利用して、そのあとに残った廃熱を熱利用すればいい。こうすれば、捨てられるはずの廃熱を有効利用することになるので、効率が大幅に向上する。
 この件は、前にも述べた。
 省エネのために、エネルギーの熱効率を上げることを考えると、コジェネが最も効率的だ。
( → 脱炭素にはコジェネ: Open ブログ

 というわけで、給湯を考えると、コジェネも有力であるわけだ。

 結局、「太陽光だけにこだわるな」と言える。電力のことだけを考えるなら、太陽光だけを注視していてもいいのだが、給湯のことも考えるなら、太陽光よりも熱効率アップを注視するべきだ。その際には、コジェネも有力な選択肢となる。
 また、どうしても太陽エネルギーにこだわるなら、太陽光発電だけでなく、太陽熱温水器にも注視するべきだ。(太陽熱温水器も省エネの水晶対象になっている。)

 ※ 実は、「ゼロエネルギーハウス(ZEH)」でも、コジェネは考慮済みとなっている。だが、もっとコジェネに注視した方がいいだろう。



 [ 付記 ]
 実を言うと、給湯の点では、「ヒートポンプ給湯を使う」という方法もある。これだと、消費電力の2〜3倍の熱量を獲得できる。(ヒートポンプのエアコン暖房と同様だ。)
 ヒートポンプ給湯を使うための電力は、太陽光発電でもいいし、電力会社の電力でもいいし、コジェネの電力でもいい。
 商品としては、パナソニックや三菱電機などの「エコキュート」という商品が該当する。

 ただ、現実には、ヒートポンプ給湯はあまり普及していないようだ。難点がいくつかあるからだ。

 (1) 低周波騒音などの問題がある。

 (2) 償却の点で言うと、大量の湯を使う家庭でないと、設備費用を償却できない。少量のお湯しか使わない家庭では、かえって損してしまう。

 (3) 太陽光発電でヒートポンプ給湯を使おうとすると、大量の電力を消費するので、家庭向けの太陽光発電では、電力不足になる(太陽光パネルを設置する屋根が足りなくなる)可能性もある。

 ヒートポンプ給湯の件は、話が別になるので、ここでは深く言及しないでおこう。

  → エコキュート - Wikipedia



 【 追記 】

 似て非なるものとして、OMソーラー というものがある。
家庭で消費するエネルギーのうち、約半分が暖房と給湯によるものです。暖房や給湯で必要とする温度は20℃〜40℃、この程度の温度であれば、わざわざ電気やガスを使わなくても太陽の熱で何とかなると考えたのがOMソーラーです。

OMソーラーは屋根にあたる太陽の熱で外気をあたため、その空気を小さなファンで床下に送ることで1階の床全体をあたためます。

また、春から秋までは太陽の熱を利用して1日約300L のお湯を沸かすことができます。

OMsolar.jpg



  → OMソーラー|自然と共生するパッシブソーラー
 
posted by 管理人 at 23:27| Comment(1) | エネルギー・環境2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 OMソーラー の話。
Posted by 管理人 at 2021年03月18日 08:06
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