2021年03月17日

◆ 高輪築堤の遺構を保存?

 高輪の JR 駅前から出土した「高輪築堤」の遺構を保存するべきか?

 ――

 高輪築堤は、日本最初の鉄道路線だが、海上を走る鉄道ということで、奇特なものだった。その姿は当時の錦絵に残されていた。


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 その遺構が、高輪駅前の再開発に当たって、工事現場から新たに出土した。





 そこでこれを「是非保存するべきだ」という声が上がった。
 一方、JR東は、「そんなことをしたら開発ができない」と反対している。
 今月2日、考古学研究者でつくる日本考古学協会(東京)が辻秀人会長名で声明文を出した。高輪築堤の遺構を「世界史的にも稀有(けう)だ」と高く評価し、「東アジア最初の鉄道の遺跡として全体を保存する責務がある」と指摘。JR東に全面保存と開発計画の抜本的見直しを求めた。
 この翌日、JR東の深沢祐二社長は定例会見で、高輪築堤の遺構を「大変意義深い」と評価しながらも、「全面保存という形では開発自体が全く成り立たなくなる」と述べ、協会の要望に否定的な考えを示した。
( → 海上の鉄道遺構「高輪築堤」保存めぐりJRと学者が対立:朝日新聞

 両者は真っ正面から対立している。あちらが立てばこちらが立たず。困った。どうする?

 ――

 そこで、困ったときの Openブログ。うまい案を出そう。基本はこうだ。
 「双方の利益がぶつかっているので、双方の利益をどちらも成立させるような案を出せばいい。つまり、名案を出せばいい」
 換言すれば、こうだ。
 「一方の意見だけを採用して、他方の意見を否定する、という片面的な解決策は取らない」

 では、双方の顔を立てる名案とは? 

 ――

 まず、配置図を見よう。


takanawa2.gif
出典:朝日新聞


 これによれば、「築堤の出土箇所(赤色部分)は、ごく限られた面積しかない」とわかる。
 このことから、次の解決策が浮かぶ。
 「築堤の部分を丸ごと残しても、面積の点では何ら問題がない。なぜなら、現地には超高層ビルを建てるので、容積率の関係から、空地の部分を大量に用意する必要があるからだ」

 開発するといっても、空地もなしにビルだらけにして、建物で敷き詰めるわけではない。一部を高層ビルにして、一部を空地にするのが常道だ。
 だったら、どうせもともと空地ができるのだから、その空地部分に築堤を含めればいいのだ。こうすれば、何の問題もなく、築堤を残すことができる。

 ――

 以上が基本アイデアだ。あとはこれを実行するために、法制度を活用すればいい。
  ・ 築堤部分は、建築物とは見なさないで、空地と見なす。(建ぺい率の算定基準)
  ・ 築堤部分は、ただの空地でなく、公開空地と見なす。

公開空地(こうかいくうち)とは、オープンスペースの一種。1971年に創設された総合設計制度に基づいて設置され、開発プロジェクトの対象敷地に設けられた空地のうち、一般に開放され自由に通行または利用できる区域のことを言う。
 有効容積に応じて、容積率割増や高さ制限を特定行政庁が緩和する。
( → 公開空地 - Wikipedia

 空地を、私的利用でなく公的利用に供すれば、容積率割増というご褒美を与えられるわけだ。
 この制度を利用して、築堤を公開空地に認定すればいい。つまり、JR東が築堤部分を残せば、容積率割増というご褒美を与えられるわけだ。
 特に今回は容積率割増というご褒美を、特別割り増ししてもいいだろう。文化的な貢献に対して、容積率割増を多めに与えるわけだ。すると、JR東としては、「遺構を多く残せば多く残すほど、容積率割増しの量が増えるので、いっぱい残したがる」という動機が生じる。

 ――

 JR東が渋っているのは「開発できなくなるからだ」というふうに記事は報道していう。しかしそれは誤りだ。もともと空地の量はたくさんあるのだから、「開発できなくなる」ということはない。
 ではどうして JR東は渋っているのか? それは、次の二点だ。
  ・ 工事の開始が遅れると、利益を得る機会を失う。(先延ばしになる。)
  ・ 出土箇所を開発から除外すると、開発計画の全面変更が必要だ。(面倒臭い)


 要するに、「場所が削られる」というような実損が生じるわけではなくて、「時期が遅れる」「考え直す手間がかかる」という、無形の損害が生じるだけだ。しかし、それは特に金銭的な損失をもたらすわけではないのだから、文化的価値と比べれば、はるかに小さな損失だと言えるだろう。

 結局、JR東は、単にものぐさがっているだけなのだ。そういうときには、尻をひっぱたいてやるのが一番だろう。



 【 関連サイト 】

 この件については、自民党議員が乗り気だ。
  → 「高輪築堤」現地保存の在り方検討へ 自民 国会議員有志 | NHK
  → 「高輪築堤」保存で自民議連:時事ドットコム

 自民党には、鉄道オタク(鉄オタ)が多いのかもしれない。

posted by 管理人 at 21:07| Comment(3) | 一般(雑学)6 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
> 自民党には、鉄道オタク(鉄オタ)が多いのかもしれない。

 そんなはず、ないよね。利権狙いだろう。つまり、JR東から、袖の下をもらいたがる。
  ・ 高額の食事で接待してもらいたい。
  ・ パーティー券を買ってもらいたい。
  ・ 献金してもらいたい。

 そのために、JR東 に圧力をかけよう、というわけだ。自分たちの私益のために遺構をうまく利用してやれ、というわけ。手前ミソ。
 
Posted by 管理人 at 2021年03月18日 17:54
そもそも「築堤」は「建築物」ではないので「建築物とはみなさない」ために何も必要ありません。

渋っているのは、築堤など無いものとして進めてきた開発計画・建物設計を、ゼロからやり直さなければならないからなんじゃないでしょうか。
今まで費やしてきた数億の費用が無駄になり、しかも申請関係をやり直すことで着手と完成が遅れ、資金計画に大幅な狂いが生じ、「金銭的な損失」が大きいのだと思います。

とすれば、そのあたりを補填するから……などの支援策でも示されないと、同意しづらいのではないでしょうか。
Posted by けろ at 2021年03月20日 12:31
 そのために国がお金を出すのは無理そうだから、容積率アップが現実的な解でしょう。
Posted by 管理人 at 2021年03月20日 13:20
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