2021年03月11日

◆ 農地と太陽光発電

 太陽光パネルをたくさん敷き詰めると、平地は太陽光パネルだらけになって、農地が足りなくなってしまう。困った。

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 耕作放棄地に太陽光パネルを敷くのはいいが、それだけではとうてい場所が足りない。
 住宅の屋根に太陽光パネルを置くのはいいが、住宅の屋根の面積なんて、限られているので、たいした量にはならない。
 山面に太陽光パネルを敷くのは、環境破壊になるので、よろしくない。

 となると、残る方法はただ一つ。広大な農地に太陽光パネルを敷き詰めることだ。しかし、そうすると、農地が足りなくなってしまう。換言すれば、農業生産ができなくなる。困った。どうする?

 ――

 そこで、困ったときの Openブログ …… と言いたいところだが、私が考えるまでもなく、すでにアイデアが出ている。こうだ。
 「一つの土地を、太陽光発電と農地という二つの目的で使う。太陽光を二重に利用する」

 これを(発電と農業の)「二毛作」と呼ぶそうだ。
 ※ 本来の二毛作は、夏と冬で別の作物をつくることだ。一方、上記の二毛作は、一つの土地を同時期に二つの目的で利用することだ。

 その方法は二つある。
  ・ 2階建て。1階は農地にして、2階は空中に太陽光パネルを置く。
  ・ 1階建て。太陽光パネルを並べた隙間で、農作物を作る。


 以下、順に述べよう。

 (1) 2階建て

 1階は農地にして、2階は空中に太陽光パネルを置く、という方法がある。具体的には、下記のページで紹介されている。図もあるので、見るといい。
  → 「米と発電の二毛作」が進化、太陽光パネルの両面発電にも挑む
  → 「米と発電の二毛作」が順調に進む、収穫量に影響なく電力を供給

 後者のページには、次の記述がある。
 太陽光パネルを3メートルまで引き上げれば、コンバインが下を通って稲を刈り取ることができる。

 この場合には機械化が可能なので、十分に実用性がありそうだ。

 収穫量は、試験利用では 10%減ぐらいで済んだということなので、年ごとの誤差のレベルに収まっているそうだ。つまり、太陽光を受ける量が3割ぐらい減ったとしても、収穫量はさして悪化しないらしい。
 このことは、日光の強い西日本では、とくに成立するだろう。北日本では、そううまくは行かないかもしれない。もっと大きな収穫量の現象が起こるかもしれない。だとしても、発電の収入があるから、総合的には太陽光の利用効率が高まることになる。

 ※ 難点は、台風への対策だ。空中に設置する形になると、台風の影響が心配だ。特に西日本ではそうだ。うまく取り外したりできればいいが、そう簡単ではなさそうだ。

 ※ 太陽光パネルの配置は、市松模様のようにするよりは、南北方向の縞模様にしたい。そうすれば、太陽が東から西に移動するにつれて、その下にある農作物は、まんべんなく光を受け取れるからだ。(ただし異論があるかも。)


 1階建て

 太陽光パネルを(縞模様のように)並べて、その隙間で農作物を作る、という方法がある。具体的には、下記のページで紹介されている。図もあるので、見るといい。
  → 電農二毛作への挑戦

  太陽光パネルは(南からの光を受けるように)傾斜している。それを横から見ると、

    / / / / / / /

 のようになる。
 パネルは東西に縞模様のように並んでいる。その二つの縞模様の隙間には、パネルのない空白地帯がある。そこで農作物を作れるわけだ。

 こうすると、機械化の問題が生じる。土地が(縞模様に)分断されているので、機械化が難しそうだ。「広い土地を一挙にコンバインで刈り取る」というようなことはできない。
 写真では、太陽光のパネルとパネルの隙間には、幅が8メートルぐらいあるようなので、機械化は不可能ではない。しかし、コンバインのような機械が太陽光パネルの柱にぶつかったりしたら、太陽光パネルが大きく破損してしまう。そんな危険なことはしにくい。
 だから、コンバインのような大型機械は使いにくい。つまり、穀物生産には向いていない。かわりに、手作業の多い野菜生産に向いている。
 ただ、光の量はかなり減少してしまいそうなので、収穫量はかなり減ってしまいそうだ。リンク先のモデルでは、30%以上の収穫減になるようだ。

 この方式(1階建て)は、設備が頑丈なので、台風対策もできる。とはいえ、難点もある。

 東西方向の縞模様で配置するというのも、時期によっては「常に日が当たらずに陰となる場所」というのができてしまう。(南北方向の縞模様の場合とは違う。)……この意味で、農作物を作るには、適性が低いようだ。

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 以上で、二通りの方法を示した。前者は農産物が優先で、後者は太陽光発電が優先だ。どちらも一長一短だと言える。
 とりあえずは、現状の状況を調べて、分析しておいた。実際にどうするべきかについてまでは、結論を出さないでおく。(今のところは研究段階であるにすぎない。実用レベルには達していないようだ。)



 [ 付記 ]
 私なりに簡単に評価しよう。

 2階建ての方は、陰となって使われない領域が少ない。また、太陽光の効果が逓減となる部分だけをカットするので、太陽光を無駄なく使っている。その分、利用効率が高い。その一方で、パネルの傾斜がないので、発電量が少ない。特に冬には、発電量が大幅に低くなりそうだ。季節ごとの発電量変動が大きくなるので、安定電源とはならない。その分、買い取り価格が下がっても、文句を言えないだろう。(現実にはそういうことにはなっていないが。)
 1階建ての方は、上記の話をひっくり返した形になる。普段は太陽光の利用効率が低いが、季節ごとの発電量変動が少ない。
 両者は一長一短なので、どちらがいいとも言えないようだ。

 
posted by 管理人 at 23:54 | Comment(0) |  太陽光発電・風力 | 更新情報をチェックする
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